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お、何か偉そうな奴いるから撃ったろ

 俺は名前も知らない街を焦土にした後、更に西に機体を飛ばした。

 次第に森は林になって、平原になり、その次に黒土が露わになった農地が目に入る。

 農地の向こうにカメラを向けると、視界の先にはこれまでで一番大きい都市があった。


 ――これが神聖オーマ帝国の首都かな?


 なるほど、街の家々は石造りで2階建て以上のものが目立つ。道も石畳でなかなか整備されている。結構発展してるな。

 俺のやってた街づくりのシミュレーションゲームの、中盤から終盤にかけての感じとよく似ている。


 大体街がこれくらいの大きさになると資源が余り出して、適当やっててもなんとかなるから、遊びで戦争やったりするんだよねー。まあこの中世の現実とゲームが全く同じってわけはないだろうけど。


 さて、シュリケンくんは何処に落とそうか。


 俺は無人機のカメラの倍率を上げて、街の中心部を見る。

 青と黄色、そのほか雑多な布で飾られた盆踊りのやぐらみたいなのがある。

 そのやぐらの上には長剣を持った長身のムキムキの男がいる。

 なんだろう、「木刀(ぼくと)(けん)」の主人公の世紀末覇者ゲンザブロウと、ドラゴンファンタジーのロドの勇者を足して、ブランド・シフト・太田(オータ)の主人公の太田のオッサンを振りかけた感じだ。


 うーん、見た感じ何かのセレモニーってかんじだ。

 取り囲んでる連中は武装して、討伐隊って雰囲気だな、装備が不揃いだから冒険者的な奴かもしれない。

 えー?エルフの村を襲ったのがばれるには、ちょっと早すぎだろ、あれから色々作ったとはいえ、4、5時間しかたってないぞ?

 ……いや、俺の尺度で語るのは危険だな、エルフなんているんだ、何か謎技術があってわかってるのかもしれない。


 となるとあのオッサンも何か特殊能力を持ってる可能性がある。これだけ対応が速いならその可能性を考えて先にやってしまうべきだ。


 軽い攻撃を繰り返すのは初心者のやることだ。熟練の戦略シミュレーションゲーマーは一度のラッシュで勝負を決める。しらんけど。


 という訳で俺はUIを操作して仮に世紀末勇者太田としよう。そいつを中心にAGM-988シュリケンを撃つことにした。


 UIを操作すると画面にロックオン画面が出てきた。お、初めてじゃない!?ロックオン可能な奴!これはかなり当たりの奴では?よっしゃやったれやったれ!


 ロックオンカーソルはカメラと同期しているようで、太田のあたりを選ぶとカーソルが赤色に変化した。多分ロックしましたよっていう事だな。このままシュリケンの名前をタップして発射する。


 シュリケンはミサイルのようだった。なるほど、AGMのMはミサイルのMなのかもしれないな。

 シュリケン君は無人機から火を噴いて飛んでいくと、鉛筆の芯くらいの大きさに見える距離まで離れたところで、尻から火を噴くのをやめて滑空にうつった。


 そのまま勇者太田にシュリケン君は体当たりして4つか5つくらいのちっちゃくて赤い太田にした。あちゃー不発か?と思った俺だが、ふとこいつの名前からあることを連想する。


 ――シュリケンくん、きみ、要人暗殺用のミサイルじゃね?


 そういえば前世の世界では航空機からの攻撃での誤爆が問題になって、体当たりで目標となる人物だけをミンチにするミサイルが人道的だとうたわれていたっけ。

 なるほど、やたら高精度の追尾だったり、途中で静かになるのもそのためか。


 ひとまずこの3つのミサイルはそれぞれバラバラの用途だったのは良かったのかもしれない。

 クラフト材料を残さないスキピオはともかく、シュリケンとテミスはかなり使えるな。


 このまま攻撃を続ければ――と思ったところで俺はようやく気が付いた。

 この世界、ミサイルの材料、かなり有限じゃね?と。

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