表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

35/38

「何」が起きても、、、。



  「ふっ、わて、かわいいやろ~、なっ!、」母の日常、その(93)


2006/1/18(水) 午後 0:41

某月某日 母の反応は、極めて自然である。昨日、早速、出来上がったばかりの、ブログ本の「表紙」を夕食後の母に見せた。


「お袋ちゃん、これな~、お袋ちゃんと僕の本の表紙やで、見て、ほら~」


「うん」と、母。


「これが、お袋ちゃんの顔写真やっ!」


「これぇー?、これ!わてかいな~、はっははー、ほんまや!わてやんか~」


「よう見てみい~、お袋ちゃんやろ~」


「なんでぇ!こんなんや~、だれがしたんや~、はっはっは~、わてや~、これーっ!」


「え~顔して、写ってるやろ~」


「にいちゃん、そないおもうか~?」


「見てみぃ~な、え~顔やんかー!」


「ほっ、ふっふっー、こんなかおか~、だれがしたん?」


「本の表紙やで、これで、お袋ちゃんと僕の本作るねん、え~やろ」


「にいちゃんがしたんか~、かしこいな~、いつしたん?」


「うん、まだなっ、表紙だけ出来ただけやけど、来週には、ちゃんと、本になるんや!」


「へぇ、そうかいな~、ほんまか~?なんか、かいたある、かいご、、、」


「はは~ん、これな~`かいごさぶらい`て書いてあんねん」


「ほんまや~、はっはは~ん、か、い、ご、さ、ぶ、ら、い、かっ!」


「そ~や、ちゃ~んと、読めるやん!」


「あたりまえでしょー!」


「ここに居てるんが、僕やで~、(左下のイラストの絵を指さして)」


「これぇ、にいちゃんか?、ちがうやろ~?こんなちいさないで!」確かに。


「そら、そうや、そんな、小さないわな~、これは、僕をなっ、漫画にしたんや!」


「はっはは~、なんや、まんがか~、あ~っ、ここにもなんか、かいた~る、た、だ、」と、母が文字を読み出した。


「まあ、そこは、え~やん、お袋ちゃん、え~顔で写ってるな~!、本、出来たら読んだるわな~」


「ふっ、わて、かわいいやろ~、なっ!」


「うん、可愛いわ!」母は、ニコニコしながら、この後。


「ちゃ~んと、これ(表紙)なおしといてや~!」と、私に言った。





   「そんなことまで、してくれてはんのん!ありがと~ね~、」母の日常、その(94)


2006/1/19(木) 午後 0:27

某月某日 今日は晴天。少し寒いが、気持ちが良い。ベランダで、洗濯物を取り入れていると、母の声が聞こえた。お目覚めのようだ。ご機嫌はどうかな、と思いながら。


「起きたんか~?おはようさん!」


「おしっこやねん」


「はいはい、行こか~」


「こんなとこやったんか~?」と、トイレの前で母が。


「そうやでぇ、綺麗やろ~」


「はじめてやからな~、しらんかった~!」


「そうか?、覚えときな~」


「ふっ~ふ~ん、にいちゃん、でたわ~っ」


「ほんまや、チョロチョロ、ゆ~て、音がしたわ、元気な証拠やんか~」


「わて、げんきかー!」


「そらそ~や、おしっこも、うんちも、出るから元気やねん」この様な会話を、毎日続けたいと、私は願っている。


「にいちゃん、よ~しってるなっ」用を足して、母を洗面所へ。


「わ~っ、ぬくいわっ!」


「お湯、気持ちえ~やろ、ちゃ~んと、顔も歯も洗いやっ!」


「うん、プク、プク、プク、ペェー」一生懸命、口をすすぐ母。すんなり、起きてくれたので、そのままリビングへ。母を座椅子に座らせ、私は、と。取り残した洗濯物を取り入れ、手早く母の朝食の準備。


「ご飯つくってるから、ちょっと待ってな~」と、母に声をかけながら、ゴミ出しの準備やお米を炊く準備、それに、私自身の身支度、等々。あちゃ、こっちゃ、動き回る私を見て母が。


「そんなことまで、してくれてはんのん、ありがとうね~」母を見ると、私に向かって、手を合わせている。


「謙虚やな~、お袋ちゃん、みたいな、お年寄りにならな、あかん」と、私は頭の中でそう思った。





   「しらんかったー、なにも、いうてくれへんから!」母の日常、その(95)


2006/1/20(金) 午後 0:59

某月某日 今日はデイが休みだ。派遣されたヘルパーさんが帰り、午後3時半からは、母と私の二人だけになる。そんな日は、決まって母の好きな「カラオケ大会」だ。夕食後、早速始まる。


「お袋ちゃん、歌でも唄を~か~」と、母を誘う。


「うん、なにうたうん?」


「♪わたし~が、あなた~に、ほれた~のは~」と、私が十九の春を唄いだすと。


「あ~、それ、しってるぅ、こ~やなー!」と母も合わせて、唄いだすのだ。二人で合唱。はい、次。


「♪知床の~岬に~、は~まなす~の咲く頃~」と「知床旅情」を。もう、慣れたもので、軍歌から、童謡唱歌、何曲かは、分からないが、2時間近く、親子でカラオケ大会だ。アカペラで。最後は決まって、私の口伴奏の、ベンチャーズの「霧のカレリア」と「クルーエルシー」だ。


「もう、ないんか~?」と母が興に乗って聞く。


「うん、唄い疲れたわ~、ちょっと、休もうか~」


「♪zzzzzz、」と、母が田舎の持ち歌を気持ちよさそうに、口ずさむ。


「お袋ちゃん、よ~覚えてるな、まだ、あるんか?」


「しらんのん!、にいちゃん、こなんもあるぅ~」と、母がまたまた、口ずさむ。私も、合唱する。


「上手いな~、お袋ちゃん、それに、よ~覚えてるやんか~、00帰りたいか~?」


「あたりまえでしょう!、つれていったろか?、にいちゃんも!」


「行こか~、お袋ちゃんの、腰(母は腰の骨を二回圧迫骨折している)が治ったらな~」


「こしぃー!、わて、こしのほね、おったんか~?」


「そうやで~、一人で立たれへんやろ~」


「いつ、そんなんなったん?」


「もう、だいぶ、前やけどな~」


「なおるんか~?」


「心配せんでも、治るよ~、一緒に田舎の00行こ~な、薬飲んで、はよ治そな~」


「しらんかった~、なにも、いうてくれへんから!」田舎の00の話になると、母の顔は自然とほころぶのだ。





   「うん、そうか、にいちゃんばっかりさせて~、ありがと~ございます!」母の日常、その(96)


2006/1/23(月) 午後 0:57

某月某日 今日は、粉雪が舞う寒い朝だ。母をデイに送り出すべく、何時もの日課をこなす。8時過ぎ、母のご機嫌を伺いに母の和室へ。


「お袋ちゃ~ん、起きよか~、な~」寝ている母の耳元で。


「う~ん、びょうきやから~、かぜひ~てんねん」


「そうか~、ちょっと、熱ないかみたるわ~?」


「つめたい!、さわりなっ!」


「ご免、ご免、熱ないな~、しんどいんか~?」


「びょうきや、ゆーてるやろーっ!」


「ほな、病院いかなあかんやんか~?」


「さぶいっ!ほっときんかいなー!」


「分かった、わかった」さて、取りあえず、しばらく様子をみてから。「ひょっとしたら、今日はデイにはいかれへんかな~」と思いつつ、ギリギリの8時半頃まで、待つことにした。あっという間に8時半だ。


「お袋ちゃん、熱いお湯で、顔洗~をか~?気持ちえ~よ」


「かぜひ~てんねん、ねかせて~、にいちゃんさむいっ!」同じことの繰り返し。「こらあかんかな~」と思った。一縷の望みを託し、母の意表を突いて掛け布団をめくった。と、、、。


「なにしてんのん!、あほー!さむいやんかー!ばかたれ!」と、母の右手が私の頭を素早く叩く。


「痛い、痛い!、分かった、わかったー、ご免やー、叩かんでもえ~やろにぃ」思えば、母のパンチをよけきれたことが無い。(我ながら不甲斐ない)。


「あほかーっ!」と、母の止めの一喝が放たれた。もう、8時45分。「こら、あかん」と私は、急いで、ケアマネさんに電話。ヘルパーさんを派遣してもらうよう、緊急の交渉へ。次いで、デイ施設へ休ませてもらう旨の連絡。そして、会社へ遅刻する旨の連絡を。あいにく、この日、いつも頼りにしている、ケアマネの00さんが体調を崩され、お休みだった。00さんには、いつも、ご無理をお願いして、助けてもらっていた。このため、少し不安だったが、9時過ぎに、ヘルプステーションから電話があり、派遣の手配が出来たとの、連絡が入った。


「お袋ちゃん、看護婦さんが、もう直ぐ、来てくれはるから、みてもらお~なっ」


「うん、そうか、にいちゃんばっかりさせて~、ありがとうございますぅ」安心しきったような母の顔。11時前に無事会社へ出勤することが出来た。途中で家に電話連絡を入れると。


「10時過ぎに、おしっこで、おきはりましてねぇ、いま、ご機嫌よ~したはりますよ!」との派遣ヘルパーさんの声を聞き、一安心。まだ、粉雪が舞っている。「寒かったんやな~、お袋ちゃん」と、呟く私。(お袋ちゃんは正直だ)。





   「いらん!、しらん!、」母の日常、その(97)


2006/1/24(火) 午後 0:36

某月某日 この日、「かいごさぶらい」のブログ本が出来上がったので、夕食後、珍しくテレビを見ていた母に、早速、本を見せることにした。母は珍しくTVを観ている。


「お袋ちゃん、え~もん、見せたろか~?」


「う~ん、ははっ~、あのひとな~、いま、わろたはるわ~!」


「これや!、この本な~、今日出来たばっかりや、見てみっ!」


「うん、なんやこれ?」


「お袋ちゃんと、僕のこと書いた本やで、立派な本やろ~!」


「おもたい!ほんやな~?」と、母は両手で本を持ち、重さを量るように上下させた。


「表紙見てみ、お袋ちゃんや!」


「はっはは~、にいちゃん、あのひとな~、またこっちみよったわ~」TVには、滅多に関心を寄せない母だが、どうも今日は様子が違う。


「お袋ちゃん、この本ちょっと、読んだろか~?」


「いらん!、しらん!」と、キッパリ。


「んん、、、」全く関心なし。「こら、あかん、まっ、え~わ、今度の日曜日は、母と二人きりやし、退屈しのぎに、その時にでもゆっくり聞かせたろか~」と、私は思い、今日は諦めた。





   「わて、し(死)んでるんちゃうか~?、」母の日常、その(98)


2006/1/25(水) 午後 0:38

某月某日 寒さによるものか、年明け以降、母の生活のリズムが少しづつ狂ってきたようだ。


「さぶいのにぃー!、おきへんわー!」(そらそうだろう、今日は冷え込んだ)。


「こっちな~(リビング)、暖房入れてあるから、温いで~」と、母を誘うが。


「うん、もう、ちょっと」午前8時前。「また、今日もあかんかな~」と、思いながら、デイ施設へ出掛ける準備をすることにした。朝は、時間の経つのがやけに早い。もう直ぐ8時半だ。デイに送り出すためには、もう、起こさないと、アウトである。母の寝床へ。


「お袋ちゃ~ん、温いとこ、行こか~、な~っ」


「なにすんのん!、いけへん!」おー危ない、これ以上近づくと、母の右パンチが飛んでくるのだ。


「うん、、、」と、ほぼ、諦めかけた、その時。


「おしっこ」と、母が。


「そ~やろ~、行こう~」これは、絶好のタイミングだ。これで、母は、自分の意志でデイ施設へ行くことが出来るのだ。トイレへ行き、洗顔して、そのまま、リビングへ。


「わて、あほになってんねん」


「何んでや~、どうしたん?」


「わかれへんねん、あほになってん」


「そんなことないでぇ、ちゃ~んと、起きてるやんかあ」朝食の用意はしてあるが、全く手をつけようとしない母。


「ご飯食べぇ、元気でるから~、なっ!」と、促すが。


「わて、し(死)んでるんちゃうか~?」


「何ゆ~てるん、あほなことゆ~たらあかん、死んだ人が物言う分けないやんか~、なーっ、そうやろ~」


「あんた、そうゆ~けどな~、し(死)んでんねん」この繰り返し。母が自ら、話題を変えるまで続く。私の頭はフル回転、(こう~なったときは、あ~なったときは、等々,と悪い頭をフル回転させ)。結局。


「ヘルパーさんに、助けてもらうしかないかな~」と、何時もの結果だ。(ヘルパーさんほんまにすいません)。直ぐに連絡の電話を入れた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ