みなと君と妖精の店3
「あいつ、特殊なスカートを履いているせいで大分気付きにくいが、下にちゃんと半ズボンを着用しているぞ」
「へぇ、そうなのか……よく見ているな、アイス」
相変わらず観察眼の鋭いサポート妖精だなぁ、頼りにしているぜ。
「でもさ、あの派手なドレスって女物だよな。結局、ズボンを履いていても女装は、しっかりしているってことだろう?」
「それは、そうなのだが……」
軽く纏めると、ギャルゲーの妖精店長さんはペストマスク男装姿で、乙女ゲーの妖精店長はガスマスク女装姿ってことか。
二人とも派手に目立つ格好をしている。
でも、誰もこの事を話題にしないようだから、妖精国にとっては日常茶飯事かもしれないな。妖精国の住人は個性の塊だぜ。
そういえば、今までそんなに気に留めなかったけど、二人とも顔を隠しているのは、何か意味があったりするのかな。
なんつーか、共通点があると、些細なことでも気になってしまう。
「ひゃっほー、お待たせしました。お客様、本日は何をお買い上げですか?」
妖精店の店長は、レジカウンターの後ろ側にある扉から店の中へ戻って来たようだ。入り口のドアベルが鳴ってなかったから、裏口から入ってきたのかな。
レジカウンターに君臨したシーちゃん店長に向かって、
「おっと、悪いな、シーちゃん。買い物の前に、この店のルールとやらをこいつに教えてやってくれないか?」
と、いきなりアイスが説明を希望する。
多分、俺の為だと思うんだけど、突然過ぎる行動だな。
俺も思わずびっくりしちゃうぜ。
「えーと、うちの店のルールですか? う~ん、初回のお客様向けの説明なのかしら。それで良いなら、シーちゃん頑張りますけど」
ガスマスク姿で表情が全く判らないけど、困惑している様子なのは、なんとなく分かる。
シーちゃんさんが懇切丁寧に解説をしてくれるらしいので、レジカウンターの前にやって来た。
「シーちゃんのお店は基本的に人間向けの商品が並べてあります。そして、その商品は大きく分類すると二つ……消耗品のアイテムと装備品になりますね」
ほおー、アイテムと装備品か。
先月は、みなとちゃんと入れ替わったせいで、ドタバタしてたから、そこら辺のチェックを怠っていたんだよな。
家に帰ったら、ちゃんと確認しよう。
「それでは手始めにアイテムの説明を……」
「あっ、アイテムの説明は省略してもらえるか? ミナミナの方もいいよな?」
「うん、アイテムは大体把握していると思うので、省略しても問題ないでーす」
装備品は違いがありそうだけど、アイテムは共通っぽいからな。説明を飛ばしても大丈夫だろう。時間は有限だからな。巻きでいくぜ、巻きで。