ロボ転生?
何がどうしてこうなったのだろう…
頭を掻こうとして、すぐにそれに意味がない事に気がついて、手を止める。
目の前には赤茶けて汚れた洗面台があり、その上にはカビた鏡がある。
それに映るのは見知った三十路の男ではない。
砂漠の砂のような色をした鉄板と、プラスチックのような何かを組み合わせて、人の形を象ってはいるが、明らかに人ではない。
そう、俺こと、安楽川亮は、なんかしらんうちにロボットになっていたのだ。
本当にどうしてこうなってしまったのだろう…
姿見の前で自身の変わり果てた姿をしげしげと見つつ、妙に遠くに感じられる人間だった時までの記憶を確認する。
確か徹夜でシミュレーションゲームのマルチプレイをしてて、その徹夜明けにトラックに跳ねられた。
で、右脚に鉄棒入れられて「わぁいこれでサイボーグだ」とか言ってた覚えはある。
だけど、さすがにここまで改造はしないよな。
あとは、脳波を測るとかいって怪しげな機械に座らされたけど、あれが原因か?
今になって冷静に思い返してみると、確かにあのときに処置してくれた人達は、医師というより瓶底眼鏡に爆発ヘアーで、かなりマッドな感じで「科学ノ為ニハ犠牲ハ付キ物デース」とかいいそうな感じだったが……。
彼がこのロボットを作ったんだろうか?
多分これ、軍事用だよな…威圧感凄いし。
これを接客に使うのなんて、ヤのつく自営業でもしないわ。
それにしてもこの量産型感あふれるデザインのなかに漂うほのかな高級感。
ただ安価にするだけではなく、要求以上の追求をした形跡を感じる。
開発者すごいな、友達になりたい。
俺は原因のことは脇に置いておいて、今はこの体のことを調べるべきかなと、注意の先を切り替えることにした。
だって……ねえ?軍事用人型ロボットとか、こんなの嫌いな男の子はいませんよ。
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