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じゃけん、討伐いきましょうね~

 

 インムケンティウス3世。

 カリスト教の教父として、神聖オーマ帝国の宗教上のトップにある。

 オーマ皇帝、つまりデイツ王が地上の支配者、現世での最高権力者であるのに対して、

 インムケンティウスは、天国やあの世といった、精神世界の支配者という事だ。

 刻まれた深い皴は、長年をかけて彼が神学の知識を追い求めたことを示している。


「ここら辺にぃ、暴れてる機人がいるらしいんすよ」

「じゃけん、討伐いきましょうね~」


 彼が語録から「聖句」を紡ぐと、人々は熱狂する。


「「ワアアアアアアアアア!!!」」


 歓声と共に、色とりどりの旗印が躍る。

 今回の×字軍は100年ぶりということもあり、神聖オーマ帝国の各地から有力貴族が集ってきた。

 翻る旗印には東はポロイセン、ペーランド、チョコ、オーストレアのものがある。

 西からはペルギー、オランタ、北ヘタリアの一部のものまで見える。

 まさに神聖オーマ帝国の総力戦だ。総兵力は3万を下らないだろう。


 インムケンティウス3世は集まった兵士を激励した後、従者たちを伴い、天幕の一つを訪れた。

 その前では、3つの旗印が風に揺れていた。


「3人はどういう集まりなんだっけ?」


「ははっ猊下、我ら3人それぞれが聖騎士であり、タゴコロ、ケムラー、ミーウラと申します。」


 タゴコロは大デイツ騎士団、ケムラーは聖ヨワネ騎士団、ミーウラはトンプル騎士団、彼らはそれぞれが騎士団を率いる総長でもあった。


「機人が3人に勝てるわけないだろ!」


「ハハッ、勿体なきお言葉。」


「教父様は聖遺物の一つ、100年前に機人を打倒したその武器を皆様にお渡ししたいとのことです」


「なんと!我らにそこまでの期待を……!必ず応えて見せましょうぞ」


「「おう!」」


 教父は彼らに祝福の言葉を与えると、聖なる武器を彼らに下賜した後、天幕を去った。


 彼らは教父が去った後、その武器を再度それを皆で見つめる。

 それは100年前、機人を打倒したと言われる勇者が携えていたという、伝説の武器だった。

 しかしそれは剣と伝わっているのに、もはや刀身が無い。

 取っ手のみが残り、棍棒として使うにも、それはあまりにも短かった。


「しかし、所詮は100年前の武器か。もはや使い物にはなりますまい」


「武器とは目に見えるモノだけに非ず。教父殿のお言葉の真意をたぐるのです」


「左様」


「これは一本取られましたな」


「「ハハハハハハ!」」


 何の変哲もないただの銀色の棒だ。しかしその物体は、100年たった今も、往時の輝きを放っている。

 しかし、崩壊した世界で文明を失った彼らにはそれが何か理解するすべはない。


 もし、ここに機人がいたなら、その正体に気付いてこういっただろう


「すげ!まさか本物のライトセイバー?!」と。

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