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黄昏ニ瞬ク凶星  作者: ガラガラ烏
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プロローグ

[story:465926721] ノベルアップ+様でも書いている物になります。詳しい設定を見たい方はこちらからお願いします。

 我々の国は周辺国から比べれば小さな島国であった。それでも、小さな島国の中には四季折々の姿とその中には自然の造形によって施された美の形がごまんとあった。山や海、豊かな土壌でできた田畑からは食物の恩恵を受けて自国だけでもなりたてる様な国でもあった。中には洗練された技術を持った者達がその技術力を発揮し、数多の芸術品等を作り上げた。だが、そんな美しかった我々の国『スパネク』は、今地図には存在しないのだ。こうなってしまったのも何十年も前に遡る。原因は政府上層民による無謀な政策と移民の受け入れによるものだった。前者はある時にスパネク国には巨万の富が築かれた時期があった。これをスパネク国中では〈富の急大成長(ディ・ホルグクルト)〉と言われていたが、そんな夢のような黄金郷への道筋は数十ヶ月と言う短い期間を以て崩れ落ちて逝った。その後はこの崩壊の恐れを知る雇用主たちは自分たちの蓄えた富の保持だけを考え、労働者たちは仕事量と一致した賃金を受け取れる事はなかった。更には、追い討ちのように徴収金は徐々にではあるが上がっていた。だが、労働者たちもこのおかしな事体にちゃんとした声を挙げなかったのだ。…いや、挙げる術すらなかったのやもしれない。これが要因の一つと言えるであり、我々の間では『スパネク国の堕落金利政策』とまで言わしめた。そこに付け込む様に導入されたのが、『外国から人を募って、スパネク国をまた再興させよう』と言う移民政策だった。国に人民が居なければ、国は国としての機能を果たせない。そうお考えなさった上の方々は安易に外国の人々を入れるだけ入れた。そうして、数ヶ月も掛からない間にスパネク国の政権は『レドマルグス国』と言う近隣国のモノとなっていた。更には、本土から海を挟んで離れていた南方の領土はレドマルグス国との混乱に乗じて『ゲーノゴパ国』によって略奪されていた。元々、ゲーノゴパ国とは領地と領海の事でよくもめていて、上手い具合に掻っ攫わられてしまった形だ。一時的に我々スパネク国の数万人の国民は抵抗を試みたが、それはとてつもなく鈍足で、どうしようもない程に非力で、到底覆せるものでは無くあっという間にスパネク国は制圧されてしまったのだ。スパネク国制圧後、レドマルグス国民が政治界に進出した事により、移民としてスパネク国へと大勢流れ込んだ。それが弾圧を高まらせて行く要因となり、スパネク国民は居場所を追われる事となった。住む場所を失った彼らは地下の下水道やダム、山奥の洞窟などに逃げ込み、そこで身を寄せあって暮らすようになった。スパネク国は降雨がとても多くなる時期があり、各都市には地下ダムはそれを利用する為に造られた。この暗く澱んだ世界から抜け出す為に立ち上がる者達も各々場所から居たのだが、レドマルグス国で造られた捕縛人造機(ヴァシラ)によって捕縛され、捕虜となった人々は奴隷として扱われた。男性は労働源として、ほぼ不眠不休の状態で働かされ、女性は次世代の労働源を産むためとただ家畜同然化の如く子供を出産させる為だけに生かされていた。当たり前だが、レドマルグス国の捕虜なった人々には食事も殆ど無く人権なんてモノは皆無だった。それからと言うもの。木材を確保の為に殆ど山林の木々は刈り取られ、山の雄大さは無くなった。川には化学物質が流れ込んで水質は悪化し、海水までもが汚れてしまい、今まで獲れていた魚介類も取れなくなり水の美しさも消え去った。収穫できるのはレドマルグス国が『作れ』と命令してきた農作物のみだ。更には、レドマルグス国の暴徒共によって我々の文化財の殆どは無惨にも破壊し尽くされた。…嗚呼、何とも残酷で忌々しい事だ。故に立ち上がるのだ。我々が、新たにガヴディメル団を設立しレドマルグス国からスパネク国を奪還すべく動き出すのだ。コレは我々が祖国を取り戻す迄の手記(ものがたり)である。



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