キミも大変身!
少しだけど女装してます。
主人公が若干ナルシスト。
そして超展開。超速。
OKな人のみ↓
「うっわ、なにあのブス」
つい、口から出てしまった。
だって、あの人かっこいいなぁ、と思って見てたら、ブスが近寄っていって笑顔で店に入っていったんだから。しょうがないでしょ?
あんなブスが彼女だなんて、顔はよくても女の趣味は最悪だな。
俺だったらあんなの彼女にしないし。てか知り合いにもしたくない。
あのブスと付き合うなら、女装した俺と付き合った方がマシだよ、絶対。
俺、そこら辺の女子高生なんかより絶対可愛いから。綺麗だし。
「おいおい、遼介そう言うなよ」
「みんながみんな、顔がいいわけじゃないんだからさぁ」
一緒に歩いていた友人、飯津彼方と飯津陽向が俺に向かってそう言った。
ちなみにこの2人は双子だ。もちろんイケメン。
「別にブサイクが悪いってわけじゃないよ。
ブサイクはブサイクらしく、ブサイク同士でつるんでればいいのにって思うだけ」
イケメンはイケメン同士、ってね。
ブサイクがイケメンと一緒にいても、引き立て役になるだけ。かわいそうでしょ?
「ほんと、遼介ってしゃべらなければモテそうなのに」
「性格最悪だよな」
「カッコいい人と綺麗な人と可愛い人には優しいもん」
「遼介の基準超える奴なんてほとんどいねぇよ」
彼方が呆れたようにそう言った。
確かに俺の基準超える人はほとんどいないけど、彼方と陽向はその基準こえてるんだからいいじゃんねぇ?
他に基準超えてるのなんて、男だったら保健室のイケメン保険医(ホモだって噂)と、俺の高校で一番イケメンで生徒会長の佐藤迅斗。ぐらいかな。
「あぁ、そういえば。」
ふと、今日の朝の出来事を思い出した。
「あの転校生、あれはない。」
今日の朝、SHRで紹介された転校生、確か、船原…だったかな。
髪の毛は真っ黒でボサボサ、眼鏡は分厚いし、いかにも不潔ですって感じの奴。
多分眼鏡とって髪も整えたら、もっとイケメンなんだろうけど。
輪郭が、イケメンですって感じだから。
でも本人があれじゃね、無理無理。汚いもん。
「あれは遼介じゃなくても無理。」
「なんか汚いよな。臭そう。」
彼方と陽向もそう思うらしい。
それから多少の談笑をしながら、目的の店へ向かった。
目的の店っていうのは、なんか話題のドーナツ屋なんだけど。
「うっわ…」
いざ着いて見てみれば、すっげぇ行列。
「どうする?」
「とりあえず並ぼう」
ってことで、最後尾につく。
聞いてたよりずっと人が多いんだけど。
と思えば、ちゃんと理由があったらしい。
「あれ、撮影してね?」
「俺知ってる。モデルのmomoだ。」
「へぇ、可愛い子」
モデルが撮影をしてるらしい。
そのモデル見たさに集まった人が、さらにドーナツを食べようと並んでるっぽい。
momoだかいうモデルは可愛い子だから許そう。
「あれ?君たち…いいねぇ」
すると、不意に声をかけられた。
そこにいたのはヒゲをはやしてサングラスとかけた、黒い怪しいおっさん。
「モデル、してみない?1回だけでいいからさ」
なんて言われて彼方と陽向も乗り気になって、撮影することになるまではあっという間で。
小さなスタジオに連れて行かれてメイクをすることになった。
俺はあんまりやる気ないけど。
「じゃあ、これで完成!」
本を読んでるうちに出来上がっていた俺の顔。
すっげぇ、可愛い。いや、普通にしてても可愛いけどね。
でも、メイクだけでこんな変わるんだってぐらい。
これでカツラでも被れば完全女の子なんだけど。
なんて思ってたら、何かをかぶせられた。
「うん!可愛い!」
それはウィッグ。
メイクさんはニコニコしながら可愛い可愛いと褒めてくれる。
いや、確かに可愛いけどね。
「じゃあ撮影ね、早く終わらせるから安心して!」
いってらっしゃい、と俺はメイク室を追い出された。
撮影場所らしきところに案内され、そこにはメイクしてさらにかっこよくなった彼方と陽向。
さすが彼方と陽向だな。俺が認めただけある。
「お、遼介か?」
「へぇ、結構可愛いじゃん。」
「「男じゃなければいいのに」」
うわあ、息ぴったりー。
残念ながら、見た目女の子だけど、身体も心も男の子です。
「じゃあ始めるよー笑ってー」
カメラマンのおっさんがシャッターを何枚かきる。
俺は彼方と陽向にはさまれながら、カメラに笑顔を向けた。
「うーん…笑顔が安っぽいんだよなぁ…」
なんてほざくカメラマン。
素人なんですけど!と言ってやりたがったが、自重。
それから何枚か撮影して、結構早く終わった。
その場のスカウトなんてこんなものだろう。
メイクを落として、ちょっとお礼ばかりのお金を貰って、俺たちは帰ることになった。
「…あ」
「momoだ」
「本物だ」
帰り際、momoがいた。
やっぱり可愛いなぁ、と思って少し見ていると、
「あ、同じクラスの!双子と可愛い奴だ!」
とにぱっと笑って声をかけられた。
え?と、俺たちは互いに顔を見合わせる。
「あ!今momoだった…まぁいっか!
俺、今日転校してきた、船原恍太!!」
momo…もとい船原はさっとウィッグを外した。
そしてモサモサとしたカツラを被って、例の眼鏡もかける。と、完全にあの船原になった。
「すっげ…。」
「まぁ、こんな感じでバレないようにしてっから、よろしく!」
「よ、よろしく…」
俺は生まれて初めて、ブサイクってすげぇ、と思った。
ぶっちゃけモデルの世界とか分かりません。
芸能界はファンタジー!