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乙女ゲーム企画

作者: 腹黒兎


 元気で可愛い平民の女の子が光の魔法を発現してしまったせいで、教会から聖女に祭り上げられ、ある貴族の養女となり、貴族が多く通う魔法学園に入学する事になった。

 そこで彼女は様々な人々に出会い、友情を育みながら試練を乗り越え、そして、恋を知る。


主人公 アリス(変更可)

 ピンクブロンドのゆるふわな髪。ラベンダー色の瞳。

 平民。光魔法が使え聖女となる。

「大丈夫。全部私に任せなさいっ」

「……頼っても、いいの?」

「だからっ!大好きだって言ってるじゃないっ!」


アレックス (第二王子)

 癖っ毛のある金髪。翡翠色の瞳。

 傲慢王子様。生徒会長。

「お前、私が誰だか知らないのか?」

「ふっ。やはり面白い女だな」

「言っただろう?髪の毛から爪の先まで私の物だと」


ライアン(宰相の息子)

 さらさら銀髪。青い瞳。

 腹黒。成績優秀。生徒副会長。

「こんな事も分からないのですか?一体何を学んできたのです」

「こんなに諦めの悪いバカな子は初めてですよ」

「俺の事しか見えないぐらい甘やかしてあげますよ」


カイゼル(将軍の息子)

 赤銅色の短髪。濃い茶色の瞳。

 脳筋寄り。単純、純粋。アレックスの護衛候補。

「すまない。ちゃんと見ていなかった」

「ありがとう。そう言ってもらえると、嬉しいな」

「君が好きなんだ。好きで、好きで、苦しいんだ」


フロリアン(大商人の息子)

 薄紫色の長髪。琥珀色の瞳。化粧有。泣きぼくろ。

 享楽的で派手好き。生徒会会計。

「あら、やだ。ちゃんとお手入れしてる?」

「うふふふ。貴女みたいな子を原石って言うのね」

「誰が恋愛対象が男だなんて言ったの?安心なさい。貴女しか愛さないわ」


デミアン (数学教師)

 青色の髪。水色の瞳。眼鏡有。

 穏やか。癒し系。生徒会顧問。

「この点数は、ひどいですねぇ」

「よくできました。ご褒美をあげましょう」

「頑張り屋さんの貴女を好ましく思います」


クロレッツィア (伯爵令嬢)

 黒い巻き髪。赤い瞳。

 貴族令嬢。キツイ顔と性格。アレックスの婚約者候補。生徒会書記。

「平民が気安く話しかけないでくださる?」

「貴女如きが話しかけて良い方ではないのよ」

「身の程を弁えなさいっ」


 花も嵐も撒き散らして、彼女は幸せを掴めるのか。

 育成型シュミレーション恋愛ゲーム。

『グロッサムピンク〜貴方の為に咲く花〜』

2023年春発売予定。

素敵な恋をしてみませんか。





年下で高学歴の上司は、デジタル資料に目を通した後、無情なる一言を告げた。


「没」

「ええ!?なんでですか!」

「クソつまんねー」

「ええ!?企画書ちゃんと読みました?」

「読み込むような内容か?逆にこれでいけると思ったお前の脳みそに驚きだわ。何、このクソつまんねー設定。王道通り過ぎて古典かよ。あらすじだけでオチまで見通せるわ。おまけにこの人物設定。昭和か?昭和だろ。今、令和。わかってる?平成飛び越えて昭和まで逆行するとか、ある意味才能だわ。なに?ウケ狙ってんの?ライバル令嬢のドリル巻髪ってどこ狙い?まさか、メインヒーローが主人公を「子猫ちゃん」とか呼ばないよね?え?これコメディ?乙女ゲームって言ったよね?なんでお笑い持ってくんの?こういうネタとかいいからさ、本命出してよ」


クソ上司がノンブレスで言いやがった。

あ?若さを誇ってんのか。肺活量がすごうございますね。拍手してやるよ。

つーか、昭和じゃねぇよ、一桁だが平成生まれだ。


「ですが、今、ライトノベルで悪役令嬢系も流行ってますし、これだけベタだと一周回って興味を持たれるんではないかと…」

「ないない。ラノベはラノベ。うちは広ーい範囲のお嬢様方を対象にしてんの。オタク女子のみならず、ときめきたい女子全般が対象なの。分かる?アプリゲーなんだから、ライバルとか悪役令嬢とか要らないの。ホスト並みの男子揃えて、萌えさせて、サクッと進めて、飴と鞭を数日毎に入れて、課金して貰わないと給料出ないの?分かった?分かったら、はい、やり直し」


しっしっと追い払う仕草の上司に、内心では罵りながらも頭を下げて退室する。

はっ!あんのクソ上司っ。覚えてろよ、ぐうの音も出ない企画書出してやるよ。

腹の底に怒りと溜め込みながら、検索で世の中の傾向を調べ直す。

戦国タイムスリップも、異世界トリップもやった。大正ロマンは先月他社が出したばかり。

後は、童話系は山崎のチームが手がけてるはず。

いっそのこと、ゾンビ系とかどうよ?

ゾンビ彼氏に愛を囁かれてもときめかねーよな。

その時、ふとクソ上司の言葉が蘇った。

そうか。そうか。それでやってやろうじゃないか。ホスト並みの男子を揃えてやりゃいいんだな。やったろうじゃねーか。



そうして、数日後に出来た企画書は無事に通った。


落ち目のキャバ嬢がホストにハマり、推しのホストをNo.1にする為に仕事で稼ぎまくってホストに貢ぐゲーム。

『ホスト育成〜キャバ嬢が貴方をNo. 1にしてみせる〜』

推しホストは総勢50人。無料と有料のホスト名刺ガチャがあり、被れば売却かホストのセンスアップが出来る。センスがMAXまでいくと絵柄が変わる仕組みだ。

もちろん、主人公のキャバ嬢の洋服・靴・アクセも変更可能。これはガチャとセット販売がある。

デイリーポイントで小物ガチャが回せて、自分の魅力アップやホストへの貢ぎ物に使える。10日目にはドレスガチャ券をプレゼント。

ホストと仲良くなれば、デートしたり、客としてお店に来てくれたりする。親愛度が増えるとイベントが起こる。

仲の良いホストが増えるとバッティングしたり修羅場が発生する。そうすると親愛度が減るので、貢ぎ物や指名をしなければならない。


そんな乙女(?)ゲーム企画が上層部からそこそこ高評価を受け、クソ上司から「やればできるじゃねーか」と上から目線な褒め言葉をもらった。

ただ、「ネーミングのセンスはゼロだな」という余計な一言も頂いた。

年上の余裕で顔面に力を入れて微笑み、センス抜群の上司に丸投げをした。どんなタイトルになるか今から楽しみでならない。



 *終わり*


お読みくださりありがとうございます。


なんとなく。本当になんとなく書いたものです。

よくなろうで見る乙女ゲームの設定っていつのだろうなぁ…と。最近のアプリだとライバルとかいなくて、主人公と攻略男性しか出ないのが多い気がしたので。

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