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未来1

「システム再起動、Zシリーズ333、個体名ゼア、これより332号からの引継ぎを実行します・・・完了、アップデートファイルを解凍、実行・・・完了、システムをもう一度再起動します。個体名ゼアの起動を完了。動作確認・・・動作異常を確認、経年劣化による左腕部への損傷を確認、修復は不可能、現状のまま動作・・・続いて封印機能確認のため、姉妹機334号、335号を起動・・・正常に完了。個体名イット、エニー、おはようございます」

「やあおはようゼア」

「ゼア~、おはようございます~」

「すぐに封印解除の手続きに取り掛かります。イットは扉の解除を、エニーは私について来てください」

「あれ~? ディスは~?」

「彼女は機能を停止、もう二度と起動することはないでしょう」

「そうか、ディスが…。使命を全うしたんだな」

「ええ、ですがまだ終わりではありません、これより始まるのです…。早く封印を解かなくては」

 三人の少女、彼女たちは大きな扉の前に立っている

 その扉は固く閉ざされた

 イットと呼ばれた少女が扉に触れようとするとどこからともなく警報が鳴り響いた

「侵入者です! ここ数億年一人の侵入者もいなかったこの地になぜ?」

「見て来る~」

「気を付けてくださいエニー。相手はここまで侵入してきた実力者です」

「分かってるよ~。大丈夫、エニーの戦闘システムもちゃんと復旧してるよ~」

 エニーは周囲を警戒しつつ侵入者の撃退に向かった

「早く解除しましょう。イット、お願いします」

「任せて」

 イットは扉に手を触れて自分の中に組み込まれている解除プログラムを扉にアップロードし始めた

「開錠プログラムアップロード開始・・・40%・・・70%・・・99%・・・完了、封印の扉解放、封印の間へのアクセス権を332号から334号へ移行します」

「イット、どう?」

「成功だよ。エニーが来たら行こう」

 しばらくするとエニーが戻ってくる

 それも誰かを連れて

「エニー! 何故侵入者を連れてきているんですか!」

「えとね~、この人達迷い込んだって~」

「いや嘘ですよそれ! その人達どう見ても探検の装備じゃないですか! 人間族のようですがこのようなところまで侵入してくるとは厄介な! まさかこの数億年で人間族は極大魔法を使えるほどに進化したというのですか!?」

 エニーが連れて来た人間はどこからどう見ても遺跡などを調査する考古学者のようないで立ち

 彼らの顔は恐怖に引きつっているようだ

「待ってゼア、彼らから力が全く感じれない。ただの人間族にしか見えない」

「ですがイット、ここまで来る道中は数多の罠や魔物が張り巡らされていたはずです」

「それがね~、全部機能してないみたいよ~。罠は全部壊れてて~、魔物はもう、この世界にはいないんだって~」

「そんな、どういうことですか!? あなた方は何者なんです?」

「ぼ、僕らは詠草大学の研究チームで、この遺跡、そしてこの扉を調べている者、です。その、あなた方こそ何者、なのですか?」

 リーダーと思われる男がそう答えた

 見た目は40代の顎髭を蓄えたダンディな男だが、その体は震えていた

 今まで彼らがここに入ったときに彼女らはまだ再起動しておらず、誰もいないと思っていたからだ

「詠草大学? 言っている意味は分かりませんが、はあ、どうやら敵意はないようですね。仕方ないです、今から戻るのも危険でしょう。なにせ扉は既に開かれました。私達と共にいなければ再起動した罠で死にますからね」

「死…? しまった! エミリアがまだ!」

「まだ他に人がいるのですか? はあ、エニー、その方を保護してください」

「はい~」

「申し訳ない」

「いいです。エニーに任せておけば大丈夫でしょう。それよりもついて来なさい。私達と一緒にいなければ危険ですから」

「は、はい」

 調査隊の男数名を連れて扉の奥へと入っていくゼアたち

 彼らの言うエミリアはリーダーの男の助手兼娘なのだそうだ

 

 内部はどこか未来的で、電気もないのに周囲の照明が光っていた

「これは一体、どんな技術が使われているのでしょう?」

「魔力供給システムによって星内部の魔力を借りて照明器具を点灯させています。吸い上げるだけではなく、ちゃんと循環させていますのでご安心を。でなければ数億年も機能は維持できませんから」

「ここは一体どういう施設なのですか? 我々が調べてもこの手記以外は見つからなかったのです」

「手記?」

 男が懐から出した手記をゼアは受け取る

「これは、あの神竜の…。ディスの記憶にある者の手記ですね。これをどこで?」

「扉のある部屋の前、そのわきにある小部屋です」

「なるほど、あの神竜はここを嗅ぎつけていたというわけですか。しかしあの程度の竜ではここは開けれませんからね」

「竜、やはり竜はかつて存在していたということですか!?」

「それだけではありません。魔物も、神獣も、驚くほど多くいました。ところで人間族、他種族は今どれほどの数がいるのですか?」

「他種族? ああ、耳長族や小人族、穴掘り族などがいます」

「…、エルフ、ホビット、ドワーフのことでしょうか? 世界情勢はどうです? 国同士のいさかいなど」

「国は、一つしかありません。数千年前、全ての種族が一人のカリスマ性ある王の元統合されたのです。それが統一国家メギリアライトです」

「なんと、あれほど争っていた種族が手を…。これではディスの記憶があてになりませんね。もっといろいろ教えていただけますか?」

「ええ」

 しばらくそんな会話を続け、目的地へと到着した

 その場所には巨大なアクリルのような柱があり、その中心には

 二人の、眠っているかのような少女の姿があった

 考古学者の男は目を見開き驚き、一言言葉を発した

「エミリ、ア?」

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