第9話:奈落の密談と、帝国の深淵
放課後の静寂に包まれた電算室。
無機質なサーバーの稼働音だけが低く響くその部屋で、俺(御堂司)は冷たい回転椅子に深く腰掛け、モニターの青白い光に照らされていた。
その足元には、昨日まで国家の猟犬として鋭い牙を剥いていたはずの女スパイ、黒崎レイが、乱れた教師の服のまま膝をつき、恭しく頭を垂れている。
「……さあ、レイ。お前の知っている『国の毒』を、すべて俺に差し出せ」
俺が氷のように冷たい声で命じると、レイはビクンと肩を震わせた。
彼女の瞳は、すでにプロの工作員としての光を失っている。そこにあるのは、俺から放たれる圧倒的な【魅了・フェロモン】の毒に中てられ、思考能力を快楽へと変換するだけの、ただの雌の熱だった。
「はい……司様。……まず、大鷹内閣が極秘に進めている計画の真実……それは、隣国との紛争を意図的に誘発させ、軍需産業を強制的に再興させるための、自作自演のテロ計画です……っ」
彼女の唇から、国家を揺るがす禁忌の機密が、掠れた声で次々と零れ落ちる。
一つ暴露されるたびに、俺は彼女の細い顎を乱暴に持ち上げ、その潤んだ瞳を覗き込んだ。
「……ほう。随分と薄汚れた計画だな。だが、お前の声はまだ、少し震えている。……『教育』が足りないようだな」
俺は彼女を強引に引き寄せ、デスクの上に押し倒した。
抵抗など微塵もない。むしろ彼女は、俺の手が触れることを魂の底から待ち望んでいた。俺は彼女の衣服を無造作に剥ぎ取り、露わになった柔らかな肢体を視線で蹂躙する。
「あ……ぁ、あぁぁ……っ!!」
レイの背中が弓なりに反り、激しく痙攣する。
俺は彼女の最も熱く濡れた深淵へと、俺の絶対的な猛りを迷うことなく一気に沈み込ませた。
「ひぎぃっ……!? あ、あぁぁっ……!!」
彼女の身体が、これまでにないほどの衝撃に打ち震える。俺の放つ圧倒的な生命の熱が、彼女の最奥を容赦なく突き上げ、精神の最後の一線をドロドロに溶かしていく。
密室に響くのは、肉と肉がぶつかり合う卑猥な水音と、理性を失った女の甘い悲鳴だけだ。俺が腰を打ち付けるたびに、彼女は白目を剥き、よだれを垂らしながら俺の背中に爪を立て、至上の快楽の中に溺れていった。
秘密を差し出し、身体の奥底まで捧げる。そのすべてが彼女にとって、俺という絶対者への至上の『供物』と化していた。
***
狂おしい時間の果てに、彼女の口からある男の名が出た。
「……神崎。……かつての革命の英雄。……現在は、国家情報省の局長として、実権を握る男……」
神崎。
この世界の退屈をぶち壊してくれる、骨のある相手かもしれない。俺は、その男に強烈な興味を抱いた。
「……その神崎に会いたい。奴の懐へ潜り込める、隠されたルートを教えろ」
俺の問いに、レイは涙目で首を振った。
「も、申し訳ございません……っ。神崎局長は、省内でも徹底的に秘匿された存在……っ。直接の連絡ルートは、私のような現場の猟犬にはアクセス権が……っ」
「……使えない豚だな、お前は」
俺は、彼女の髪を乱暴に掴み、至近距離でその絶望した顔を見下ろした。
そして、再び彼女の奥深くを力任せに蹂躙し、言葉の代わりに苛烈な支配を叩き込む。カンストした【筋力】を微かに込め、逃げ場のない密室で彼女の精神を徹底的に追い詰める。俺の猛りが彼女の最深部を激しく弾くたび、鋭い刺激と甘美な衝撃が彼女の全身を駆け抜ける。
「あぐっ、あぁぁぁぁッ!! ごめんなさい、司様っ……いえ、ご主人様っ!!」
レイは、プロのスパイとしてのプライドを完全に粉砕され、床にだらしなく倒れ伏した。彼女の目はとろんと濁り、俺の足元にすがりついてくる。
「……レイ。お前はしばらく、そのまま『教師』としてこの学校にいろ。俺の身の回りの世話をさせ、国家情報省からの連絡を監視する、都合のいい雌犬としてな」
「は、はい……喜んで……。ご主人様、の、仰せのままに……」
俺は、ぐったりと床に沈む彼女に一瞥もくれず、電算室のパソコンの電源を落とした。学校の貧弱な端末では限界がある。俺はより強力な『武器』を求めて、自宅へと戻ることにした。
***
深夜。御堂家の、父・修一の書斎。
三ツ星重工のエリートである父の端末から、俺の指先がキーボードの上で音を立てずに舞い踊る。カンストした【知能】と【器用さ】は、電子の海においても無敵の力を発揮した。
「……簡単すぎたな。退屈の種にもなりゃしない」
数分後、モニターには国家情報省の裏の裏――神崎局長に関する極秘の個人データが表示された。情報を精査し、スマホへと次々とダウンロードしていく。
「……秋嵩、か」
そこには、国家情報省の秘密施設や国家の陰謀の答えなど、そんな大層なものがあるわけではない。そこには、ただ一軒の邸宅があり、一人の女が住んでいるだけだ。
神崎がかつて愛し、そして離婚した『元妻』だ。
「……英雄の元妻、か。面白そうだ」
神崎という男を揺さぶるための、最高のおもちゃ。
英雄が抱える最も深い未練を蹂躙し、その尊厳を泥で汚してやる。俺は冷酷に口角を上げると、父の書斎の明かりを消し、その場を去った。
中学三年生の一学期は、まだ始まったばかりだ。
卒業までの長く退屈な一年間。その最高の前座として、まずはこの国の英雄を絶望の底に叩き落としてやろう。夜の帳に包まれた俺の瞳は、新たなる獲物への期待で暗い悦びに燃えていた。




