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お嬢様は救世します3

 まったく、急に帰って来たかと思えばいきなり誘拐されたエルフ族を探せ?

 人使いの荒い奴だよまったく

 姉とは大違いだよまったく

 でもまぁリーダーであるこのガキの指示だからやるけどもねぃ

 おり(おれ)はセンツ・オロロン

 元魔王にしてこの生意気なガキの育ての親でもあるねぃ

 まったくこのガキは昔っから生意気で仕方ない

 魔力が高すぎる故に成長が遅いからいつまでもガキだねぃ

「とにかく頼んだぞセンツ! 我はお主を信頼しておるのだからな!」

「わーったよガキ。おりに任せときねぃ」

 まったく、可愛げのない可愛いガキだよ

 おりは持ち前の魔道具技術で世界中に目を放った

 こり(これ)はおりが作ったものの中でも一番重宝している魔道具だ

 世界中にばれずに飛ばせる上に、見た情報は全てこの魔ビジョンという装置に映し出される

 こりがあるおかげで世界情勢が手に取るように分かる

 お、人間族と人間族の小競り合いが今日もおきてるねぃ

 まったく人間族は争いが好きだねぃ

 おりがレイスになってからも何度も戦争をしている

 そう、おりは元々しがない人間の魔道具研究者だった

 様々な魔道具を作り出していたが、おりの可愛い魔道具たちが戦争に使われるのが耐えられず、当時の王に抗議したら処刑されてこんな身体になっちまった

 まったく、意外と敬虔な神の信徒だったのに、おかげで教会に行けなくなっちまったねぃ

 クイーンレイスになってからと言うもの、配下のレイスやアンデッドたちと共に様々な魔道具研究をしていたらいつの間にか魔王になっちまってたよ

 まぁ争い何て無駄なことしたくないから引きこもってたけどねぃ

 しばらくすると別の奴が魔王なんて呼ばれ始めたからおりは安心して余生、とはいってももう死んでるからレイス生?を生きて?来たわけだが、ひょんなことから小さな魔族の姉妹を拾っちまった

 しかもこいつら、くくく

 面白いから拾って育ててたらとんでもなく育っちまったよ

 姉のセラビシアは魔王になった

 おりはそれだけは阻止しなきゃならなかったんだ

 だが当時のおりは研究のためにあいつを、育つままに育てちまった

 もし過去に行けるなら、おりはその時の自分をぶんなぐってやりたいよ

 あいつは自分達の両親を奪った人間族を恨むことなく、話し合いをしようと必死だった

 それなのに人間族は、あいつを殺した

 おりは、あいつを、娘を守れなかったんだ

 何が元魔王だ! おりはただの馬鹿だよ

 おりは研究をやめてまた引きこもろうとした

 だが妹である現魔王、メナリアは言ったんだ

「母よ、我は人間族が憎い。でも、セラビシアの意思を継ぎたいのだ。姉は世界平和を目指していたのだ。ならば我は、姉の成そうとしたことを成す!」

 力強い決意

 おりはあの子を、もう一人の娘を止めることはできなかった

 研究を続け、メナリアの潜在能力があまりにも異常なことが分かった時は震えたねぃ

 この子ならば、本当に世界を変えてしまうだろう

 だからおりは母として、あの子をずっと見守ろうと思った

「セラビシアよ、お前の妹は強く優しく育ったぞ。お前の意思を継いでしっかりとやってるぞ。だから安らかに眠れ」

 おりは宙に浮かぶ霊体となったセラビシアに話しかけた

「ありがとうお母様、私も、そろそろ逝きます」

「ああ、メナリアのことは任せておけ。しかし最後に聞いていいかねぃ?」

「ええ、あの子の正体についてですね?」

「お前は知っているのかやはり」

「はいお母様、あの子は、・・・・・・」

「そうか、それで合点がいったねぃ。そうだったか…。ありがとうセラビシア。おりはお前たち二人の娘を持てて、最高に幸せだった。愛しているぞセラビシア」

「ええ、私もですお母様」

 霊体同士ならば触れ合える

 おりは最後に最愛の娘を抱きしめて、セラビシアを見送った

「・・・。さて、もう一人のおてんば娘に言われたことをやっておかないとねぃ。またどやされる」

 おりはヴィジョンを見ながら攫われ囚われているであろうエルフたちを探した

「やはりな。そこにいると思ったよ」

 ヴィジョンが映し出しているのは人間族の国と獣人族の国の国境沿い

 どうやら魔族の仕業に仕立てるための工作をここでしているらしい

「ふむぅ、他のエルフは別の国境沿いか。てんでバラバラに掴まっているのか」

 厄介だがメナリアならば問題ないねぃ

「おいガキ! おいこらこっちに来い!」

「なんだ母様、じゃないセンツ!」

「母様と呼んでもいいんだぞ? 昔みたいにねぃ」

「ぐ…。そ、そんなことはどうでもいいのだ! それでエルフたちは?」

「ほれこれを見ろ。国境沿いにこことここ、それからここと、あとはこっちの関所だな」

「おお、さすが母様! じゃないセンツ!」

「フフフ、母様でいいってのに」

「もう我は子供じゃない! セ・ン・ツ!」

「つれないねぃ。昔はあんなに母様母様言って甘えて来てたのにねぃ」

「あわわわわわわわ、部下が聞いてたらどうするのだぁ!」

「全く揶揄いがいがある可愛い娘だねぃ」

「っ・・・」

「セラビシアが無事逝ったよ」

「姉上はどんな様子だったのだ?」

「安らいでたさ。お前をよろしくだと…。お前にも見せてやりたかったがこればかりは」

「分かってる。母様が操れるレイスは恨みのある者のみ。姉上は、やはり誰も恨んではいなかったのだな」

「ああ・・・。おいでメナリア」

 おりはメナリアを抱きしめる

 レイスからクイーンレイスになって一番よかったことは生者と触れ合えるようになったことだ

 そのおかげでおりは大好きな娘を抱きしめられるのだからねぃ

 メナリアはおとなしくオリの胸の中に入り込み、涙を流しながらおりを抱きしめ返した

 温かい涙だねぃ

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