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なぜなにシンシア

「まず目本の現状ですが、この世の地獄といって良いかと」


「……政治や技術が発展して、見た目は穏やかに見えたが?」


「ええ、イギニスやオーマに比べても、格段に発達しています……しかし、発達しすぎたのです。まず法の支配により台頭したのはヤクザマンです」


「「ヤクザマン?」」


 ああ、彼らと接触したのは、ポトポトでは俺だけだったな。


「……不法行為を生業(なりわい)にする者たちだ。法律に違反するありとあらゆるものを取引する連中だな」


「ええ、手に入らない物には高い値段が付きます。特に法で禁じられるとなると」


「そして、いつしかヤクザマンは非常に高い軍事力を持つまでになりました。今では目本の軍隊以上の装備を持っていますわ」


「……政治家は何をしているのだ?」


「彼らにとって、都合の良い環境づくりですね。機人様は空港の近くで、生活物資を転売する者たち、つまり、テンバイヤーに会いませんでした?」


「ああ、見たぞ。まさか……」


「彼らテンバイヤーはテンバイ=ギルドの指示を受け、組織的に転売をしています。価値が低く、保存のきかない食料など扱っているのは、底辺テンバイヤーですわ」


「テンバイ=ギルドを裏で取り仕切っているのは、ヤクザマンです。彼らは金持ちになる方法などと言葉巧みに誘導し、テンバイヤーを増やしていますの」


「いまや食料や服、家などの不動産に至るまで、テンバイヤーなしに入手することは、困難な状態にまで至っていますね」


 ねえバカなの?死ぬの?どうしてそうなるまで放っておいたの?


「……国が放っておくはずがないだろう。誰かしら止めるだろう?」


「ええ、それを止めようとする者は居ます。しかし表立って法で規制しようとすると、ヤクザマンの息のかかったテッポウダマによる襲撃を受けるのですわ」


 頭が痛くなってくるな。

 ……止めるどころか、全てが促進する方に回っているのか。


「……目本の政治家は襲撃を恐れて、ヤクザマンを抑える事が出来なくなってしまったということか。そしてより力をつけると」


「……む、しかしこれがセカヘイと何の関係がある?いや……まさか」


「セカヘイはヤクザマンの活動を支援するような行動をとっていますの」


「商業の自由、要はテンバイヤーの自由を認める政治家ですね。それを目本の中枢へと、組織的な選挙活動で送り込んでいます」


「へぇぇぇ?選挙ってなんですか?」


 疑問を投げかけたのはミリアだ。彼らは選挙について、知る由もなかったな。

 初の世界会議の議員の選出も、俺が勝手に決めたし。


「おっと。機人様はご理解されているようでしたが、インダやポトポト、オーマの方には初めての政治の概念ですね。えーっと……」


「数年限りの王様、それを国全員の人気投票で決める。そういった政治のやりかたを、民主主義、そして選ぶことを選挙というのだ」


「はえー、それ絶対うまくいかないじゃないですか」


 こら!そこ!!!!いきなり真理をつかない!!!!!


「ッス。口の上手い人の方が有利で、学者さんみたいなモニョモニョいう人は、絶対えらい人になれないっス」


「繰り返してればそのうち、肌の温度が合うように♡同じような人が選ばれるようになっちゃいますわ、いちいち新しい殿方を選ぶのも大変ですし♡」


 こらこら!!問題発言はそれくらいにしなさい!!!


「……まあ、目本はその罠にかかったと、そういうことでいいのだな?」


「まあ、かなりの極論ですが、そういう事にしておきましょう。要は、政治家の方も応援してくれる人が欲しいわけです。なのでセカヘイはそこにつけ込みました」


「そして人々の間では、もはや平和的な修正は不可能と見て、過激派が発生しています。レジスタンス=ニンジャが政治に反抗し、爆破テロ、政治家の暗殺なんかを」


「……うわぁ……」


「ニンジャとヤクザが戦い、セカヘイとそれに反抗する政治家が命を削る。月並みの表現になりますが、この世の地獄ですわね」


 ――どうすりゃいいんだよ、この状況。

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