表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/138

第30話 未知のダンジョンを発見せよ7 急いで戻らないと

 私も、そろそろ再始動しなくちゃ。

 えーっと、それで何をすればいいんだっけ?


 まずはメンテナンスモードをONにする。


 操作はどうやら頭とリンクしているようで、考えるだけで実行できるらしい。

 ブレイン・エクスパンション・システムのおかげなのか、特に困ることはなかった。

 とはいえ、損傷個所の完全修復には 1年以上 かかる見込みだそうだ。


 まあ、それは後回しにするとして――。


 そもそも今の状況をまったく理解できていない。何から調べればいいかもわからない。

 とりあえず、どんな情報があるのかを確認してみよう。


 どうやら、情報システムの損傷により通常の魔法ネットワーク経由の通信は故障しているらしい。

 ただし、私が近くにいるときのみ、サブ回線を使って情報のやり取りができるようだ。

 完全に通信が絶たれているわけではないので、何かしらの情報は得られそう。


 そう思った瞬間、目の前に外の風景の画像が表示された。


 ――やばい。


 ベースキャンプの前に魔物が現れた。すぐ戻らなきゃ。


 ……とはいえ、外に出たら通信が切れるし、すぐ戻ってこられる保証もない。

 とりあえず、ここにあるデータを取り込んでおこう。


 システムの損傷が激しく、データの多くが破損していたが、無事なデータを私専用サーバーへ移していく。


 一方、魔物の様子も気になる。


 画面には、虎のような顔をした熊の姿が映っていた。

 ―― これがBランクの魔物・虎熊ティグウルス なのね。


 認識阻害をしているはずのベースキャンプの方を気にしながら、周囲をうろついている。


 おとなしくしてて……頼むから。


 早く、データの取得終わって……!


 ああっ、そっち行っちゃダメ!

 もしベースキャンプが壊されたら、留守番役の私の立場がないじゃない!


 ひやひやしながら魔物の動きを監視する。


 不安が募り、時間がやけに長く感じられる――


 しばらくして、ようやくデータのコピーが完了した。


 しかし、実際には 10分程度 だったようだ。


 ただし、この場ですぐに把握できる内容ではない。

 詳しい中身は後で見ることにして、ひとまず上へ戻ろう。


 ここに来るときに使ったエレベータに乗る。別れ際に、メイドゴーレムさんが、インストールされた魔法を使う際は最小限の威力で試してからの使用をお勧めしますと伝えてきた。


 そういえば、基本魔法なるものもインストールされたんだっけ。

 キュレネからもらった基本の魔法書も、まだまだマスターできてなかったし……これはラッキーかも?

 どんな魔法があるのかな。


 氷結地獄ニブルヘイム

 火炎地獄ムスペルスヘイム

 音速嵐マッハテンペスト

 大地崩壊ガイアコラプス

 魔法消滅アンチマジック

 ・・・・・・・

 ・・・・・・・


 ……え? これが 基本魔法 なの?


 他にもいくつもの魔法がインストールされたが気になったものだけでも

 キュレネにもらった魔法書の内容とは、まるで違う。


 いや、これ、絶対に普通に使うとまずいよね……?

 というか、名前からして ヤバそうなもの ばっかりじゃん。


 そんなことを考えているうちに、いつの間にか上に着いていた。


 神樹の扉から出ると、さっき画面で見た魔物、虎熊ティグウルスがいる。大きさは4mぐらいでかなり大きい。


 どうしようかな――。


 そう思ったのも束の間、虎熊ティグウルスと目が合う。


 勘がいい とは聞いていたけど……まさか、すぐに気づかれるとは。


 虎熊ティグウルスは、一瞬の間も置かずにこちらへ駆け寄ってくる。


 まあ、今の私にとってBランク魔物なんて雑魚みたいなものだし。

 せっかくだから、さっきインストールされた魔法を試してみるか。


 どれがいいかな?


 ……使った証拠が残らなそうなのがいいな。


 よし、ここは 風系魔法・音速嵐マッハテンペスト にしよう。


 とりあえず、最小限の威力で試せって言われたし、指先から小さく発動させてみる。


 どーん!!


 轟音が森中に鳴り響く。


 同時に―― マッハテンペストが直撃した虎熊ティグウルスの頭が砕け散った。


 残った体は、そのまま 2〜3メートル後方へ吹っ飛ぶ。


「げっ」


 ……ちょ、威力強すぎない!?


 最小限の威力で試せ って、やはりこういうことか……。

 相当絞ったつもりだったけど、これでもやりすぎになるの!?

 すごく シビアに魔力をコントロールしないと、普段使いできなさそう。


 でもまあ、強力な魔法を手に入れたのは事実。


 この前の 大猿との戦いの後、「剣と魔法が必要だ」と思ったばかりなのに――。

 気づけば、どちらも あっさり手に入ってしまった。


 しかも、どちらも 異様に強い というか、 強すぎる 気がする……。

 なんか、運が良すぎて怖いんだけど……。


 まあとりあえず、討伐完了。


 昨日見た足跡とも ぴったり一致 するし、これで一件落着かな。


 魔石は回収するとして…… この死体、どうしよう。

 とりあえず、みんなにも見せておきたいし…… 冷やしておくか。



 最小限の威力 で、指先から 氷結地獄ニブルヘイム を発動させてみる。


 瞬間―― 虎熊ティグウルスが 一瞬で凍りついた。


「……やっぱり、威力が強すぎるな。」


 最小限の発動で 完全に氷漬け になってしまった。

 これ、使いどころを間違えると 本当にマズい。


 魔物は倒したし、もう一度ダンジョンに戻ろうかな?


 とも思ったが、管理者室の情報はすでにコピーしてある。

 わざわざ向こうにいる必要はないか。


 それよりも…… さっきの轟音を聞いて、誰か戻ってくるかもしれない。

 だったら、しばらくベースキャンプで情報の整理でもしようかな。


 えーと、わからないことがありすぎて……

 何から手をつければいいのかしら?


 とりあえず、 「管理者って何?」 という基本の疑問から調べてみるか。


 すると――


 ダンジョンでコピーした情報をもとに、 頭の中の声 が答えを返してきた。


「管理者とは、このダンジョン運営の責任者であり、ノバホマロを導く代表者です。

 現在、このダンジョンに住人はいないため、住民のリーダーとしての役割は不要です。

 ただし、ダンジョン施設に関する方針を決定する権限を持ち、他のダンジョンの管理者との交渉権も有します。

 ただし、現在、他のダンジョンに管理者が存在するかは不明です。」


 ……うーん、 よくわからない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ