みなと君とお弁当
今日は学生たちが大好きな日曜日。雲一つない晴天、少し風が強いがポカポカとして過ごしやすい季節。本日は大変気持ちのいい春らしい陽気だ。
……そんなステキな日に貫徹の俺。超眠い、まったく明日に備えて今からスヤスヤしたいぜ。
「まさか、徹夜で朝食の仕込み、弁当の準備する羽目になるとはなー」
「仕方がないだろ、俺は料理が出来ないんだから」
まず、食材を確認してメニューを考えることから始めたけど、これが結構大変だった。俺は料理をしたことが全然なかったから、慣れている人の何倍も時間が掛かる。
……母さん、いつも美味しいご飯を本当にありがとうございます。
身体が戻ったら、きちんとお手伝いしまっせ……多分。
「くそーっ、昨日のスーパーで色々と食材や調味料を買えれば、もっと楽できたのに。奴にエンカウントしたせいで、すっかり忘れてたぜ!」
「田所って、ミナミナの方の妨害キャラだろ、仕事きちんとやってるな」
アイスが感心して、うんうんと頷く。
「嬉しくないよ! 乙女ゲーの方まで出張しなくていいよっ!」
アイス、あの野郎を仕事熱心な真面目君のような扱いは、しなくていいから。
「はぁーーー、でも、お弁当が無事に完成できて良かった。俺の人生初のお弁当……喜んでくれるかな」
ちなみに今日、南お姉さまはアルバイトなので、南お姉さま専用のラブリーなお弁当を作りました。
仕事先の仲が良いメンバーと昼食をとる可能性をふまえて、俺なりに恥ずかしくないように、見た目をこだわって作ったんだぜ。さすが、気遣いが出来る俺だ。
どんなお弁当のおかずかというと、可愛い女の子が食べそうなイメージの具を想像したものだ。ハート型や星型のおかずってキャワイイよね。
ふふふ、俺の妄想力も馬鹿にはできない素晴らしい出来だったな、あの弁当。妄想・想像が良き創造力を作ると確信したし。
「まあ、小学生が喜びそうな弁当の具だけど、初めてにしては良い出来じゃないか」
「花も恥らう女子高生お手製弁当(愛妹弁当)が小学生の子どもを持つお母様弁当(人妻弁当)だと!?」
ふぅ、まったく……俺に備わっていたセクシーさが滲み出てしまった結果か。やれやれ困ったものだなぁ、セクシーフェロモン、漏れてますかね?
「……絶対下らなくてアホなことを考えてそうだが、あえて僕はスルーする」
「辛口! 酷い俺に対しての評価が辛口。もっと愛があるかんじでコメントくれよー」
「そんなことより、さっきから口調がもろ男丸出しなのをどうにかしろ!」
「だってよー、徹夜明けで疲れてるんだって。よしゃー! 今からみなとちゃんにチェンジ☆なのだよっ」
さらにボケてみたのだが、これもスルーされてしまったようだ。
いつもよりアイスがクールだ。略してクールアイス。いや、クールってよりツンツンってかんじだから、ツーンアイスっていうのが正しいのか。
それにしても、俺と一緒に徹夜したから疲れてつっこむ気力がないのだろうか。全然キレがない、大丈夫かアイス。ちと休ませるか。
「手伝ってくれてありがとう、アイス。眠いだろうから、もう休んでくれて構わないぞ。今日は出掛ける用事も特にないし、アイスが心配することはないと思う」
「そうだな、ミナミナも休むなら、サポート妖精の僕も休息をとろう」
「はいはい、じゃあ一緒に寝るとするかー」
ゆっくりと昼食を片付けてベットに向かう。
丸一日寝るっていう選択はどうかと思うので、アラームをかけておこう。
まあ、三時間くらい寝ればいいかな。
それでは、おやすみなさいっと。