白髪の男
ん.........
時計を見ると時間は深夜0時ぴったり、へんな時間に起きてしまったな。
「喉乾いた...水飲みたい...」
ベッドをでて部屋を出ようとしたその時だった。
グラッッッ!!!
「じ、地震?!」
一瞬、しかし大きく強い揺れが体を襲った。
「な、なんだったんだ今の...」
なんとも奇妙な地震のような何かに疑問を抱きながら部屋を出て階段を下る。
コンコン
「父さん、母さん、地震だいじょ...」
安否を確認するために親の寝室の扉を開け、思わず体が固まった。
「な、なんだよこれ...!父さん!母さん!」
目の前の布団にもぐっていたのは、父と母のパジャマを着た十字架の石だった。
僕は状況が理解できずその場に座り込んでしまった。
なんで父さんと母さんが石になってるんだ...
一体どうなって...?!
寝室の時計を見ると時間はまだ深夜0時ピッタリのまま、微動だにしない。
「一分も進んでないなんてありえない...まじでなんなんだよこれ...?!」
あまりにも不可解な状況に思わず叫んでしまう。
「グルルルル...ニンゲン...コエ...!!!」
「...へ?」
背後から動物のうめき声のようなものが聞こえ振り返ると、そこには人の形をした異形の怪物が立っていた。
「...!?!?」
あまりの驚きに声も出ない。
「サンニンメ...クウ...!!」
異形の怪物が大口を開けこちらへ飛び掛かってくる。
もうだめだ、僕死ぬんだ...!
自らの死を悟った、その時だった。
「グル...?!グルルルアアア...」
異形の怪物は真ん中から真っ二つに割れ、砂のようにサラサラと溶け、消えていく。
「大丈夫か?」
裂けた怪物の後ろには白髪の男が立っていた。