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三条寧夢の観る創作  作者: 徳島静
一章「創作出会い編」
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授けられし力です?

 関わらない方が良いと理解しつつも、わたしは声のする方へ注意を向けてしまいます。


 遊歩道のベンチにその人はいました。

 どこに出しても恥ずかしい感じのザ酔っ払いという出立ちのおじさんです。


 青いつなぎを着て、手には酒瓶が握られています。

 ベンチに深く座り込み、時折深く酒をあおりながら、何やら言葉にならないようなうめきを繰り返しています。酔っていなければ、うほっ……いい男な感じのいい男です。


 そしてまもなく、わたしはそのおじさんと目が合ってしまいました。


 それはもうバッチリと。

 これが漫画の一場面だったら「ゲェーン」みたいな大袈裟な擬音が鳴り響いていることでしょう。


「まさかこんなところで会えるとは……天はまだ私を見放していなかった」


 開口一番そんな台詞でおまけに相手は号泣しています。

 なんでしょう。ヤバイ人でしょうか。

 関わらない方が良い感じでしょうか。


 迷っている暇はありません。これはガチでヤバイ人です。コミュ障の基本スキルであるステルス能力を用いてさっさとこの場から退散するのが吉ですね。


 わたしが踵を返すと同時に背中に声を投げかけられます。


「力が欲しいんだな?」

「……」


 思わず立ち止まってしまいました。何を言っているのでしょうこの人は?

 ナンパでしょうか。新宿辺りを歩いているとこういった意味不明な声かけは日常茶飯事と言います。逆に立ち止まってしまうからとかなんとか。


「君に授けるのは人の物語を「観る」力だ。もう与えた」


 拒否する間もなく拒否権を拒否されました。

 あまりにも唐突過ぎてよくわかりません。トラックに撥ねられて異世界転生の方がまだ段階を踏んでいます。


「その目でしかと観ろ!! 君には他人の考えている物語が見える筈だ!」


 そうしておじさんは車道を挟んで反対側にいる男子高校生を指さすのでした。

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