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第14話 門出

side.キルラ・アルケリー


 6月の後半、第46代勇者パーティは北門に集まっていた。


「おはよう諸君。今日はついに初任務じゃなぁ〜」


「おはようございます国王様。我々の門出に集まっていただき光栄です!」


「勇者たちの門出を見送るのはこの国の一つのイベント事とも言えるからのぉ〜」


 周囲には祝い事をするときのような笑顔を浮かべた、たくさんの世代の人達が集まっていた。


「とりあえず初依頼にしては少々難易度が読めないから騎士団を付けさせてもらうがもらうが、そこは了承してくれるかな?」


「はい、もちろんでございます。国王様のお気遣い、ありがたく頂戴いたします」


「では」


 国王様が手を鳴らすと、後ろについていた護衛の内、約3人ほどこちらに向かって歩いてくる。


「今日はよろしくお願いします。勇者一行様」


「こちらこそよろしくお願いします」


わたくしはファーラ・カルゴリー。あとの二人は、右からオリバー・グリスト。アルエワ・メイストリーです」


 三人とも鎧の上からわかるほど筋肉が引き締まっている。


「こちらは──」


「存じております。勇者であるキルラ・アルケリー様。聖者、賢者を総取りしたミサリザ・ゴルドー様。聖騎士であるカマガラ・サリー様ですね」


「覚えていただき光栄です。ではそろそろ行きますかね」


「その前にちょっとミサリザ君だけこっちに来ておくれ」


「はい……」


 ミサリザは国王に呼ばれ俺達の聞こえない範囲で言葉を交わす。俺等に背を向けているため、何をしているのかわからない。


 まさかあいつ、もう王様に気に入られてんのか?


 いろんな妄想を膨らませながら話が終わるのを待つ。


「あれですかね? もしかして王様を誘惑してもう落としてたりして?」


「はぁ!? 何いってんだカマガラ! そんなわけねぇだろ! というか王様と年結構離れてるし、そもそも王様奥さんいるだろうが!」


「何お前嫉妬してるんですか?」


「い、いやちげぇよ……」


「おっ待たせぇ!」


「では諸君、健闘を祈る」


 ドアを騎士たちが開け、民衆たちが拍手喝采で俺たちを見送る。

 その光景が俺達を認めてくれた。輝かせてくれたみたいで、俺はとても気持ちが良くなっていた。


 馬車の中で、俺達はこれからの行動を整理する。


「今回の目的地や陣形を確認しておきましょう。まず今回の目的地から。今回の目的地はどこか覚えていますか? キルラさん」


「当たり前だ。キガル村跡地だ。通常の近くのゴブリンはあの跡地を使い生活している」


「そのとおりです。でも調査箇所はそこだけではないです。その村の近くにキガル炭鉱山があります。ゴブリンのあの量があの村だけで暮らすにはちょっと狭いと思われるため、その坑道を使っている可能性が非常に高いと思われます」


「たしかにそうですね。あそこなら資源も豊富ですし使ってても違和感ないです」


「なので、先に村にいる方から片付けて、一時帰還しましょう。それだけできっと夜近くの時間にはなってしまうと思うので」


「それもそうですね! そうしま──」


「いや、時間によって俺がそこは決める。このパーティでの指揮権は俺にある! それに俺等ならすぐ片付けられるさ」


 圧倒的に一日で片付けられたほうが、王様からの評価が良いはず! 早いに越したことはない!


「いやでも現実的に考えたらファーラさんの言う事聞いたほうが……」


「ミサリザうるさい! 俺がリーダーなんだ。口出しすんな!」


「わかりました。その時の勇者様の意見で決めるということにしましょう」


「わ、わかりました……」


「今の時刻がおおよそ午前10時ですので、村の1km先の付近で一度止まり、1時間ほど様子を伺ってから13時頃に突撃ということにしましょう」


「そうだな」


 それからは初めての壁外の景色を堪能しながら移動した。


「着いたぁぁぁぁ! いやぁ〜やっと体伸ばせるよぉ〜! みんなもしない?」


 着いたのはキガル村から約一km離れた野原。

 木々はなく、草が生い茂った自然の大地が陽の光に照らされながら伸びている。

近くに池もあり、休むにはちょうどいい場所だ。


「そうだな、ちょっと腰が疲れたかも」


「じゃぁ並んでぇ〜。皆さんせーのでご一緒に! 一、二、三、四!」


「まさかの昔やってた早朝体操かよぉぉ」


「そこ文句言わない!」


「俺は自由にやってるから好きにやっとけ」


「え〜」


 それから俺は、少し跳ね出す心臓を抑えながら思考を整理させるために近くを少し動き回った。


「カルガラ何してんの?」


 カルガラはみんなの場所と少し離れた場所から望遠鏡で何かを覗いていた。


「何って、ゴブリン観察ですよ!」


 望遠鏡の向く方向の先を見ると明らかにミサリザが入っており、こいつの変態度合いを再確認させられた。


「どうですかご一緒に?」


「いいかもしれない……いや、せっかく望遠鏡持ってんならゴブリン観察しろよ」


「体操で揺れる美貌、興味ないですか?」


「それはあるかも……」


 俺は誘惑に抗えず望遠鏡を手にした。

 体操は10分ほどで終わったため、その後は観察を嫌々するしかなかった。


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