裏時間
一体何が起きたのかわからなかった。
さっきまで目の前にいた怪物は消え、代わりに白髪の男が立っている。
「あ、あなたは...?」
「.........」
男は口を開かないままこちらを見つめてくる。
時計はまだ深夜0時を指したままだった。
「この状況を経験するのは初めてみたいだな。」
頷くと男は淡々と話しだした。
「ここは”裏時間”。現実世界とは少しズレた世界だ。深夜0時から約三時間ほど存在している。」
裏時間...学校で聞いたことがる...都市伝説じゃなかったのか...?
「さっきの怪物は”クリミナル”と呼ばれ、人間の生体エネルギーをエサにしている。」
「人間の生体エネルギーって、まさか...?!」
「そのまさかだ、残念だがお前の両親は今さっき食われちまったみたいだな。」
.........?!?!?!
「う、うそだ!人がそんな簡単に死ぬわけ...!」
「なら後ろを振り返って確認してみろ。同じことが言えるか?」
そこには十字架の石に代わってしまった両親。
「クリミナルは生気を吸い取り人間を石に変える。つまり、そういうことだ。」
「あ...ぁぁああぁあああぁぁぁぁあああぁぁあぁぁ!!!!!!!!」
声にならない声が家中に響き渡った。
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.........気絶していたのだろうか。
目が覚めると両親の部屋の前ではなく、知らない部屋のベッドで寝ていたことに気づく
「ここはどこだ...?」
ガチャ
ドアを開けて入ってきたのは、コーヒーを片手に持った白髪の男だった。