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第12話 お金より大切なもの

「さて、跡地に戻ってきたのだけど、それにしても凄い量だな」


 前に広がる魔晶石の山を目にし、どれだけの期間この文明が続いてきたかを感じ圧巻する。


「魔晶石の1mのかけらの魔素量は平均の大型魔獣が10年かけてようやくできるかくらいなはず」


「貯蔵庫には見た感じ400個ほどカットされて蓄えられてるから、少なくとも4000年以上文明は続いてることになるの!?」


「僕ら人類は歴史上では3000年前に誕生したことになってるからこっちのほうがはるかに先の文明ってことだ! そりゃ魔晶石を使う文明ができてもおかしくないか……」


 再び町中を散策する。

 ハリケーンで建物などは崩壊してることが多かったが、機能している魔性石の明かりを見つける。


「単純に魔晶石の魔素を光として消費してるのか。きっと人間ができないのはそもそも魔晶石自体とれる人間が少ないからだろうね」


 一通り見た後、中央に戻る。


「そうそう! 君に興味があったんだよ」


 目の前で倒れ伏しているのはハイリザードマン。

 先日の戦いで四肢を切り落として行動不能にしたのは知りたいことがあったからだ。


「君はなんで他のリザードマンより身体能力が高いんだ? マナ量は? 何故ハイリザードは普通のやつらの進化系と呼ばれるんだ?」


「グルル!!」


 唸り声をあげる。そこにはもう仲間はいないのに。


「とりあえず、失礼」


 なんとなく直観では分かっていたんだ。

 最初に会ったとき気配を察知できなかった違和感。

 異様なほどの身体能力。

 

 手でしっかりと体に触れる。

 その瞬間に理由が一瞬でわかった。


「マナが異様に少ない……」


 すべての生物は進化の過程で自己魔素を生成できるようになっていった。

 それは戦うためではなく自分を守るために。

 僕の仮説だと今までの生態系は地球に出てきた魔素という有害物質に対応するために自分たちで自己魔素マナを生成し体を覆い守ってきたと考えている。

 そのマナを何らかの現象や物質に消化し、自己魔素をため込みすぎないようにしている。

 その証拠に魔術師のほうが纏っているマナが少ない傾向がある。

 だから高度な魔術師は魔術師に気づかれにくい。


 きっとマナ隠しがうまいってのもあると思うけど。

 まあ簡単に言うと毒をもって毒を制すってやつなんだけど。


 最初はこいつもそうなのかと思った。

 だが実際は違った。

 魔法で強化と思われた身体能力は実はマナを生成しにくい体で生まれたリザードマンが筋肉を多くすることで魔素から身を守っていただけだったのだ!


「これだからやめらんねぇぜ! 研究はよぉぉぉぉ! おっと取り乱すとこだった……」


「さて、もう気になることもないし殺そうと思ったけどやっぱやめた。ハイヒール」


 細胞が極端に活性化し、ハイリザードマンは元通りになっていった。


「正直文明を滅ぼしたいとは思わない。まあこんなことしてなんだけどね。ということでどっかまたほかのコロニーで文明を発展させてくれ! じゃあ僕はこの魔晶石回収して帰るから」


 言語は伝わらないはずなのに恐怖感からなのか、ハイリザードマンは走り去っていった。


「さて、僕も帰りますかねっていう過去の転がってる死体どうしよ……」


◇◇◇


「それで死体を大量に持ってきたと?」


「そうです」


「いくら流石にこの量は……」


「流石に処理しきれ──」


「すごすぎるぜ! しかもリザードマンたちなんて一人あたり金貨0.5枚だから……約金貨13枚!? もう何でも買えるじゃねえか! 大金持ちだな!!」


「はぁ……トーマスさん驚かさないでくださいよ! 交換できないのかと思いましたよ」


「わりぃわりぃ。ついいたずら心がな……とりあえずみんな呼んできて宴だ!!」


「いや、今日は参加しないです。もう4時近いですし。それとしばらく顔出さなくなるので。そういうことで!」


「クラ坊!!」


 勢いよくドアを開けて僕は走り逃げた。


「次顔出すのはいつになることやら……」


 ◇◇◇


「カイトさん持ってきましたよぉぉぉぉ!」


「元気だなやけに」


「いやだって研究ができるんですもん!!」


「それで魔晶石は?」


「これです」


 僕は後ろに抱えた大きな革袋を前に出した。


「こんなたくさん!? どこで?」


「すぐ近くの洞窟です。全部持ってきてしまったのでもうないですけど……」


「何? クラーク極端なの? 確かに魔晶石持ってきてとはいったけど全部持ってくる?」


「あ、いえ少し僕も使いたかったので!」


「少しって……これ全部売ればもう一生遊んで暮らせるお金分あるぞ?」


「興味ないです。やりたいことに使いたいので」


「そうか……俺ら似た者同士かもな。念の為本物か確認するからちょっとそこで待ってろ」


 カイトは頭にかけていたゴーグルを目の位置までおろし、じっと観察する。


「これで合ってる。また3日後に来てくれ」


「了解!!」

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