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機人裁判 Aパート

※クロノトリガーの裁判のBGMを脳名に流してお楽しみください

 俺は警察に連れられて、裁判所の中に入った。


 裁判所はまるでスタジアムのようで、無数の人々が押しかけていた。

 人々は「機人裁判」をひと目見ようと集まっているのだ。


 中央には証言台。そしてその先には裁判官の席がある。


 その背後には、赤いカーテンが垂らされていて、中央には天秤と剣を持った女神が描かれた巨大なステンドグラスがあった。


 ステンドグラスを通った太陽光は、絵の色に沿ったカラフルな光となって裁判所の中に降り注いで、この空間にとても複雑な光の表情を見せている。


 光はまるでこの場に起きている混乱を表しているかのようだった。


 しかし……どうやら即日で裁判を行うらしいな。

 裁判ってそういうもんだっけ?普通、日にち決めてやるもんと違うの?


 まさか常に法廷が開いてるとはゆめにも思わなかったな。

 どういう司法制度してんのさ、ラメリカは?


(機人様、このタイプの裁判は人民法廷というヤツかもしれませんよ。なんとまあ、懐かしいものを思いついたものです)


(何それナビさん?)


(ええとですね、裁判官と一緒に有罪か無罪を決める人たちを陪審員と言うのですが……ああ、やっぱりありますね、陪審員席。その人を特定の政治組織にとても親しいズブスブの人たちにやらせることで、都合の悪い連中を口封じする裁判制度です)


(わーぉ!完全に終わってた?!)


(あ、だからか、なんで素人のミリアとデドリーに弁護させようってナビさんが言いだしたのって、もう弁護人もグルになっちゃってんのね?)


 そう、裁判の前に弁護人うんぬんの話があったのだ。


 しかし、ナビさんの提案で国選弁護人とやらを蹴り、弁護人はミリアとデドリーがやることになった。


 もちろんナビさんの支援付きでだよ?

 白マグロで知能がブーストされてるとはいえ、彼女らは法律の素人だ。


 なので以前の作戦で使っていた無線のインカムを、ナビさんと直通にしたのだ。

 二人はナビの事を妖精さんと思っているので、特に不審がらなかったのが幸いだ。


(Cis. こうなると、もはや処刑装置ですね。だから毎日いつでも開催できるようにしてるんじゃないですか?さっさとヤって口封じしないと逃げられますから)


(なるほどなー。)


「※検事(けんじ)の『正常会』会長『ネコマ』です」



検事(けんじ):犯罪が起きた時、犯罪の捜査を行って被疑者を起訴するかどうか決める権限を持つ人。実は警察は犯罪の証拠を集めるまでしかしません。罰を与えるかどうか、罪の立証は検事の仕事になります。



「※弁護人のミリアです」

「同じく、弁護人のデドリーですわ」



※弁護人:被告人の無罪を主張し、あるいは適切な量刑が得られるように、検察官と争う人の事。


 検事のネコマがまるでショーの司会か何かのように、裁判所の人々に語りかけた。


「ようこそみなさん!!」

「今法廷では、ヤマリー・カキントンの暗殺!!そして議員会館での不法行為について、その罪を裁きたいと思います!!」


 ……あれ?あの二足歩行の猫の人、どっかで……!

 あっ!!ポンダのニセ札を売ったときに、サバミソ組に居たやつじゃねえか!!

 なんでこんなとこに?!!!


「さて、みなさん……この者をどうしましょう?火あぶり、逆さに吊りにくすぐりの刑?」


「それとも……銃殺、ギロチン、電気椅子、あるいは全部乗せ?」


 ええい、ネコマめ!処刑をチーズ牛丼みたいにするんじゃない!!

 胸焼けおこすわ!!


「それを決めるのは人民である皆さまです!!さあ、始めましょう!!」


「では被告人『ポトポトの機人』証言台に立ちなさい」


 俺はネコマの指示に従って証言台につく。


 すると、黒い服を着てサンタクロースみたいなヒゲをした裁判官が、間延びしているのに妙に通る声でネコマに次の指示を飛ばした。


「検事ネコマ、冒頭陳述を行いなさ~い。いったいどのよ~な証拠にぃよって、このポトポトの機人の罪を証明しようと~いうのか~!!」


「はっ!!」

「被告、ポトポトの機人は、わが国で誰もが愛するヤマリー・カキントンを殺害しました!!これは議員会館のあるおぞましい秘密を暴いたカキントンを――」


「ポトポトの機人が、口封じをする為に殺害したものであります!!!」


 ザワザワ……!!ガヤガヤ……!!


「静しゅく~にぃ~!!では検事ネコマ、証拠を並べなさい~!」


「承知いたしました裁判長(サイバンチョ)


「まずポトポトの機人は、国際会議に参加する議員に対して、違法売春を行っていました。そのことはこの議員会館の名称からもわかる通りです!」


「すなわち、ギイン・カイカンとは、議員・快感のアナグラムであり、この名前自体が議員専用の性処理施設であることを暗示しているのです!!」


 ガヤガヤ……!!ドワドワ……!!!


 ネコマはわざわざシールまで用意してフリップでデタラメな説明をしている。

 なにこれ?なに?


「そして、議員そのものにも特定の数式を適用することで、児童売春、未成年をあらわす隠語であることが判明しています!!」


「このコードに関しては機密なので詳しくは説明できません。ですが、これは正常会の認めるアセンション可能なチャネラーが第6世界と交信することによって得られた地球の記録を参照したものであり絶対の真実です!!」


 なんかどんどん怪しげな話になってきたぞオイ?!

 証拠を示せって言われてんのに、詳しく説明できませんって

 それ証拠でも何でもねーだろうが!!!!


★★★

 デタラメな証拠を並べながら、ネコマはこう思っていた。


 ……いらぬ心配だったか。


 いかな機人と言えども、ラメリカの街並みを見てしまうと、戦えないと思ったのだろう。さすがに大人しくなったようだ。


 ならこちらの、ラメリカのルールでやらせてもらうとしよう。


 ふふ、国を亡ぼす力を持ち合わせる機人と言えども所詮はひとり。

 人が治める「世界そのもの」に抗う方法など、持ち合わせてはいまい。


★★★

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