イーター
部屋を出ると、そこには大きめのダイニングキッチンがあった。
奥にあるホワイトボードにはたくさんの紙が貼りつけられている。
「そのボードに張り付けてあるのがクリミナルの討伐書だ。うちは個人でやってるから人手不足でな、お前にもクリミナル討伐をしてもらう。」
.........え???
「いや無理無理無理!え、なんで?!俺一般人だし!」
「まぁまぁ、そう否定的になるなよ。クリミナルに襲われるってことはお前もイーターの素質があるってことだ。」
話が急すぎて全くの見込めない。イーター?討伐?頭が痛くなってきた......
「お前がイーターになってくれなきゃ、お前の親もいずれ死ぬな。時間の問題だ。」
そうだ!父さんと母さんを生き返らせるにはどうしたら...!
「...僕がイーターになれば、父さんと母さんは救えるんですか?」
「断言はできないが、その可能性は上がるだろうな。」
「僕は何をしたら...」
男はにやりと笑う。
「契約完了...ってことでいいよな?」
僕は深くうなずいた。
「っしゃ、そうときまれば今日から訓練だな。俺の名前は八ツ木白だ、よろしくな。」
「し、四名瀬輪です、よろしくお願いします。」
八ツ木はホワイトボードに黙々と図を描きだした。
「こいつが昨日お前さんを襲ったクリミナルだ。だがこいつは子分、つまり親玉がいる。
人間の生気を吸い親玉に還元する。それが子分の仕事だ。」
「親玉はなんで生体エネルギーをあつめているんですか...?」
「羽化するためだ。親玉は基本自分から行動することはなく、羽化して初めて動きだす。」
図を見る限り、親玉1に対し子分は10ほどがオーソドックスのようだ。
「もし羽化したら...?」
「その時は手遅れだ。羽化したクリムゾンは裏時間をはみ出し、現実世界に干渉してくる。」
どうやら親玉のクリムゾンの羽化を阻止するのがイーターの主な仕事内容のようだ。
「もしお前の両親の生気を吸った親玉のクリムゾンを討伐することができれば、その生気は肉体に戻る。
つまり生き返るってことだな。」
.........?!
そういうことか、親玉を討伐しない限り父さんと母さんは生き返らない。
やるしかない...!
「わかりました、さっそく特訓をお願いします!」
僕は覚悟を決め、必ず両親を取り返すと誓った。