石化
「お、目が覚めたみたいだな。ほらよ。」
白髪の男は持っていたコーヒーを俺に手渡してきた。
「あ、ど、どうも。」
とりあえず口に運ぶ。
と、同時に
...!!ブハッッッ!!
吹き出してしまった。
「ぶ、ブラックは飲めないです...」
ゲホゲホ...
気管支に入ってしまったのか、せきが止まらない...
男は腹を抱えて笑っている。
「わるいわるい、そっちは俺の分だったぜ。」
そういうと男は部屋の外からもう一つ、コーヒーを持ってきた。
ズズズ...
甘い。ほっと胸をなでおろす。
「で、昨日の裏時間中に奇声を上げてぶっ倒れたお前を俺がここまで運んできてやったわけだが。
体調はどうだ?」
そうだ、僕は昨日変な怪物に襲われてこの男の人に助けてもらったんだ。
そして父さんと母さんは...
「体調は大丈夫です。それより、僕の父と母は本当に死んでしまったんですか...?」
「んー、死んだといえば死んだ、って感じかな。」
煮え切らない答えに不本意にも期待が膨らんでしまう。
「それってどういう...死んでない可能性も少しはあるってことですか?!」
「まあ落ち着け。お前の両親はまだ石化で留まってる。助けることが不可能なわけじゃない。」
その言葉を聞き、心臓の動きが早まるのが自分でもわかる。
「クリミナルに生気を吸われた後、一定時間は石化状態で留まり、さらに一定時間がたつとクリミナルが死ぬ時と同じように、砂のように消えていくってわけ。
「石化を解く方法とか!ないんですか...!」
「あるよ。けどそのためにはお前にも働いてもらう必要がある。こっちへ来い。」
そういうと男は部屋の外へと手招きした。