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エルフのスナイパー

 渡河を始めた連中を俺は観察していた。なるほどな、中世の軍隊とは言え、それなりにちゃんと考えているようだ。


 偵察を兼ねた軽騎兵を先に渡らせて、安全を確保してから本隊を渡らせる。これはたぶん、素人指揮官ではないな。ちゃんとした戦闘経験がありそうだ。


 こちら側に渡ってきた軽騎兵の装備を確認する。神聖オーマ帝国の装備とは雰囲気が違う。多分異民族の傭兵か何かだな。

 これは厄介だな、つまり、異民族を雇い入れるだけの外交の概念があって、意志を伝え合う、共通語みたいな存在もある、国境を越えて通用する、通貨や信用もあるという事だ。

 倫理観は底辺なのに、なんでそれ以外のクオリティは一定以上あるのか?

 これがわからない。


 歩兵を渡らせ始めたのを確認して、俺は手元の無線機に話しかける。


「……ミリアよ、歩兵たちが中ほどより先へ進んだその時に攻撃を仕掛けよ」

『はいぃぃぃ仰せのままにぃぃぃ!』

 大声でバレないか、ひやひやするな。


 歴史上、渡河中に行われる奇襲というのは、非常に危険な戦いになる。

 そのため、川というのは、古代中国の兵法でも、度々テーマとされる場所だ。


 今回はその兵法に学ぶ。つまり、敵を中ほど以上渡らせてから攻撃を仕掛け、行くのか?帰るのか?意思が分断される状態に晒し、混乱を助長するのだ。


 そして、その攻撃のメインとなるのはエルフ達の狙撃手だ。サイレンサー付きのアサルトライフルを持たせ、川を見渡せる場所に布陣させた。

 迷彩服と偽装用の生垣でしっかりと隠したので、ここに居ますよ!と指示されて、1分くらい探して、あ!あれかあ……と、ようやくわかるレベルまでになっている。


 エルフ自体が、生まれながらの猟師というか狩人というか、優れた技量系兵士なのでこれに関しては全く問題が無かった。エルフもあのスーパーなミュータントの仲間の可能性すらあるな。


 それはともかく、俺はエルフ達の戦いの様子を眺める。問題があれば後方から俺が突出して、両手のミニガンとサブマシンガンを乱射して盾になるつもりだ。


 結論から言うと全然そんな必要はなかった。

 歩兵たちは見えない敵に殺されて、瞬く間にパニックになって立ち竦み、そのままわけもわからずに薙ぎ倒されていく。


 エルフの射撃は非常に正確だ。水を叩く弾丸はほとんどない。これほどとは。訓練の成果にしても出来過ぎているな。やはりエルフとは、そういうもの、と考えた方がいい気がしてきた。


 さて、俺は仕上げを行う。対岸にはまだ連中の補給品を積んだ馬車や重騎兵が残ったままなのだ。

 肩のマルチミサイルを4発放ってこの戦いの仕上げとした。


 

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