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第2話:神童の憂鬱と、堅物教師の陥落

東都北西部を牛耳っていた不良のトップ、『鬼怒きぬ』が、たった一撃で謎の中学生に沈められた。

 その噂は、瞬く間に近隣の不良界隈を駆け巡った。

 俺(御堂司)からしてみれば、あんな見掛け倒しの筋肉だるまは、前世の満員電車で肩がぶつかるおっさん以下の「雑魚」だった。だが、不良たちの間では、鬼怒は血も涙もない恐ろしい怪物として恐れられていたらしい。

「……マジで、どうでもいいな」

 俺は、自席でノートの隅に落書きをしながら、大きなあくびを噛み殺した。

 退屈な日常に少しのスパイスを求めたつもりが、変な武勇伝になってしまった。まあ、それ自体はどうでもいいのだが、俺が鬼怒をワンパンで沈めた張本人だということだけは、なんとしてもバレるわけにはいかなかった。

 なぜなら俺は、この『東都秀英とうとしゅうえい中学校』において「完璧な優等生」であり、栄えある生徒会長なのだ。

 三ツ星重工のエリートである厳格な父・修一と、息を呑むほど美しい母・涼子。あの二人の期待を裏切りたくない……というような殊勝な気持ちは微塵もないが、軍事国家『瑞穂』のエリート予備軍が集まるこの中学校で問題を起こせば、俺の自由な「暇つぶし(支配)」の範囲が狭まってしまう。

 だが、その懸念は最悪の形で現実のものとなった。

『――二年A組、御堂司くん。至急、職員室の白鳥しらとり先生のところまで来なさい』

 昼休みの静かな校舎に、冷たく無機質な校内放送が響き渡った。

(……チッ。面倒くせぇことになったな)

 俺は舌打ちを堪え、優等生らしい爽やかな笑みを貼り付けて、職員室へと向かった。

 ***

 職員室の奥のデスクで待っていたのは、二年生の学年主任、白鳥冴子しらとり さえこだった。

 年齢は四十を少し過ぎたあたり。銀縁のきつい眼鏡の奥の瞳は神経質そうに細められ、第一ボタンまで隙なく留められたブラウスとタイトスカートが、彼女の「堅物」ぶりを象徴していた。

 四十代にしては無駄な肉がついておらず、スタイル自体は悪くない。だが、色気など微塵も感じさせない鉄仮面のようなおばさんだ。

(……はぁ。さすがの俺の【精力MAX】でも、この干からびた熟女を抱く気にはなれねぇな)

 俺は心底ウンザリしながら、白鳥の前に立った。

「……御堂くん」

 白鳥は、周囲の教師たちに聞こえないよう、声を潜めて切り出した。

「あなたが先日、他校の不良グループと乱闘騒ぎを起こし、複数名を負傷させたという目撃証言がありました」

「……俺が、ですか?」

「ええ。あなたのような、我が校が誇る最高に優秀な生徒が、あんな野蛮な真似をするとは私も信じられません。ですが、複数の生徒から具体的な証言が出ているのです」

 白鳥は、眼鏡を中指でクイッと押し上げ、俺をジロリと睨みつけた。

「……今は、私一人の胸に留めています。ですが、本当のことを言ってなさい。先生はあなたの味方ですし、あなたはこれからこの瑞穂を背負って立つ人間なのですから。正直に話せば、なんとか穏便に済むよう取り計らいます」

 カンストした俺の【知能・思考】が、即座にアラートを鳴らした。

(……嘘だな。こいつの目、『美味しい餌を見つけた』って目をしてやがる)

 この手の堅物ババァは、正義感と自己顕示欲の塊だ。俺が少しでも非を認めれば「生徒指導の功績」として即座に上に報告し、俺の生徒会長の座を引きずり下ろして大問題にする気満々なのだ。

「……そうですか。先生が、俺の味方でいてくれるんですね」

 俺は、哀しげに目を伏せ、わざとらしくため息を吐いた。

(……しゃーねぇ。熟女趣味はないが、背に腹は代えられん。俺の完璧な中学生活(おもちゃ箱)を守るために、このババァを『再起不能』にしてやるか)

 俺は、白鳥に向かって一歩だけ距離を詰め、カンストした【魅了・フェロモン】の蛇口を全開にして放った。

「……先生。先生にだけは、本当のことを話したいんです。でも、ここじゃ……」

「み、御堂くん……?」

 俺は、白鳥の耳元に口を寄せ、甘く、ねっとりとした低音で囁いた。

「……二人きりで、話がしたいです。放課後、社会科準備室で待っていてくれませんか? 先生になら、俺の『全部』を教えますから」

 ビクンッ!!

 白鳥の肩が、大きく跳ねた。

 俺の放った圧倒的な雄のフェロモンが、彼女の脳を直接揺さぶったのだ。

 先ほどまでの冷徹な鉄仮面は崩れ去り、眼鏡の奥の瞳が、トロンとした熱を帯びた「女」のものへと変貌していく。頬は朱に染まり、タイトスカートの下の太ももが、微かに擦れ合っているのが分かった。

「……ほ、放課後ね……」

 白鳥は、震える声で、どこか艶っぽく上ずった声で答えた。

「他の誰にも、言わないでね……待っているから……」

 ***

 放課後。

 人気のない特別教室棟の奥にある、薄暗い社会科準備室。

 俺が誰にも見つからないようにドアを開け、内側からカチャリと鍵をかけると、部屋の中央で白鳥が待っていた。

 彼女は、昼間の堅物教師とは全く別の生き物だった。ブラウスの第一、第二ボタンはだらしなく外され、形の良い鎖骨と、わずかに汗ばんだ谷間が覗いている。

「先生……来てくれたんですね」

 俺はゆっくりと歩み寄り、逃げ場を失った白鳥の腰を、背後から強く、強引に抱き寄せた。

「ああっ……み、御堂くんっ……だめよ、こんな……」

 白鳥は口では拒絶しながらも、俺の腕から逃げようとはせず、むしろ自らの背中を俺の胸に擦り付けてきた。

「俺が、喧嘩なんかするわけないじゃないですか……」

 俺は彼女の耳たぶを甘く噛みながら、フェロモン全開の低い声で囁いた。

「だって俺は、先生の言うことなら、なんでも聞く……良い子なんですから」

「ひぐっ……ぁあ……っ」

 俺の指が、銀縁の眼鏡をゆっくりと外し、床へ落とす。

「眼鏡を外した先生……すごく綺麗だ」

 その甘い毒のような言葉が、彼女の残された僅かな理性の糸を、プツリと断ち切った。

「あぁっ……司くんっ……!」

 白鳥は狂ったように振り向き、俺の首に腕を絡ませ、自ら唇を塞いできた。

 ひどく不器用で、飢えきった、野獣のようなキスだった。俺は彼女の開いた口内へ舌を侵入させ、その熱い粘膜を隅々まで蹂躙していく。彼女の口から漏れる銀の糸が、薄暗い準備室の窓から差し込む夕日に妖しく光った。

「……ほら、先生。俺の『本当のこと』、教えてあげるよ」

 俺は白鳥のブラウスを乱暴に引き裂き、四十年以上も厳格に封じ込められてきた、その豊満で成熟した果実を直接揉みしだいた。

「いやっ、ああっ! 嘘っ、そんなに強く……っ、おかしくなっちゃうぅっ!!」

 彼女の体は、俺の指先が触れるたびに、まるで高圧電流を流されたようにビクビクと跳ね回る。

 タイトスカートの中へ滑り込ませた俺の手は、彼女がすでに下着を濡らしきり、熱い蜜を太ももまで滴らせているのを確認した。

(……干からびてるかと思ったが、随分と溜め込んでたんだな、おばさん)

 俺は、埃っぽい床に広げた古地図の束の上に彼女を押し倒し、俺のカンストした【精力】と【絶倫・テクニック】のすべてを、その乾ききった奥底へと容赦なく叩き込んだ。

「ひぃっ!? ぁ、あぐっ、あぁぁぁぁぁぁッッ!!」

 白鳥の喉から、教師らしからぬ、あられもない獣のような絶叫が迸った。

 俺が腰を打ち付けるたび、彼女の成熟した肉体は快楽の波に抗えずに大きく反り返り、白目を剥いて涎を垂らしながら、何度も、何度もとめどない絶頂を繰り返していく。

「しゅ、主任っ……わたし、もうっ……だめぇっ、司くんの、すごすぎるぅっ!!」

 地位も、年齢も、教師としてのプライドも。

 俺の圧倒的な暴力的なフェロモンと快楽の前に、すべてが木っ端微塵に粉砕され、彼女はただ俺の種を欲しがる発情した『雌豚』へと成り下がっていった。

 ――一時間が経過した頃。

 薄暗い社会科準備室の床には、完全に俺のフェロモンに調教され、腑抜けになった白鳥の姿があった。

 引き裂かれたブラウスの胸元を隠そうともせず、乱れた髪のまま、俺の足元で焦点の合わない目を潤ませ、だらしなく熱い吐息を漏らしている。

「……はぁっ……はぁっ……つか、さ、くんっ……また、してね……?」

 彼女は、すがりつくような媚びた視線で、俺の制服の裾を弱々しく掴んできた。

 そこには、あの神経質で堅物だった学年主任の面影は微塵もない。俺という絶対王者の快楽なしでは生きていけない、哀れな奴隷女の姿しかなかった。

「……ああ。俺が『良い子』にしてる限りは、また可愛がってやるよ」

 俺は、白鳥の汗ばんだ頬を軽く叩いて笑うと、乱れた制服のネクタイを締め直し、何事もなかったかのように社会科準備室から出ていった。

 退屈な中学生活の、ほんの小さなスパイス。

 俺の「完璧な日常(おもちゃ箱)」を脅かそうとした代償は、彼女にとってあまりにも甘く、そして取り返しのつかない破滅だった。

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