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あと片付け

「よし、もうこんなもんでいいだろ」


 俺は象人の治療(と言ってもエリクサーをぶっ刺すだけだが)が終わった後、砂浜の瓦礫の撤去を手伝っていた。


 大きな瓦礫をどかすために、装甲車を利用しましょうとポルシェが言ったので試してみたが、装甲車ではまるで駄目だった。


「やわらかい砂浜のような、軟弱な地面を走るには、装甲車の細い車輪は不利ですね。完全に埋まってしまいます」


「……エンジンはそこまで弱いわけでは無い、車輪の幅を増やす改良をするか?」


「うーん、設置圧よりも、地面を掴むかどうかだと考えます。すべきはタイヤ表面の改良ですかね?しかし、スパイクのようなものでは、舗装路を傷付ける。」


「ッス!次は、不整地を走る力をあげないといけないっすね!」


「ドワーフ戦車のエイブラムスは、車輪が並んでましたが、これはまさか……」


「さー、ヒトカスは全部しまっちゃいましょうね~」


 ――ん?


 ミリアは俺がクラフトメニューで作ったブルドーザーに乗って、片っ端から砂浜のクレーターに、イギニス兵の焼死体を埋めている。


 彼女の操るブルドーザーは、ズゴゴゴゴと音を立て、凄まじいエンジンのトルクでもって、《《キャタピラ》》で前へと進む。


 キャタピラは砂浜をものともせずに、先端のブレードで丸コゲになった、言葉では言えないモノをクレーターの中に押し込んで埋め立てる。


死体はパンジャンのせいで、完全に炭、THE炭素になってしまったので、食う意味がない。


 だから、全部埋めちゃっていいよってことで、そうさせているのだが……。


「「それだっ!!!!」」


「はい???」


★★★


 砂浜の埋め立て作業が終わってから、しばらくの後。


 新たにロイとポルシュによる、ブルドーザーをとり囲んでの、「装甲車どうしよう会議」が始まっていた。


「装甲車の改良すべき点がわかりましたね。搭載する武装を増やすためにも、足回りの改造は必要とおもってたんですよ」


「ッス!足腰がしっかりしてれば、装甲も増やせるッス!」


「ええ!他の国でもいずれ、『装甲車』と似たようなモノは出てきます。もしそうなれば、他国と装甲と火力を競い合うことになるでしょう」


「ッス!これはすごいアドバンテージっす!!」


「「ススススス!!ポルポルポル!!」」


 ――ああだめだ。ポルシュくんもポトポトの「変人会議」に飲まれてしまった。


 でもまあ、幸せそうだからいっか。


 すっかり日も暮れてしまったな。砂浜を当ても無く見回っていると、ミリアは作業が終わって、デドリーと一緒になって、カラフルな魚を焼いて食おうとしている。


 大丈夫それ?まあUIには毒の表示がされてないから平気だとは思うが……見た目がエグい。パクっと口にして、????という微妙な顔をしている。まあうまそうには見えなかった。


「機人よ、すこしいいか?」


 俺に声をかけたのは、古代竜のリューだ。


「……まさか、忘れてるのか、ほら、アレだ、アレ。地上に何とかのアレ」


 えーっと?……あっ!核兵器!すっかり忘れてた!


「思い出したか。とにかくこの際だ、おまえにはモノを見せようかと思ってな。私についてこい」


「……ああ、わかった」


 案内されたのは、島の崖を掘り抜いた、核シェルターみたいな施設だった。

 あ、リューさん、入り口のサイズ的に、中に入れなくね?


 と思ったらいつのまにか人間化してるし。ああいかんいかん危ない危ない!

 ……なんか服作らんと、えーっと、二等国民服?まあいいやなんでも。


 出てきたのはなんともディストピア感あふれる、白いシャツとパンツ。

 なんか健康診断とか、病院で着る奴みたい。まあいっか。


「……とりあえず何か着てくれ。」


「ああ、気にすることも無いと思うが……」


(機人はヒトとしての心は無いくせに、共感性羞恥心だけはあるんですね?)

(やかましいわ!)


 俺たちはシェルターの中を進む。なんか雰囲気的に、現代系FPSの最終ステージみたいな雰囲気を醸し出しているな。


 というのも至る所にあるコレよ、コレ。

 真っ赤なお星さまのマークに、〇と棒で構成された文字。

 あーこれはやってますね。バリバリに。コンギョー!コンギョー!って感じ。


「……これは旧世界の文字だな。私の知識だと……とある、ならず者国家が用いていた文字だ」


 壁に掛けられた写真には、アブラギッシュでサザエさんみたいな頭をしたオッサンが映っている。うーむ、こりゃあいよいよ間違いないな。


「そんなものを見ている場合か、こっちだ」

「……ああ、すまん。」


 リューに連れられて行った先では、歩みを進めるたびに、ガリガリとガイガーカウンターが反応してくる。おお、近いな。


 ようやく目的地に着いたのか、リューが歩みを止める。なるほど。


 俺は宇宙ロケットを打ち上げる、ミサイルサイロみたいなのを想像していたのだが、ちょっと違った。たどりついたのは、ちょっと天井の高い、地下駐車場みたいな場所だった。


 イカの頭からヒレを取ったみたいな形をした、薄っぺらい形をしたミサイルが台車に乗せられて、いくつも並べられていた。はえー。こんな保管の仕方で良いんだ?


「劣化はかなり進んでいるが、それでも20メガトンの威力はあると思う」


「……あると思う、か。ものは試しと、おいそれと使える代物ではないからな」


(ええ、絶対しないでください。何が起きるかわかりません。)

(同意するわ、とはいえ、何か他に使い道あるの?)


(食べればいいんじゃないですか?核融合バッテリーの材料ですよコレ)

(そうなの!?じゃあ食うわ!めっちゃ食うわ!)


(ひとまず解体の方法を指示します。しくじったらあなたは数万年の間、地表に出る事が叶いませんので、すごおおおおく慎重にやってください)


(アッハイ。)


「……解体する方法はある。試してみても?」


「ああ、そう思って呼んだのだ」


 俺はナビの指示に従って、一つ目の水爆の解体に取り掛かる。


 うおおおお!!!!こええええええ!!!!


 ……しかしなんでイギニスが、核兵器をそんなに欲しがるんだろうね?

 あの時代の連中に、核融合は理解できないだろう。常識的に考えて。


 ――まさか、いるのか?理解できる奴。

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