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そうはならんやろ

 私たちエルフに伝わる旧い口伝を思い出した。

 なぜ今まで忘れていたのだろう。


 旧い伝承によると、エルフは機人様のような鉄の人に率いられ、世界中を鉄の鳥で飛び回って悪徳のはびこる国を焼き払っていたという。


 西に悪辣な王が専横する国があれば焼き払い、小国を攻める大国があればこれを滅ぼしたという。


 しかし機人様は全てを焼き払ったりはしていない。

 伝承がおかしいのか?それとも機人様がおかしいのか?


 私は機人様に命を救われ、そして眷属、機人様の真意を伝える巫女として、機人様に選ばれた。なので疑問には思ったが、疑問のままにこれを口にすることはできなかった。ただ懊悩(おうのう)していた。


 いったい何が正しくて、何が間違っているのか?


 そしてようやく気付いた。

 機人様は人の中に眠る心、善き心を信じているのだと。


 これまでの戦いで、機人様は数々の人間の魂を肉体から解放し、そのお体で浄化してきたが、それはすべて人の魂が完全なる悪ではないと知ってのことだったのだ。


 ああ、機人様、ミリアはようやくわかりました。

 機人様はエルフを助けるばかりではなく、人も救おうとしていたのですね!


★★★


 白鮪のDHAはミリアのニューロンに作用し、その神経ネットワークを3000倍に拡張した。これはあくまで一時的な変化ではあったが、脳神経の物理的な変化はミリアにある異常をもたらした。


 彼女が何か行動するまえ前に、脳神経では114514回数の倫理演算が行われている。高速化するニューロンの交信は、狂信者であるミリアの思考を変化させたのだ。


 するとどうなるか?


 ヒトブタ壊滅の中核派、過激派であったミリアは慈愛に満ちた思考をするようになった。もはや事あるごとにローキックをする妖怪ではなくなっていた!!


 穏やかな、春の田園風景のような温かさを感じさせる微笑。

 立ち振る舞いは半グレのそれから、深窓の令嬢となった。


 そう!いつのまにやら、ミリアは狂信者から聖女にジョブチェンジしていたのだ!

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