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神聖オーマ帝国

★★★

――ところかわって、神聖オーマ帝国のとある執務室。


 神聖オーマ帝国で宰相をしている私「ネコマ」は、毎日処理している書類に書かれている自身の住む国の名前を見るたびに、この国大丈夫か?と疑問が生まれる。


『神聖オーマ帝国』


 しかしこの国は神聖でもなければ、オーマでもなく、ましてや帝国でもない。

 「国のような何か」それが神聖オーマ帝国を表すのにふさわしい言葉だった。


「神聖」というのは、普通、宗教のトップが国のトップにつくときの言葉だ。

 でもうちは普通に、デイツ出身の貴族が王様だ。王様なのに帝国て。ふつう変に思わんのか?

 もうこの時点で「オーマ」でも「帝国」でもない。デイツはオーマの遥か北方でオーマと全く関係ないし、帝国は王を束ねる王が皇帝となって君臨するものだ。


 昔はちゃんとしてたんじゃ?と思うがそうではない。まず名前を最初に決めて、そのあとそれの整合性を取るためにいろいろやらかしまくってるのが現状といっていい。


 神聖さがない?じゃあ蛮族共の神を焼き払って、帝国の「カリスト教」が最高の宗教って事にしましょう!


 オーマじゃない? じゃあオーマを攻めてうちの一部にしましょ!


 1民族1国家だと帝国じゃない?武力でもって、49の都市国家と69の氏族を併呑しました!


 やはり一度ぶっ壊した方が良いな、この国。


 はあ、と嘆息して自分の耳がへにゃりとするのを感じる。私は猫人だ。この国に併呑された氏族のひとつ、カマネコ族という猫に近い姿をした獣人なのだ。


 近くのカップを手にとり、白湯を啜る。

 ひとまずこの仕事を終えたら仮眠することにしよう――


「宰相閣下ァッ!!!ネコマ殿!!一大事にごじゃるます!」


 伝令が騒がしい。そういえば蛮族、エルフの村にビアード騎士団長率いる200人の騎士が出陣したのだったな。あいつら騎士と言っても貴族の次男三男坊で好き勝手しているからな。

 どうせいつものように、道中で町娘を誘拐してああしたこうしたとかの事件だろうな。

 宰相殿のお力で、何事もなかったように揉み消せという話だろう。


「ビアード騎士団長以下200人の騎士、総員討ち死ににごじゃるます!!!」


――私が噴き出した白湯の霧は、執務室をキレイな虹で彩った。

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