第4話 入会
捕まえてから一週間がたった。
研究の進展は3つ。
1,核は正八面体の形をとっており、全長3cm
2,魔晶石の色とはことなり緑色の形であり、内側でさらに濃くなっている。
3,核の外側。スライムの粘液はスライムという生物が進化上で脳に刻まれた固有魔法の可能性が大きい。
その証拠に粘液を生成しているときは微妙に魔法特有の魔素の漏れを確認することができる。
この三つがわかったのは良いんだけど、核の正体がなぁ~。
新たな疑問は1つ。
核の正体について。
まあこっからは正直家にあるものじゃ研究できない。
立体顕微鏡で核の内部を調べたいけど金がないし親からも貰えないしな……
しゃ~ない。もうあれしかないんだし切り替えよ!
頬を勇気づけるようにたたき、再び黒いローブを身にまとい、夜の世界へと入っていった。
♢♢♢
外に出た目的はここ、南セルゾアにある冒険者ギルドだ。
そしてここが南セルゾアの治安を悪化させている元凶でもある。
外見はもう冒険者ギルドというより酒場のほうが近い。
「ドア前まで来たけど……や、やっぱり帰ろうかなぁ~僕にはまだ早いやあはは……」
苦笑いしながら振り向くと、そこにはまるで巨人を彷彿とさせる大柄でスキンヘッドなおじさんが立っていた。
その気迫はまるで猛獣だった。猛獣見たことないけど。
「入らずに、なに引き返そうとしてんだあんちゃん」
「いや、そっそのぉ~ちょっと場所間違えちゃったみたいです」
怖い怖い怖い!!!!!
「そりゃねえだろぉ。だってあんちゃんずっとここの前で入るか入らないか躊躇う独り言してたじゃねぇか。ずっと聞いてたぜぇ俺はよ~。じゃ入ろうか!」
その言葉を最後に大男は僕の肩をつかみ勢いよく扉を蹴り開ける。
そう、これが治安の悪い所以。
南セルゾア冒険者ギルドはならず者の寄せ集めなのだ。
「おおおお!! お帰り兄貴!!!」
「お前ら元気してたかぁ~!!」
「あたりめえよ! ところでそのガキはなんだい?」
ガキってひどくない?
「なんか入り口でさ、独り言ずっと呟いてておもれぇから連れてきた!! まあきっと入会希望だろ! がはは!!!」
まあ間違ってはないんですけど……
「なぁ~にいってんだい! こんなひょろがりが入会するわけねぇだろ。さっさとガキは帰りな」
ここまで来たらどうにでもなれだ!!
「そ、その入会希望です……」
「声小っちゃくて聞こえないねぇ~。なんだって?」
「入会希望です!!!」
全ての勇気を振り絞って腹の底から声を出した瞬間に僕の意識は真っ白になり途絶えた。
♢♢♢
「あれ、ここは……」
「おお、起きたかいあんちゃん。さっきはごめんなネリッサが」
「いえ、こんなこともできない僕が悪いです……やっぱり僕にはまだ早いみたいです……やっぱり帰ります!」
「い~や、ちょい待ちなあんちゃん。お前かっこよかったぜ。気絶するまで全力で言ってくれるなんて俺お前さんに惚れそうだい」
惚れられても困るんですが……
「俺はトーマス。トーマス・スプリングだ。よろしくな!」
「僕はスイリア・クラークです……」
「いやぁまさか団員が増えるなんて嬉しいぜ俺はよぉ」
「え? まだ入ってないんですが……」
「きっと入ると思ってクラ坊が寝てる間に紙に印押しといたぜ?」
「え……」
手の親指を見てみるとかすかに赤いインクが付いていた。
この人勝手に……
「じゃあよろしくな!」
「あはは……よろしくお願いします……」
やっていける気しないんですけど……
「お~い皆起きたぞあんちゃんが!!」
大きなトーマスの声に反応して団員らしき人たちがぞろぞろとやってくる。
「いやぁさっきはごめんね。あたしゃネリッサ・ブラウンってんだ! よろしく!」
「おらゾラ―ト・ベリルク! すげえなお前さん! あんなかっけぇ入会希望初めて見たぜ!! 名前は?」
「スイリア・クラークです」
「クラちゃんかい! いい名前だ!」
「クラ兄貴! よろしくっす!」
「あはは、よろしく」
やっていける自信ない。もう帰りたい。コミュニケーション辛い……
「そろそろ散った! これから入団について説明するからネリッサ残ってくれ」
「はいよ! トーマス」
「じゃまた後でなクラ兄貴!」
「あはは……」
苦笑いしながらほかのメンツを送り出すとギルド長部屋みたいなところに案内された。
「さて、入会についてなんだが、まずうちのギルドについて改めて認識してもらう」
「了解です」
「うち、南セルゾア冒険ギルドは知っての通りならず者の集団で、だれでもはいれる唯一のギルドだ」
そう、基本ギルドは学院を卒業しないと入れない。それにほかの職だって学院卒業がほぼ必須だ。
「それで上の連中らは基本俺たちが死んでもどうでもいい捨て駒だと思い込んでいやがる。だから俺らに与えられる仕事は基本夜の魔物討伐だ」
「夜に活発化する魔物は倒すのはむずいが良い食料になるしいい研究材料になる。そして一番討伐しないといけない理由は夜の魔物が増えすぎるからだ。」
「誰かが抑えないといけない。でも優秀な人材を捨てるわけにもいかない。だからうちらのギルドがうけおうってこった」
夜の魔物と出会う頻度が高くなるのはうれしいかも……
「クラ坊怖くないのか? 顔がにやついてるぜ?」
知らずのうちに僕は今まで試せなかった魔法、それに強い魔物に出会う楽しみで笑みがこぼれていたらしい。
「いや、怖いです。でも同時に楽しみです」
「いい意気込みだ! じゃあ明日からまた来い! 今日は時間も時間だしな」
「はい!」
明日からの生活と研究に心躍らせ静かに扉を開け、帰路についた。




