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未来3

 私はお嬢様を抱え、皆さんの後について歩きます

 それにしてもこの白い者たちは一体何者なのでしょう?

 なにか、私の記憶に靄がかかって

 彼女たちは三つ子なのか顔が全く一緒なのですが、この顔を以前も、封印される前に見た覚えがあるのです

 それが思い出せないむず痒さが私の脳を駆け巡るのです

「それで、あなたの名前は?」

「えっと、私はハクです。こちらの可愛いお嬢様は私の大切なメナリア様です」

「メナリア…。やっぱり私にそっくり」

 私達を家に置いてくれるというおじ様の娘様、この方はお嬢様に非常によく似ておられます

 そのため私はこの方に親近感が持てました

 それに、彼女にはお嬢様と同じ何かを感じます

「もうすぐ車のある入り口につくよ。全員乗れるかな?」

 今いるのは私とお嬢様、白い三つ子におじ様とエミリア様、それから学生の男女二人の計九人です

 対して乗るという得体のしれない馬車は見たところ九人も乗れるように見えません

 何より御者も馬もいないのに動くわけないのです

 でもそこからが驚きでした

 私達は詰めて乗り込んだのですが、椅子はフカフカで、しかもブロロロと変な音がするのです

「こ、これは生きているのですか!?」

「いえ、自動車と言って、機械の一種で、うーむ、私には説明が」

「パパは遺跡しか興味ないから。そうね、機械っていう道具で動く馬の要らない馬車みたいなものかな」

「なるほどです。でも魔法で動かないとはなんとも珍妙です」

 それから車というものに揺られて街に戻りました

 その街に戻る道中もすごかったのです

 道は綺麗にならされ、車が走りやすくなっており、さらにはその道にずっと電灯という夜になると光るものが添え付けてあるのです

 私は早くこの光景をお嬢様に見せてあげたいと思いました

 魔物に襲われることもなく、平和で、犯罪も少ないこの世界を

 私のように奴隷として売られる子もいない未来の世界を

 お嬢様、早くお目覚め下さい


 おじ様のお家につきました

 おじ様は学生たちを送ってくるとすぐに出て行ってしまいました

 小さな家ですが温かみのある木造の家で、屋根に瓦というものが乗せられています

 すごいです、この家は電気なる力が通っていて、電灯らしき光が部屋の中に満ちていました

 さらには箱の中で人々が動くテレビなるもの、ボタンを押すだけで涼しくも温かくもなる機械の一種、床自体も温かくなる仕様のようで、私は始終目を輝かせていたと思います

 お嬢様をベッドに寝かせた後は、エミリア様にこれまでのお話をすべて話させていただきました

 思い出せないところもあるのでところどころ切れ切れでしたが、大まかなところは話せたと思います

「そっか、大変だったんだね。それにこの子、魔王って、今でも信じられないよ。だってなんだか双子の姉妹みたいなんだもん。まぁ私に角はついてないけどね。確か魔族って言う種族もいたらしいけど、魔力って言うのかな? そういうのが無くなって滅んだって聞いたよ。まぁ神話とかおとぎ話の類だけどね。魔族は大抵悪の権化みたいな扱いだたけど、本当は優しい種族だったのね」

「はい、特にお嬢様は全ての種族が手を取り合って暮らせる世界を目指していました。そのためお嬢様のお城には多種多様な種族が住んでいました」

「そっか、今この世界は平和でね、それこそ他種族同士が手を取り合ってるよ。それに、他種族同士での恋愛もあるもの。見てほら、私の耳、少し長いでしょう? パパは人間族だけどママはエルフなの」

「エルフ族と!? 寿命が違いすぎるのでは?」

「え? そんなことないよ。人間族もエルフ族も長くて百年くらいかな?」

 そんな私達の会話に三つ子の一人であるゼアが割って入りました

「なるほど、魔力が枯渇したためエルフなどの長命種は魔力循環による寿命の延長ができなくなったようですね。そのため人間族と同じくらいの寿命になったと。興味深いですね。ディスの記録にはなかったことばかりで驚かされます」

「そのディスさんってどんな人だったの?」

「そうですね、ディスは無口で、命令に忠実な子でした。私達の中でも一番性能が優れていて、いつも姉妹のまとめ役を…。あれ、これは」

 ゼアの目から一筋の涙がこぼれ、あとからあとからぽろぽろと流れ出てきます

「なぜ、私は、これは一体何なのでしょう?」

「きっとそれは悲しいって思ったからじゃないかな?」

「悲しい? 私達の感情は一定値に達すると抑制されるようにプログラムされているはずです。なのに」

「あなたもやっぱり人なのよ。多分あなた達を作った人は、そういう感情を持たせて作ったはずよ」

「これが、悲しいという、感情。理解しました。私は、悲しいのですね。ディスという姉を失ったことが、悲しい」

 確かめるように涙を指でぬぐい、その指についた水滴を眺めるゼア

 私にも気持ちが分かります

 大切な人がいなくなるのは、悲しい、です

「お待たせ、大学にレポートを届けて来たよ。もちろん君たちのことは秘密だ。特に変化なしってことにしておいたよ」

 その時大学というところに行っていたおじ様が戻ってきました

 彼はにこやかに笑うと手に持っていた荷物を降ろします

「さてエミリア、今日は母さんは大学に泊まりこむらしいから手伝っておくれ」

「うん、あ、ママにこの事は?」

「もちろん話したさ。興味津々だったよ。早く会いたいってさ」

「ハハ、ママらしいわね」

 エミリアのお母様ですか、この方たちの家族ですもの、きっと素敵な方なのでしょう

 私もお会いするのが楽しみです

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