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コンクリの壁と豆腐ハウス

 ミリアを載せたまま森の中を疾走して、エルフの里にかえってきた俺は、早速クラフトメニューを開く。

 作るのはトラックだ。生き残った未亡人エルフたちを乗せて引っ越しするためのものだな。


 クラフトでデカブツを作るときは、俺の体からレーザー的なものが出てきて下から積み上げるように作られていくのだが、俺の時代の感覚でも、ぶっ飛んだ技術すぎて魔法にしか見えない。

 この中世レベルのエルフ達から見たら言わずもがな、俺を見る目がもうやばい。


 カルト教団の教祖はこういう視線を毎日受けてるのかね、そりゃ狂うよなー。


 さて、出来上がったトラックだが、資源がギリギリ(特にゴム)だったので一番ゴムがいらなかったトラックをえらんだのだが、見事に軍用トラックっぽい見た目だった。

 フロントが角ばっててスゴイ強そう。いいねーこういうのでいいんだよ。

 ゴムの由来のせいで、タイヤがピンクとか緑とかになったりしないかなと危惧していたが、それは大丈夫みたいだった。

 トラックを出来上がる様子を横で見ていたミリアは、もうワクワクが止まらない様子だ。


「すごいです!機人様、これはどういうものなんですか!」


「……これは『トラック』というものだ。これに皆を載せて移動する」


 さて、どんどんエルフを載せていきますよー。乗りなれてないので俺が抱えてトラックに載せていく。ついでに数を数えていたんだが、生き残ったエルフは20人か。思ったよりも少ない。


 同じく人間族に虐げられてる人たちを移民として受け入れることを考えるべきだなー。

 初日に出会ったあの茶色い小人は別として。


 おれは運転手のいないトラックを遠隔操作で移動させて、しばらくして、例の街だった場所に俺たちは移動した。


 道中きゃあきゃあとエルフ達の黄色い声を聞かされて、あまり悪い気分はしなかったね。


 さて、赤レンガの美しい街だったものは、見事に平地になってますわな。なんちゅう威力よ。

 とにかく、時間が無いのでエルフの乗ったトラックを止めたら、俺はさっさと城壁づくりに着手することにした。


 赤と白の瓦礫を前にクラフトメニューを探す。壁、壁……よくわからんのが並んでいるが、中にひとつわかりやすい名前「T-Wall」とか言うのがあるな、wallつまり英語で壁だ。なら壁には間違いない。これを作ってみるか。


 作成っと……おお、なんだこりゃ!?

 俺の目の前に現れたのは、コンクリート製の3メートル以上はある壁だ。3分の1くらいの下の部分はずんっと張り出していて、なかなか安定感がある。

 幅は2メートルくらいか?壁の左右の断面に凹凸があるな……。

 俺はここでピンときた。これきっと、ブロックの玩具みたいに凹凸を組み合わせて繫げるんじゃないの?


 試しに二個目の「T-wall」を作ってはめ込んでみる、うん、がっちりはまるね。

 一つ一つの壁は数トンありそうだし、生半可な力では押し倒せないだろう。これを繋ぎ合わせていけば、一時的な防衛施設としては十分だろうな。

 勿論時間をかけてちゃんとした壁を作る必要はあるが、これなら今日中にでも壁で取り囲むことができるし、レンガ造りの壁と違って移動も容易だ。こりゃいいや。


 俺はどんどんT-wallをクラフトして、夕方になる前にはすっかり周りを取り囲むことができた。

 内側の広さは2キロ四方と言った所か。疲れ知らずの機械の体でよかったよ。

 城壁はこれでいいとして、後はエルフ達が雨風をしのぐための家だな。

 クラフトメニューで家を探す。ないな。シェルター、これか?お、何かそれっぽい感じがあるな。


 試しに出力してみると、まあ見事なお豆腐ハウス。正方形のコンクリの箱に、太陽の光を取り入れるためのスリット状の窓と、入り口としての長方形の穴が開いてるだけ。

 うーん、いくら何でも味気なさ過ぎる。とはいえ贅沢は言えんな。


なんせ、時間も資材もカッツカツなのだ。ひとまず壁と人数分の豆腐ハウスを用意してこの日は終わりとなった。


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