Opened Field ---プロローグ---
似たような作品は山ほどあると思いますが、この作品をクリックしてくれたことを大変うれしく思います。ありがとう。いや、ほんとに。
---種族を選択してください。
◆・ヒューマン
・エルフ
・ハーフリング
---ヒューマンでよろしいですか。
◆・はい
・いいえ
---初期装備を選択してください。
◆・ナイト
・ヴァルキリー
・メイジ
---ナイトでよろしいですか。
◆・はい
・いいえ
---あなたの脳のデータを解析しています・・・
---脳の解析に成功。キャラクター設定を行います。
---キャラクター設定中・・・
---キャラクター設定完了。ようこそOpened Fieldへ。
耳元から何やら声が聞こえる。
「あなたはこの世界の住人になりました。今からどこに行きなにをするかはすべてあなたの自由となります。ステータスから、アイテム、マッピング機能などはすべて右腕に登録されているバーコードで見ることができます。それではお気をつけて。」
右腕をみる。長さ10センチほどのバーコードが表示されていた。
バーコードに触れると、ブウウンと空気中にメニュー画面が表示された。
ただいまの時間P.M2時13分22秒。
秒針は絶え間なく動く。
すると、いきなり警報が鳴り響いた。
ビー--ビー-ビー-!!!
「獣人だぁ!!!!」
そう誰かが叫んだと思った瞬間、目の前の巨大な城門が破壊され、その向こう側から、人間の体格をした獣のような顔立ちの生き物が無数に表れた。
「おいおい、いきなり戦闘かよ。しかも劣性。」
ふと横を見るとそんなことをつぶやく20歳くらいの青年が一人。
その青年は大弓を肩にかけ見るからに、ヴァルキリーであった。
「おい、お前も今始めたばっかだろ。そしたらこんな戦闘は避けた方がいいぜ。この世界には初心者ボーナスも、強さ設定もなにもないんだからな。なんなら俺についてこい、逃げ道に案内してやる。」
そう言うと青年は壊された城門とは逆の方に歩みを進めはじめた。
ハッとなり、俺はなにも言わず、ただその後をついていった。
後方では人と獣人が戦闘を始めている。
爆発音や金属音、声など様々な音が鳴り響く。
ふと俺は自分の腰にぶら下がった剣をさわる。
ずっしりとして・・・本物だ。
そして何気なくさやから抜いてみる。
「おい!ばか!!」
ぎぃぃいい!!
剣を抜いた瞬間少し離れたところから奇声をあげて獣人が2体走ってきた。
尖った大きな耳が特徴的で首もとは鬣のような茶色の毛で覆われていた。
そして後ろから生えた尾を振り、カットラスのような鋭利な剣をもっている。
「くそ!剣を抜いたら、敵は優先して狙ってくるんだよ。どうせ戦っても勝てねぇから逃げるぞ。」
「いやでもどうやって?あいつら早いぞ。」
「こうやってだよ。」
そう言うと青年はなにやら、大きい球体のものを取り出すと矢に取り付けて、獣人にむけて放った。
矢はひょろひょろと重力にまけ、獣人たちの足元に刺さる。
同時に球体のものが割れ、緑色の煙が吹き出した。
すると、獣人はその煙に反応する。
煙から逃げようするが、煙が広がるのが異様に早く、獣人は煙につつまれた。
しばらく見ていると、獣人は鼻を押さえて何やら苦しそうにもがいている様子がわかった。
「グズグズすんな、今のうちだ!」
青年は走り出す。
同時に俺もついていく。
「今のは?」
「獣に対して毒性のある煙玉だ。人間には無害だが、獣には効果絶大だ。」
俺と青年は走り続けた。町を出て、更に走った。
辺りは暗くなり始めていた。
もう戦闘の音は聞こえない。
不気味な風の音だけが周りを支配していた。
草原を駆け抜け、丘にでて、いつのまにか俺たちは山頂が雲にかかるほどおおきい山に向かっているようだった。
「はぁはぁ。ここは?!何処か目的地でもあるのか?」
息を切らしながら、ようやく言葉を発する。
「目的地か…そうだな。この世界も同じなら、ある。きっと。」
青年は山を見据えて曖昧に答える。
「きっと…?」
「ああ、きっとな。」
それ以上は触れなかった。気を使ったのではなく、疑問など沢山ありすぎて頭がパンクしそうだからだ。これ以上考え事をしてられるか。
辺りはもうすぐ真っ暗になりそうだった。
大きな広葉樹の前で青年は立ち止まる。
そして何か探しているような仕草。
「なにか探してるのか?」
「あった!!やっぱり。」
俺が質問すると同時に青年は叫ぶ。
すると一安心したかのように、ふぅと大きな溜め息をつく。
「俺はシン。自己紹介も出来なくて悪かったな。俺も状況整理するので精一杯だった。」
改めて俺を見据えてそう言う。
思ったよりいいやつなのかもしれない。
「俺は…あれ。おかしいな、、俺は…俺の名前は…。」
この時重要なことに気づいた。
俺の名前は、なんだ?
「ああ。いいんだ。そっか、ほんとに初めてらしいな。」
青年はわかっていたかのような受け答え。
俺はただ混乱している。
そもそもここは、どこだ。
過去の記憶が一切ない。
なんで言葉を話せる。武器をもってる。おれはなんなんだ…
「おいおい!あんま考えこむな!ほんとに頭いかれちまうぞ。いいんだ。あとで説明してやる。受け入れるか受け入れないかはその時決めろ。」
は?
いったい、なんだってんだ。
「とにかく、落ち着け!しっかしろ!」
「落ち着けるか!なんだよここは、俺は誰なんだ!俺は記憶もねぇんだ。だれと知り合って誰と話したのか。親の顔だっておもいだせない!!くそぉ!」
「俺だってあの日から親の顔も名前も思い出してない!!!!お前だけがとか思うな!!!!」
「え・・・なんだよ。何言って・・。」
「すまん、少し感情的になった。おちついたら俺の話を聞いてくれ。とりあえず、目的地にはついたんだ。下に降りるぞ。」
「した?」
シンは足元の土を掘り始めた。
すると、すぐに固い鉄のようなものにあたった。
土をどかし、露になったのは四角い鉄の板だった。シンはそれをどかす。俺もそれを手伝う。
すると、なんと下へ続く梯子が見えた。下は真っ暗だ。
「降りるぞ。きっと俺の仲間が待っている。」
そういうと、シンは地中の暗闇に消えて行った。
俺もすぐにつづいた。
1分くらい階段を降りると、目の前に洞窟のような道が現れた。ちょうど成人男性が通れる高さである。
しばらく行くと、らせん状の階段。
そこを5分くらいかけて降りていく。
ところどころにランプがおいてあり、足元を照らしていた。
やはり、この下にシンの言う仲間がいるのか。
階段を降りると今度は人工的だとわかる、ごつごつしていない通路が現れた。
さっきよりだいぶ明るかった。
そこをさらに進むと大きくて頑丈そうな扉が現れた。
一呼吸おき、シンはゆっくりと扉をあけた。
ここにシンの仲間が・・・。
「おい。」
シンが震えた声を出す。
「どうした?」
「逃げろ。」
そういったかと思うとシンは腰につけた短剣を抜き、構えた。
なにごとかと、俺は中をのぞく。
「え、なんだこれ・・・。」
それ以上言葉は出ない。
部屋の中は血で真っ赤に染まっていた。
生臭い死臭もする。
地面には動かなくなった人の死体が散らばっていた。中には手足がちぎれ、ばらばらになっているものも。
その死体にまたがり、肉を食らう人型の化け物がこっちをみる。
「おえぇぇ」
嗚咽がもれる。吐き気がする。
筋肉質で人より一回り大きいその化け物は足早にこちらへ向かってきた。
「馬鹿野郎!早く、にげろ!!!!!!」
シンは俺の背中をおし、元来た通路へ押しやる。
「おい!お前は!」
シンは一瞬にやっとする。
「決まってんだろ。仇討だ。」
そういって内側からその大きな扉を閉めた。
「おい!シン!俺もたたかう!あけろ!あけろっ!!」
(うわあああああ!!ああああ!くたばれ!このぉお!!・・・ぐあぁ!!)
グチャ!という生々しい音とともにシンの声はやんだ。
そして次の瞬間。
バンッ!!!と強く扉が開かれ、そばにいた俺は吹き飛ばされる。
そして目の前には大きな化け物。
俺はあふれる涙をこらえ、長剣を抜いた。
「このぉおおおおお!死ねぇ!!化け物がああ!!!!」
剣を振りかざし、化け物の頭めがけて振り下ろした。
カランカランッ!
無慈悲な音が通路に響く。
化け物の腕の一振りで俺は武器を飛ばされてしまったのだ。
勝てない。けど
もう遅い。
逃げられない。
そうわかっていたが、俺は背をむけて、死にもの狂いで出口へむかう。
「はぁはぁ!!!!くそっ!くそっ!!くそぉぉおおおお!!!」
グサッ!!!!!
化け物から放たれた、ヴァルキリーの矢は不運にも俺の左胸を貫いた。
「か・・・は!!てめぇ、、これは、シンの・・・・。」
ドサッ。
そのまま目の前は真っ暗になった。
《GAME OVER》
----復活しますか?
◆・はい
・はい
・はい
・はい
・はい
・はい
・はい
・はい
・はい
・はい
・はい
・はい
・はい
・はい
・はい
・はい
・はい
・はい
・死
お疲れ様でした。
読んでくださってありがとうございました。
この世界についてはまた、作品を出すつもりなので、よろしくお願いします。続編にご期待ください。