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ムンゴルの砲台陣地にて

 元神聖オーマ帝国宰相にして、現ムンゴル帝国参謀となった私ネコマは、ムンゴル帝国の砲台陣地を見回っている。


 ムンゴルの捕虜になった私だが、元オーマの宰相と言う事がわかると、オーマの情報を持っていることを買われ、参謀として登用された。


 敵であっても思い切りよく登用するムンゴルは、それだけ情報というものを重く見ているのがわかるな。


 それにくわえて、ムンゴルの技術は見事なものだ。鉄の筒に火矢を差し込み、火薬の力で発射する。

 これがあれば、機人とオーマの戦いも変わっただろうか?


 見回りに立ち寄った砲の近くで、白い煙が上がっている。だが、これは火事ではない。

 兵たちが炊事をしているのだ。


「コラッ砲の近くで火を使うなと言ったろう!」


「しかし参謀、炊事所が遠いんですよ。将校は砲からは離れるなといいますが」


「む……それならば、次から飯を配達させる」


「はぁ、それならまあ。参謀殿も食っていきます?」


 奴らの煮焚きしているものを見る。吐かないようにするのが、なかなかにつらい。


 煮焚きに使う薪、あれは人の骨だ。オーマの首都周辺には、すぐに手に入る木材が少ない。なのでその代わりに人の油と骨を燃料にしているのだ。

 真っ直ぐで丈夫な骨は矢に使うとかで取ってあるようだが……。


 鍋の中には、うっ。

 あまり見たくはないな。薪にされた以外の部分が入っている。


「いや、結構だ。見るだけで腹いっぱいだ」


「参謀殿は小食っぽい見た目をしてますからな」


「「ハハハ!」」


 こいつらはオーマ以上にヤバイ。同じ人間も食料としか見ていない。いや、エルフを食料として見ていたオーマも大概なのだが。


 奴らの異様な進軍速度。その源がこれだ。

 現地で手に入ったものをすべて無駄なく活用する。言葉で書くなら何と言う事はないが、現実に見るととんでもないな。


 気分が悪くなったが、砲台の視察を続けよう。


「おい、火薬を砲台の近くに集めるなといったじゃないか!火の粉が飛んできたら、砲台ごとお前ら丸ごと吹っ飛ぶぞ!」


 砲台の近くで火を使いながら、火気厳禁の火薬樽を大量に積み上げるとか、こいつら正気か?


「へぇ、ですけど参謀、重いんですよ。いちいち薬小屋から持ってくるのも……」


「わかったわかった、届けさせるようにするから、これだけは止めてくれ」


 <ジャーン!><ジャーン!><ジャーン!>


 むっ、これは、敵襲を知らせる銅鑼ドラの音だ!

 神聖オーマ帝国が打って出て来たか?


 <ブォォォォォ!!!>


 しかし私の目にした光景は、想像したようなオーマの騎兵隊ではなかった。

 車輪の付いた緑色の角ばった箱、それが突進し、周囲に猛火を吹き出している。

 なんだこれは?何が起きている?


 箱は前衛の歩兵隊を炎で蹴散らすと、砲台に対して弓矢を射かける。まずい、あれは火矢だ!


 火矢は信じられないくらいの速さと飛距離で砲台に吸い込まれて燃え広がる。あの弓、ムンゴルのそれよりも、数段の速度がある。


 可燃物を積み上げている砲台は、瞬く間に火を吹いた。


 ごうごうと燃え上がる炎に包まれた砲台は、次の瞬間、土まじりの茶色い煙を立ち上げて吹き飛んだ。なんてことだ!


 吹き飛んだ砲台の先、火を吹く箱の後ろの傍には、砂色をした、金属製の巨人。

 ――まさかあれは……!


「機人だ!機人が出たぞぉぉ!!!」


 何人かの兵が弓を射かけるが、鉄のやじりは、機人の体には刺さりもしない。

 ぽきりと折れて、その足もとに転がるだけだ。


 次の瞬間、連続した破裂音が聞こえ、兵たちは地面に落ちた、れた果物のように弾ける。


 機人の手元で破裂音と共に、瞬くような小さな炎が発生する。

 すると、その手を向けられた者たちがバタバタと倒れていく

 あっというまにムンゴル帝国の陣地は、一面に命だった物が転がる惨状となった。


 これが、これが機人なのか‥‥‥!?

 奴はオーマの敵ではなかったのか!?なぜムンゴルに牙をむく!?


 まさか機人は、人類のすべてを滅ぼすつもりなのか!?

動物なんかの骨をまきにするのは、かつて人類がやってました。

骨自体は燃えないので、脂を燃料にする感じですが。

木材の少ないトルコ東に住む、遊牧騎馬民族のスキタイが有名です。

とはいえBBQ程度ならまだしも、シチューを作るだけの持続火力はあるのかないのか……?

そこまではちょっとわかりませんでした。

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