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第23話:欺瞞の放送室と、血塗られた小旅行への招待状

いつものように紀伊国屋優子と並んで通学路を歩いていると、突然、俺たちのスマートフォンの群れが一斉に不吉な緊急アラートを鳴り響かせた。

「えっ……なに……!?」

 優子がビクッと肩を震わせ、強張った顔で足を止める。

「大丈夫だよ」

 俺は優等生の仮面を被ったまま、彼女の華奢な肩を抱き寄せ、スマホのニュース速報に目を落とした。

『速報:大星たいせいの内部崩壊に乗じ、北蒼ほくそう共和国軍が南のそう国へ軍事侵攻を開始』

 画面の向こうでは、瑞穂のトップである大鷹おおたか宰相閣下が、同盟国である蒼国への派兵を力強く呼びかける緊急演説を行っていた。

(……なるほど。こりゃあまた、俺にお呼びがかかるのかねぇ)

 俺が内心で冷たく嗤っていると、優子がすがりつくように俺を見上げてきた。

「司くん……戦争に、なるの? 私たち、大丈夫かなぁ……」

「心配ないよ、優子ちゃん。瑞穂には強力な電磁バリアもあるし、無敵の防衛軍がついている。大鷹宰相閣下がいらっしゃる限り、僕たちの平和は絶対に守られるよ」

 俺は、政府が垂れ流すプロパガンダの文句をそのまま、甘く優しい声で囁いた。

 たったそれだけで、優子の顔からは不安が消え去り、いつもの安心しきった表情へと戻っていく。

(……こんな単純な馬鹿ばかりなら、大鷹とやらも国家運営がさぞ簡単だろうな。死ぬほどつまらなそうだが)

 俺は従順な羊を撫でるように優子の頭を撫で、そのまま学校へと向かった。

 ***

 教室の扉を開けると、中はすでに蜂の巣をつついたような大騒ぎになっていた。

 隣国での戦争勃発、そして防衛軍の軍事介入。「もしかすると、中学生の自分たちまで徴兵されて前線に送られるのではないか」という恐怖が伝染し、皆が青ざめた顔で騒ぎ立てている。

(……ぐちゃぐちゃと、うるせぇな)

 このどうしようもない騒音に耐えきれなくなった俺は、「生徒会長」という便利な肩書きを利用して、足早に放送室へと向かった。

 マイクのスイッチを入れ、カンストした【カリスマ】と【魅了】のスキルを音声に乗せて全開にする。

『――全校生徒の皆さん、落ち着いてください』

 俺の低く、絶対的な響きを持った声がスピーカーから流れた瞬間、学校中の喧騒が魔法のようにピタリと止んだ。

『たしかに、十五歳で防衛予備隊の試験をクリアした我々が徴兵されることは、瑞穂の法律上あり得ることです。しかし、大鷹宰相閣下のお考えの通り、我々が向かうのはあくまで蒼国の後方支援であり、前線で血を流すわけではありません。ましてや、未成年の僕たちが最前線に送られることなどないのです。どうか、安心して勉学に励んでください』

 ただの政府の受け売りだ。正直、誰が徴兵されようが、どこで何万人死のうが、俺の知ったことではない。ただ、自分の周りの羽虫どもを黙らせたかっただけである。

 放送を終え、機材の電源を落とそうとしたその時。

 カチャリ、と放送室の重い防音扉が開いた。入ってきたのは、俺の完全な「奴隷」へと堕ちた学年主任の女教師、白鳥冴子しらとり さえこだった。二年から三年へと持ち上がりになった彼女は、俺の支配下にあって久しい。

「司様……っ、なんという、素晴らしいお声……。ああ……っ」

 普段は厳格な彼女の瞳は、すでに知的な教育者のものではなく、発情した雌のそれへと濁りきっていた。俺のカリスマを帯びた声帯の震えを聴いただけで、彼女のタイトスカートの奥からは、とめどなく甘い蜜が零れ落ちていた。

「はぁ……。一難去ってまた一難かよ」

 俺はため息をつきながらも、すがりついてきた白鳥の身体を強引に抱き寄せた。ワイシャツのボタンを引きちぎるように外し、あらわになった成熟した白い柔肌に、容赦なく牙を立てる。

「あっ、ひやぁっ!? だ、だめです司様、そんなところっ、痕が……っ」

 口では拒絶しながらも、その瞳は歓喜に濡れている。俺という絶対者に「支配されている証」を刻み込まれる悦びに、彼女は完全に打ち震えていた。

 白鳥は身をくねらせながら、自ら進んで俺の制服のズボンに手をかけ、熱を帯びた俺の猛りを、卑猥に濡れた唇で名残惜しそうに咥え込んだ。

 俺は彼女の奉仕を見下ろしながら、カンストした【器用さ】を宿した指先を、タイトスカートの上から彼女の最も敏感な秘所へと這わせた。

「ひぎぃっ!? あ、あぁぁぁっ! 司様っ、だめ、そんな凄いのっ……あぁっ!」

 薄布越しに絶妙な力加減で蹂躙される快楽に、白鳥の身体は弓なりに反り、やがて放送室の床に、水たまりができるほどの激しい絶頂の証をぶちまけた。

「……先生。神聖な放送室をこんなに汚しちゃって、悪い子だ。あとで隅々まで掃除が必要だな」

 俺は冷たい眼差しで雌犬を蔑みながら、ズボンを完全に脱ぎ捨てた。

 そして、立ち上がろうとする彼女の腰を乱暴に掴み、熱く昂った剛剣を一気に、限界まで濡れそぼった蜜壺の最奥へと叩き込んだ。

「あぁぁぁああっ!! 奥、司様のが、奥までぇっ!!」

 完全な防音室に、肉と肉が激しくぶつかり合う淫靡な水音が響き渡る。

(……このままマイクのスイッチを入れたら、全校生徒はどんな顔をするだろうな)

 そんな悪趣味な想像を巡らせたが、ギリギリで学園での「完璧な優等生」の仮面を守ることにした。俺はよがり狂う白鳥の身体を壁に押し付け、その深く熟れた子宮の最奥へと、圧倒的な熱情を余すところなく解き放った。

 事後。

 荒い息を吐きながら床に崩れ落ちる白鳥を見下ろし、俺は冷酷な声で命じた。

「……じゃあ、お前が汚してベチャベチャにしたその床を、お前の舌で綺麗になるまで舐めておけ」

 俺の絶対的な命令に、白鳥は恍惚とした表情を浮かべた。

「……かしこまりました、司様」

 彼女は四つん這いになり、自らが撒き散らした愛液と白濁で汚れた床を、犬のように這いつくばって一心不乱に舐め始めた。

「……ははっ。いいザマだ」

 床の汚れを嬉々として掃除する雌犬の姿に満足し、俺はニヤリと嗤って放送室を後にした。

 ***

 その頃。東都の国家情報省、神崎の執務室。

 神崎は、今回の蒼国への内政干渉において、最強のジョーカーである俺を現地へ派遣するよう軍上層部へ強く要請していた。

 表向き、十五歳の学生を最前線の戦場に出すことは世論が許さない。だが、神崎は「局長直属の特務エージェント・クロノス」としての身分を偽造し、第一部隊への強行配属を決定させた。

 奇しくもその第一部隊には、葦原所長が調整を終えた「3体のパーフェクトヒューマン」も試験運用として配備されることが決まっていた。

 ***

 放課後。優子との退屈な図書室での勉強会を終え、家に帰ると、母が大粒の涙をこぼして玄関にへたり込んでいた。

「司……っ! これ、これが来てたの……っ!」

 母の震える手には、赤紙――防衛予備隊からの『召集令状』が握られていた。

「大丈夫だよ、母さん」

 俺は泣き崩れる母の背中を優しく擦り、完璧な息子の笑顔を作った。

「規則では、僕たち十五歳の予備隊員が最前線に立つことは絶対にないって決まってる。安全な国内の基地で、後方支援の訓練をするだけだよ」

 そう言って母を安心させながら、俺の口角は微かに、残酷な弧を描いていた。

(……まぁ、神崎のおっさんのことだ。『クロノス』の名前を使って、一番血の匂いが濃い最前線に俺を放り込む気満々なんだろうな)

 出発は明日。

 退屈で死にそうだった日常に舞い込んだ、血塗られた小旅行への招待状。俺は自室へ戻りながら、久しぶりにほんの少しだけ、心が躍るのを感じていた。

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