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「何」が起きても「母」は「母」



  「いらんっ!、」母の日常、その(103)


2006/2/2(木) 午後 0:43

某月某日 先日の日曜日、親子二人きり。母に、出来上がったばかりのブログ本「かいごさぶらい」を読んでやろうと、昼食後に。


「これな!、お袋ちゃんの、本やで、読んだるわな~!」


「なんや~?、わての、ほん?!」


「そうやっ、見てみ、この写真、お袋ちゃんやんか~」本の表紙を母に見せた。


「あははーは~、これ、ほんまや~、わてやな~、なんで、こんなことなった?」


「うん、僕が作ったんやんか~、読んだるわな~」


「いらん!」と、また、キッパリ、言われた。


「なんで~や?!」


「うた、きいてるから!」(ごもっとも、母の歌好きには勝てない)。と、言う分けで、今回も、、、。(まあ、え~わ、お袋ちゃんにしたら、本がどないしたんや!てな、もんやからな~)。自身の満足を母に押しつけてはならない、とする教訓だ。





   「う~ん、え~よ、ありがと~ね~、」母の日常、その(104)


2006/2/3(金) 午後 0:56

某月某日 前にも書いたが、私は、同じ失敗を何度も繰り返している。介護とは、かくも難しい、が本音である。就寝間近に。


「お袋ちゃん、おしっこ行っとこか?な~」


「うん」


「はい、此処やで~」と、私が母を便座に座らせた時、臭いで(あ~、やったかなー!)と、気付いた。


「お袋ちゃん、ちょっと待ってな~」と、母を便座に座らせ、急いでパンツを取りに。


「なんやの~?でるでぇ、どこいくの~?」


「え~よ、だしといて、すぐ来るからな~」母のパンツには、うんちが、既に、便座の前にも、うんち、が。とって返して、私は母を怒らさないように、慎重に言葉を選んで、パンツを履き替えさせ、便座をキレイに拭き取る、この一連の作業を素早く、やらなければならない。


「なんやのん?なにするんや?」と、私が何時もと異なる行動をとるのを見て、母は素早く察知し、早くも、声を高くした。


「うん、パンツ履き替えとこな~、ちょっとじぃ~としといてなっ」慌てず、やんわりである。下半身を裸にしたものだから、母は、当然。


「さぶいやんかー!、なんやのん、あほかー!」と、言うと同時に、私の頭を両手で叩き始めた。


「痛いぃー、ご免、ごめん、すぐ、終わるからな~、叩かんでもえ~やん」両手が塞がっているので、叩かれ放題だ。


「そんなことしてーえーとおもてんのかー、あほー!!」と、なおも、叩く母。


「もう終わる、もう終わるから、ちょっと待って~な、な~っ、僕が悪いんや~」便座拭きが無くなるまで、拭き続ける。母のお尻も、キレイに拭かなければならない。この間、母は、私の頭を叩き続け、叫び続ける。ようやく、作業が終わった。と、思ったが、まだかすかに何か臭う。折悪しく、母のズボンが茶色だったため、気づかなかった。ズボンにもうんちが。トイレから母の自室へ連れて帰る途中で気づいた。廊下の途中の手摺りに母を留め置いて、慌ててズボンをとりに。


「どこいくねん?ほったらかしかーっ!」と母、怒り心頭か。


「ご免な~、さぶいやろ~、ズボン履き替えとこな~」


「あほー!かえへんわー、はよ、こんかいなー!」ようやく、ズボンを履き替えさせようとしたが「しまった、下着(上の)」にもうんちが、付着している。手摺りに掴まったまま、母の怒りは最高に。今度は上半身を裸にしたものだから。




  「あほーっ!!」と母。



「ご免な~」と私。肌着を取り替えるまで、この繰り返し。ようやく、終えて、母を無事寝床へ。


「うん、、、?」と私は、まだ、臭いが消えていないのに、気づいた。私も、折り悪く、茶色のジャージを着ていたので分からなかったのだ。右手の袖口に、うんちが。母の汚れものや私のジャージを直ぐに洗濯機に放り込んだ。うんち、との格闘、約20分くらいか。(なんで、あの時に気が付かなんだかな~)と。私は、まだまだやと、猛省。「お袋ちゃん、まだ、怒ってるかな~」と思いつつ。


「ご免な~、お袋ちゃん、僕が悪いことしてしもたな~」と、寝てる母に、そ~っと声をかけると。


「う~ん、え~よ、ありがと~ね~」と母が。私はこれを聞いて(なんぼでも、失敗してもえ~か、お袋ちゃん、ちゃ~んと、分かってくれてるわ~)と、同時に、母の器量の方が私より一枚上だ、と言うことも、教えられたのである。



 「なんしてんのん?、なんかもってきて、たたいたろかーっ、」母の日常、その(105)

2006/2/6(月) 午後 0:25

某月某日 夜明けから、粉雪が舞う、寒い朝。今日もデイ施設へ、緊急連絡しなければならなくなるかも、と思いながら。午前8時、母を起こしに、、、。


「起きよ~か」声を、かけた。


「う~ん、もうちょっと」


「そうか~、そんじゃ、もうちょっとね~」午前8時半。


「どう?朝ご飯の用意できたよう、もう、起きな~、学校(デイ施設)間に合わんよ~」


「いけへん!!ほっといてー!」


「えっ!、行けへんのんかいな~、何んでぇ?」


「さぶいっ!、かぶしてー!」(確かに、冷える)。


「そうか~、学校楽しいのにー、行けへんのん、しんどいんか~?熱ないか~?」と、私は母のデコチンに手を当ててみた。すると、、、。


「なにすんねんなー!、つめたいっ!」と、母が言うなり、素早く私の頭を叩く。


「痛っ!ー、熱ないか?みただけや~、しんどないか思うてな~」


「ねんね、すんねん!、あっちぃ、いきっ!」


「分かった、わかった、まあ~ゆっくり寝とき、熱ないしなっ」(今日はどうすれば良いか、私の腹はだいたい決まっている)。さあー、8時45分を過ぎた。もう、デイの送迎車へ連絡しないと、間に合わない。学校へ、送迎バスを中止してもらうよう電話。全幅の信頼を置いている、ケアマネさんへ、緊急の連絡、ヘルパーさんの派遣を依頼。会社に何時に出社できるか、分からない旨電話、。一通り終えて、母のもとへ。


「お袋ちゃん、熱いお湯で顔洗を~かっ?なっ」と、掛け布団をそ~っとめくると。


「なにしてんのん?、なんかもってきて、たたいたろかーっ!!」見下ろ

す私を、見上げて睨む母。


「うわぁー怖っ!、えらい、怒ったはるう、起きるとき、ゆ~てなっ」と

、退散。


「うんっ!」と、一言、母がご返事あそばす。まあ~,後は、ヘルパーさんにお任せするしかないのだ。





   「やってくれてんのん、ごめんな~、」母の日常、その(106)


2006/2/7(火) 午後 0:21

某月某日 夕食後、母は一生懸命、お仕事中(ティシュペーパーをお饅

頭にする作業)。やかましい、テレビもなんのそのだ。そんな母に。


「あんまり、根詰めて、したらあかんのんちゃうん?」声をかける。


「しとかな~、だれがするぅ~」当然と、言わんばかりだ。


「うん、そうやけど、明日、学校(デイ施設)やしな~、半分おいといた

らわ~」


「みなせなあかんねんっ!」と、きっぱり仰る(ハッキリしてるわ~)。


「何んで~な~」と、ボソット私が、呟くと。


「あんたーっ!、そんなこともわからんのん?」母が、聞き逃すハズがない、嘆かわしそうに、私を見る。


「いや、分かってるけど~、しんどいやろ~」


「ふん、、、」私の言う事など眼中にない。私は諦めて、食器の後片づけの

ため、キッチンへ。


「にいちゃ~ん、にいちゃ~ん、なにしてんのん?これぇ、みとかんかいな~」


「はいはい、見てるよ~」


「どこや~?」


「此処、ここ、ほら~」と、私は対面キッチンから、顔を出す。


「そんなとこ、おったんか~?、なにしてるん?」


「うん、食器な~、洗う~てんねん」


「わたしがしょうか?」


「え~よ、すぐ、終わるから、そんなよ~けないからな!」


「ふ~ん、そうか」しばらくして。


「にい~ちゃーん、にい~ちゃ~ん、どこや~?、よんでんのにへんじもせ~へん」


「う~ん、此処やんか~」


「そんなとこで、なにしてるん?」


「うん、洗いもん片付けてんねん、すぐ、終わるよ~」


「へぇ、やってくれてんのん、ごめんな~」(母は私が、何をやっているのか、全て分かっているのだ)。ティシュペーパーの饅頭が完成している。後はこれを、お供えするだけである。





  「あんたが、ゆ~てくれな、あかんやんか!あほかーっ!、」母の日常、その(107)


2006/2/8(水) 午後 0:30

 某月某日 夕食後、珍しく母がテレビに釘付けである。最近は快眠快食。厳しい寒さに慣れたのか、ようやく生活にリズム感が出てきた。


「面白いか~?」


「うん、にいちゃんもみてみぃ」


「うん、ちょっと、これしてからな~」と、私は、竹の小細工をやっていた。


「なんで、あんなことしてるん?」と母。


「うん、ああ、あれは、コマーシャルやから」


「このひと、だれや?」


「うん、コマーシャルやからな、分からんわ~」


「どこのひとやて~?」


「うん、そやからな~、コマーシャルやから、分かれへん」


「ふ~ん」


「今日は、テレビよ~見てんねんな~」と、母に。


「う~ん、いまなにゆ~た」


「いやな~、お袋ちゃん、今日はな、テレビよ~見てんな~、ゆ~てんねん」


「いつも、みてるわーっ!」


「そうか~、面白いんかいな」


「ここどこや~?」


「東京かな~?いや、横浜かもな~?」


「あのおんなのひと、なにゆ~たんや?」


「えぇ、誰や~?」


「いま、なんか、ゆ~たでぇ、なにいいよった~?」


「ちょっと、分かれへん、見てなかったから」真面目な顔をして、母はしばらく、TV画面に見入っていた。


「にいちゃ~ん、あのひと、いま、なにゆ~た~?」


「えーっ!」と、母を見た。


「きこえへんのかー!、なに、いいよったー!」TV画面は、次々変わるので、母が何を指さして。


「女の人か、男の人か~?」


「おとこの、ひとやんかー!、いま、いいよった!」


「ご免、ごめん、見てなかった~、ドラマやからな、ちょっと、ややこしいねん」


「あんたが、ゆーてくれな、あかんやんかー!、あほかーっ!」


「う~ん、、、」それはそうだ。私が解説しないと、母には、ドラマとコマーシャルの区別が付かない。(こら~、一緒に見たらなあかんわ~)と思い、竹細工の手を止めた。




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