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お嬢様は救世します6

「お父様、お連れしました」

「おおコニアか、フィアも無事で何よりだ」

「この方たちが助け出して下さった上に、里も守ってくださったのです」

「そうかそうか、お前が開拓していた里をな。いやはや魔王と呼ばれる御仁がどのような恐ろしい者かと思えばこのように可愛らしい娘さんだったとはな」

「エルフ王レイファウス殿だな? 我はメナリア・エストハート。しがない魔族だ」

「まだ幼いのにしっかりしている。さて、私はあなたに礼をせねばならないな」

「そんなものは要らないが、我ら魔族と友好を結んでほしい」

「友好を? それは願ってもいない提案だが、他に何か欲しいものなどないのかね?」

「ふーむ、そうは言われても我は特に困っていることもない。むしろ何か困ったことがあるならば手を貸そう」

 お嬢様はエルフ王様の礼を断りました

 非常にお嬢様らしい無欲さです

「なんと無欲な…。確かにコニア、お前の言う通り魔王と呼ばれるのが不思議なほどの方だ」

「そうでしょうお父様、だから是非とも力を貸してあげて欲しいのです」

「ああ…。魔族の王よ、私は今まで認識を誤っていた。許してほしい」

「そんな頭を下げずとも良い。我は礼を言われるために人助けをしているのではない」

 お嬢様が人を助ける理由

 私はそれを存じませんが、人を助けるのに理由などいりません

 私はただお嬢様にずっと付き従うまでです

 

 その後エルフ族と正式に友好関係を結んだことでエルフ族は魔族に与したと世界中から非難が集まりました

 しかしエルフ王は熱心に説得をしてくださっているようです

 その結果、数日後にはドワーフ族とも友好を結べることになりました

 またも出向いて王に会わなければいけませんが、お嬢様はめんどくさがることもなくウキウキと出かける準備をしています

 今度着て行く服は私が仕立てた純白のドレスです

 大きなリボンが腰元についていて、それを着るお嬢様が可愛くて仕方がないのです

 思わず抱きしめてしまいそうでしたがグッとこらえました

 そして二日後、ドワーフの国であるゴルドアへと出立しました

 とはいってもまた転移したので時間はかかりません

 お嬢様の転移は世界中どこだろうと行けるのです

 もしお嬢様並みの転移を使える者がいたなら悪用しそうなものですが、そんな者はまずいないでしょう

 何故ならまず転移には膨大な魔力を使います

 人間の高位な魔術師十人が全ての魔力を注いでようやくできる魔法です

 それでも行ったことのある場所にしかいけないという制限があるのですが、お嬢様の転移はどこだろうとご自分の思うままに飛ぶことができるのです

 しかも魔力消費がほんの少しですんでいるようなのです

 これは異例なことですが、お嬢様は何食わぬ顔

 一体どうやってこのような魔法を行使しているのか私には分かりませんでした

「ついたぞハク。お前がついて来てくれるから我は安心できている。感謝するぞ」

「そ、そんな、お嬢様、感謝など」

「事実だ。・・・。なあハク、お前は、我の元からいなくなったりは」

「何ですかお嬢様?」

「何でもない。行こう」

「はい!」

 お嬢様が何を言いかけたのかは声が小さくて聞き取れませんでした

 

 お嬢様の後ろについてドワーフの国にある巨大な門をくぐります

 この門は悪しき心の者が通ると警報が鳴るらしいのですが、お嬢様も私も大丈夫でした

 ドワーフの技術はすごいのですね

「あなたがもしかして魔王様ですか?」

 いきなり声をかけられたのでそちらの方を見ると、小さな女の子が立っていました

 ドワーフ族は身長が一メートル半ほどしかない種族ですが、その子はさらに小さいので恐らくドワーフの子供なのでしょう

 フフ、可愛らしいです

「どうも! 私は案内を頼まれたエミラと申します! 王の元へご案内するのでついて来てくださいな!」

「うむ、よろしく頼む」

 ちょこちょこと一生懸命に歩く姿が可愛い子ですね

 彼女の後について行くと洞窟に入りました

 内部はところどころに煌びやかな装飾が施されていて、ドワーフたちの金属加工技術のすごさがよくわかります

 扉の蝶番も本当に生きた蝶のような精巧な装飾なのです

 それに様々な宝石がふんだんに使われていますね

 あまりのすごさにキョロキョロとしすぎたため危うくはぐれてしまうところでした

「王様、お連れしました!」

「エミラ、ありがとう。下がっていいですよ」

「はい王様!」

 やっぱりというか、特にたくさんの金があしらわれた部屋が王様の部屋で、その中の豪華絢爛な椅子に座っているのは温厚そうで小さなおじいさんでした

 でも威厳があります

「よくぞ来てくださいました。私がドワーフ王ガレド・ゴルドアです」

「我はメナリア・エストハートだ。是非ともドワーフ族と友好関係を結ばせていただきたい」

「ほっほ、こちらから出向くのが筋でしたが、見ての通り私は足を数年前に失っておりましてな」

 そう言って義足を見せてくださいました

 その数年前に強力な魔物と戦い、討伐は出来たものの足を失ったそうです

「いやいや、我にとっても願ってもないことだったのでむしろこちらから向かいたかったのだ。気にしないでくれ」

「そう言っていただき感謝します。さてそれでは早速友好を結ばせていただきましょう。エルフ王からお話は聞いております。私もできうる限りの手助けをしたいと思います」

「ありがとうドワーフ王」

 友好はすぐに結ばれました

 順調、大いに順調と言えます!

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