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攫われたみなとちゃん

 ……ミーナ、ミーナ、そろそろ、起きて、早く、起きないと、説明する、時間が、減っちゃう、から……



「……ZZZ、スヤスヤスヤ〜」



 ……ちょっと、いつまでも気持ちよく寝ているんじゃないわよ。もういい加減に起きなさいっ!!



「は、はい、今、起きますって……あ、あれ、ここどこ?」



 私は、みなと君の部屋で寝ていたはずなんだけど。

 えっと、もしかして、私、誘拐、された? えっ、なんで……?



「これは一体どういうことなの?!」


 身に着けていた指輪からカレンちゃんの声が聞こえたので、それに向かって私は話し掛けてみる。



 反応は、


『ふー、ようやくお目覚めのようね、ミーナ?』


 ありました。良かった、それじゃあ、この状況について説明してもらいましょう。







「まず、此処ここはどこなの? 壁も床も天井もすべて真っ白なこの空間に、なんで私は居るの?」


 私は扉が見当たらなくて、出入口が不明瞭ふめいりょうなこの部屋について、カレンちゃんに教えてもらいたい。

 そう、まるで白い箱に閉じ込められているような嫌な感覚がする、不気味なこの場所の情報が欲しい。



『そうね、簡単に説明すると、ギャルゲーの攻略人物の部屋かしら? でも、リビングでも客間でもないし、んー、今は何もないけど、物置部屋として活用する予定の部屋ね』


 ここは物置部屋なんだ。

 それにしては、さっぱりして広々した空間だなぁ。何も置いてないから当たり前なんだけどね。監禁部屋や牢屋といった恐ろしい部屋ではないみたいで、一安心かな。



「攻略人物って誰なの?」


 まさか、虹野さんではないよね? 日曜日にベットに潜り込んでいたので、可能性が高くて大変よろしくないのですが……お願い、当たらないで、カレンちゃん!



『それは、ねーー……って、ちょっと何をビクビクしているの? ヘンテコなとこもあるけど、悪い子じゃないから大丈夫よ。まったくもー、その場所は山田やまだハナの家よ』



 よ、良かった。本当に、虹野さんじゃなくて良かったです。

 で、でも、何故私は山田さんのお家に連れて来られたのかしら。写真で見たことはあるけど、リアルで見掛けたことも話したこともないんだけど。



「どうして俺は山田さんの家に居るの?」

『それはミーナが装備している指輪の所為ね』


 指輪って、これ? 

 あー、もしかして、前に話してた問題があるって、山田さんにさらわれるってことなのかな。日曜日に判るってカレンちゃんが話していたし。



『ミーナが今考えている事は、だいたい合ってるわ、流石ね』

「カレンちゃん、俺の考えが読めるの? すごーい、以心伝心だね」

『えへへ、私はとっても優秀だからね! って、なごんでる場合じゃないわ。サクサクっと脱出しないと大変なことになるんだから!』



 うーん、初めてのお家訪問(?)がこんなにあわただしいとは、ギャルゲーと乙女ゲーの違いなのだろうか。不思議だね。


 おっといけない、話が逸れちゃう。山田さんの家から脱出しないといけないんだよね。


 なんていうか、洋館や廃屋はいおくからのエスケープってかんじで、一気にホラーやミステリー感がし始めるなぁ。ドキドキ・ワクワクしますね。

 よし、頑張るぞ、おー!



『なんか楽しそうね、ミーナ。ちなみに、船内の宇宙人に捕まると、強制的に此処に戻って来てしまうから気をつけること。あと時間内に脱出しないと、山田ハナ子の母星に連れてかれて帰れないエンドだから十分に気合入れて頑張りなさいね』


 えっ? ちょっと待って船内? 山田さんの家なんだよね、此処って。もしかして、正確には家じゃなくて船なの!? じゃ、じゃあ、宇宙船ってこと……うわー、私、無事に帰れるのかな?


 そ、そうだ、聞き捨てならない言葉が出てきたんだ。ちゃんと説明をしてもらわないと!



「そ、その帰れないエンドって言うのは、どういうことなのかな? もっと詳しく説明して欲しいんだけど」

『そうねー、帰って来れないから、それで終わりじゃない? ゲーム終了ってやつかしら』

「――――それは別名バッドエンドというものではないのかな?」

『そう! それよ、それ! ピッタリと当てはまるエンドね』

「…………」



 始まって一週間も経たない内に強制イベントで、しかも失敗するとバッドエンドに行くって難易度高くないかい?

 うっうぅーー、簡単にパラメーターを底上げできる時点で気付くべきだった私、人間楽しちゃ駄目だね。



『ちょっとちょっと、そんなに消沈しないでミーナ! そんなに難しくないから、脱出するのなんてとっても簡単なんだから!』

「そうだといいんだけど、もしも、失敗したらと思うと……」


 私がみなと君になって一週間も経ってないのにバッドエンドゆきって、ついてない。



『大丈夫だから、ミナミナなんかいつも「ほかの宇宙人やろうに俺の身体をいじられてたまるか! 俺のことを弄っていいのは女の子だけだから、そこんとこ分かって欲しいぜ!!」や「くそーー、山田さんのお部屋は一体どこにあるんだ? 全然見付からねぇ。宇宙人共の休憩室や更衣室なんて、くそどうでもいい! そうだ、せめて衣裳部屋! 衣裳部屋でいいから!!」とか、いつも緊張感の欠片かけらもないことしかしゃべらないくせに、クリアしているから全然心配ないわよ!』



 ……さすが、みなと君、余裕だ。一歩間違えればバッドエンドなのに凄いメンタルだ。私も見習いたい。



「うん、ちょっと元気出てきた。頑張って脱出してみるよ!」

『あのポジティブファンタジー脳なミナミナに出来るんだから大丈夫よ。ミーナならパパッと簡単に脱出できると思うわ』

なぐめてくれてありがとう、カレンちゃん」



 さてと、ずは、この部屋からどうやって出るか――とりあえず、壁か床を調べてみよう。






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