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この極みで世界を救うⅢ エピローグ

           1



「ーーーあ?」


ゼットの見送りを終えた春野は、胸の内に違和感を覚えた。視線を下に向けてみれば、胸板の中心に黄色の輝きが宿っていた。


それを見て、春野はかつての記憶を思い出しーーー。


「‥‥まさか」


空間の鞘から《大剣》を取り出し、そこに取り付けられた結晶の数々に目を向けた。



ーーーそこには、なかったはずの黄色の輝きを宿した結晶が、光を発していた。



「‥‥‥《死行人(ゼット)》の力か」


今まで手に入れた『仲間』の力を考えると、この輝きの力は間違いなく相手に癒えぬ傷を与える力なのだろう。


手で持ち上げた《大剣》を下ろし、春野はその目を街の奥に向けた。


きっと、また合うことになるであろう友に、感謝を想いながらーー。


「あ、春野ーーー!!」


そこで、横から飛び込んできたラベスタントとその声に笑みを浮かべたその顔を向けた。


彼女は浮遊魔法を解除し、駆け寄って春野の右腕に抱きついた。


「春野、いきなり出ていってどうしたのよ?しかも《大剣》も出して‥‥」


「ん?あぁ、こいつは生存が不明の魔王軍(あいつら)を倒すためにな」


「そんな‥‥いる訳ないでしょっ、幹部は貴方の《大剣(ひっさつわざ)》で一撃でしょうし、兵器は破壊が、女に関しては死亡が確認されたわ」


「そうか、そいつはよかったぜーーー二重ふたつの意味で」


「?」


それを聞いて、ラベスタントは怪訝そうな顔を向けるが、勿論それを言うわけにはいかない。


訳が分からないと言いたげなラベスタントにただ笑い掛け、深く追求するのを諦めさせた。


「‥‥さて、俺は後始末をしに行くぜ」


「別に、この街の惨状は仕方ないことだからいいじゃないの。別に賠償とかはされるわけじゃないでしょうに‥‥それよりアタシとイチャイチャしましょ?」


「しねぇよ。あと勝手に話を進めんな」


その手に持っていた《大剣》を空間の鞘に収め、春野は大通りを歩き始めた。それに続くようにラベスタントも早足で春野の側を歩き、嬉しそうに鼻歌を歌い始めた。


しばらくそのままに鼻歌は続いたが、突然ラベスタントは足取りと歌を共に止めた。


「春野見て、もう子供たちが遊んでるわよ」


「あぁ?ガキぐらい、どうでも‥‥‥」


それを見て、春野は息を呑んだ。


この場所は、あの子供たちは、ゼットと共に遊んでいたとこであり、子供たちでもあった。


それを見て、春野は口端を上げた顔でラベスタントに耳打ちをした。


「ラベスタント、あのガキ共と遊ぶぞ」


「え?‥‥あなたがそんなことを言うのも珍しいけど、何も知らない赤の他人を入れてくれるのかしら?」


「大丈夫だ。あのガキ共は前に遊んだ、行くぞ」


「あぁ!は、春野!」


彼女の腕を引き、春野は声を子どもたちに掛けた。



街、国、過去、世界を巻き込んだ今回の戦い、否、『戦争』は幕を下ろしていく。



ーーただ、それは今だけのことであると春野は予感していた。



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