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「クソ汚ねぇ外交」

「……さて、この銃口が何故向けられているのか、チャールス、説明を頼む」


「ンッンー!!バカを言ってはいけません!機人様!あなたがイギニスを裏切って、古代竜に着いたからではありませんか!」


「ンン!!その額の血判こそがぁ!何よりの証ン!」


「……ほう、では外交文書を参照してくれ。」


「ンンン?!!」


「……我が約束したのは古代竜の脅威をイギニスから取り除くことであり、方法については何も書かれてはいない。そう、古代竜と友好を結ぶことも禁じてはいない。」


「なっ……!ンッンンンン!!」


 ククク、内心笑いが止まらんな。


 ああ、確かに俺には「礼儀正しい外交」はさっぱりわからん。

 外交官でもなんでもないからな。


 だが、シミュレーションゲームのマルチプレイで行われる外交。

 つまり、詭弁に揚げ足取りでも何でもありの、「クソ汚ねぇ外交」には自信があるんだぜ。


 我はプレイヤー、人間のクズなり。弱っているところに怪しいツボを売りつけ、にっこり笑って、争いの後ろから斬りつける事については、定評があるのだ。


「……そして、古代竜に、我と外交を行うだけの、知恵があったのは見ての通りだな?そうそう、イギニスの国是、つまり方針は何だったかな?」


「ええ、商売を通した共存共栄、敗者を作らない、ですね。」


 俺の言葉に答えたのは、ソデザベス女王だ。

 ぴきぴきと青筋が浮いているが、平静を装っている。たいしたもんだ。


 俺なんか機械の体じゃなかったら、クッソニタニタしちゃってるよ。


「……では我の為したことは、イギニスの考えにも合った行動という訳だ。ますます、この銃口の意味が解らないな?」


「オラ!いつまで突っ立ってんですか!さっさと帰れってんですよ!!」


 ミリアさんがすごい剣幕でペシペシとローキックをするもんだから、近衛兵たちも勢いに飲まれて、「え?自分たちが悪いんすか?」みたいな顔で帰っていく。


 ひとまずは、何とかなったようだな。


 正しそうな論理で煙に巻いて、相手の頭に???が浮かんでいる状態で、今できる要求を突き付けて、実行させる。これがマルチプレイにおける、クソ外交の基本だ。


 あと我々がすべきことは……あれ?無事に帰ること以外、特にないな?


 イギニスになんか拠点があった方が良いけど……


 あれ?んんんん?あれれれ????


 今気づいた。かなり根本的な問題。

 オッサンはすっかり、文明的な存在に出会って、舞い上がって忘れていた。


 俺はイギニスという国がすごい発展してるらしいから、仲良くしたいという目的はあったが、その先に何ら具体的な目標を持ってはいない。


 イギニスが俺の武力を求めて、コンタクトを取ったのは解る。

 が、俺は別にイギニスに何も求めてない。


 こちらにちょっかい出しさえしなければ、それでいいくらいだ。


 いいかえれば、明日イギニスが地上から消えて無くなっても困らない。


 今俺がやった結果は、他人のいざこざに首を突っ込んで、複雑化させただけだ。


(ナビ、俺ってイギニスに結局、何しに来たんだっけ?)


(あなたが解らないなら、他の誰も解りません。 あなたの世界ランクを2048位落として、シアノバクテリアにしました)


 うん、これに関しては俺は何ら反論できない。

 我ながら、すごいアホなことをしたかもしれん。

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