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お嬢様は譁�ュ怜喧縺�

 どうしたというんだろう

 先に入っていったハクからの連絡が一向にない

 魔王ちゃんも心配してこっちに連絡してくるし

 それにガストーも全然出てくる気配がない

 もしかして…

「魔王ちゃん! あちき合図を待たずに入るよ!」

「うむ、我も次いで入ろう!」

 あの真面目なハクが連絡をよこさないはずがない

 恐らく中で何かあったんだ

 あちきはハクが溶かして入りやすくなった壁を壊すと内部に侵入、そのとたんドラゴニュートの兵に一斉に取り囲まれた

「まさか、情報が漏れていた?」

「そのまさかですねぇ。いやはや大臣はいいように動いてくれましたよ。あなた達の情報をすべてこちらに流してくれたのですから」

「まさか、ウェルスがあちきを裏切るはずが!」

「娘を人質に取ったら簡単にぺらぺらと情報を吐いてくれましたよ。まぁもっとも、その娘もろとも大臣は処刑しましたけどね。兵に凌辱されている間ずっとお父様お父様と、ぷふっ、泣き叫んで、滑稽でした」

 あちきの前に出てきたのは宰相だった男ガストー

 この男だけは、許せない

 ウェルス大臣は小さなころからあちきを可愛がってくれたおじい様のような存在だった

 それに娘のサミュラは、姉たちの親友であちきを本当の妹のよう思ってくれていた

 許せない! 絶対に!

「お前だけはあちき自らの手で切り裂いてくれる!」

「ホホホ、どの口が言っているの? 逃げたくせに」

「あちきはもう、逃げない!」

 あちきは神竜様に教わった竜化を遂げる

「な!? 竜化ですって!? あんたみたいな500年も生きてないガキがなぜそれを!」

「この国を取り戻すためあちきは血のにじむような努力をしてきたんだ!」

 この国で竜化できる者は限られる

 お父様とお兄様、それと一番上のお姉さまと、あちきを産んで亡くなったお母様、それから大臣のウェルス

 お父様もお兄様も二番目のお姉さまが人質に取られていなければ宰相程度に負けるはずがなかった

 こいつは、またもこのような手であちきの大切な人を殺めた!

 魔王ちゃんには殺さないよう言われていたけど、もはや許すことなんてできない

「覚悟しろガストー!」

「く、逃げるわ! 馬を早く回しなさい!」

 そんなガストーの声も届かないほど兵はおびえていた

 こいつらも殺さなくては

 笑いながらお姉さまたちを凌辱したこいつらも同罪だ

 あちきは口を開くと最大限のブレスを吐いてガストー以外、そこにいた兵をどろどろに溶かしてやった

 生き残りおびえるガストーを捕まえると問いただした

「ハクはどこにいる! あちきの友達をどこへやった!」

「く、あ、あの妖怪族の娘なら、魔王の人質にするために、人間族が連れて東門へ向かったわ。妖力を封じて、指一本動かせない状態、よ。ほら、話したんだから、殺さないでちょうだい、お願いよ!」

「お前はそれを本気で言っているのか? 助かると? おめでたい頭だよ」

 あちきはそのままゆっくりとガストーを握りつぶし、苦しめて殺した

 魔王ちゃんとの約束は果たせなかった

 気持ちも全く晴れない

 魔王ちゃんごめんね、友達にはなれないかも


 ガストーの死体を地面にたたきつけると東門へ飛んで魔王ちゃんを探した

「見つけた!」

 魔王ちゃんは人間族の兵およそ一万に囲まれ、剣で斬りつけられ続けていた

 その奥に首元に剣を突き付けられて泣き叫んでいるハクが見える

 魔王ちゃんはどうやら魔族に絶対的に効果のある剣で斬られているらしく、あの不死身ともいえるような再生力が衰えていた

「すぐ助けるからね!」

 あちきがブレスを吐こうとすると人間族の魔法使いがそれに気づいて結界を張った

「な! 竜化したあちきのブレスが防がれるなんて!」

「無駄だトカゲ! この結界はあの神竜のブレスですら防ぐ代物! たかだかドラゴニュートのブレスでは壊せん! この魔王に与する邪竜が!」

 魔法使いたちが一斉にあちきに極大魔法を撃ってきた

 これは、ダメだ

 いくら竜化しているとはいえあの数の極大魔法

 なんで? 人間族にここまでの魔法は使えないはず

 極大魔法があちきに当たる瞬間、あちきは見た

 魔法使いの横にいる全身が真っ白な不思議な人間を

 あちきは目を閉じて死を待った


 目を開ける

 そこには完全竜化した神竜様の姿があった

「ふぅ、いたたたた、大丈夫かの弟子」

「神竜、様?」

「間に合ってよかったわい。して師匠は…。何と卑劣なり人間族!」

 神竜様は大きく息を吸い込むと辺り一帯を焼き尽くす真っ白な炎のブレスを吐き出した

 結界はいともたやすく割れる

「馬鹿な! この結界を破るだと! に、逃げグァアアアアアア!!」

 神竜様のブレスでほとんどの人間族が焼き殺された

「師匠無事か!?」

「む、エスカ、か。少々傷を受けすぎ、た」

「しかしやはり人間族は計を図っておったか。念のため待機しておいてよかっ」

 神竜様の言葉を遮って人間族の生き残りの中から何かが放たれ、師匠の胸に大きな穴を開けた

「神竜様!」

「ぐ、おお、なんだこれは、吾輩の、心臓を、消し、さって」

 神竜様が墜落する

 あちきはすぐに人型になった神竜様を抱え上げた

「神竜様! 神竜様!」

「ぐ、すまぬ、しばし動けそうもない。吾輩の代わりに、師匠を」

「はい!」

 神竜様を寝かせてあちきは魔王ちゃんを助けるため舞い戻った

 魔王ちゃんは少しずつだけど体が再生し始めてる

「魔王ちゃ」

 魔王ちゃんの前に、さっきの真っ白い人族が見えた

「あなたが、魔王? 思ったよりも小さい」

「何者だ、お主」

「あたしは白き者。個体番号Zシリーズ332号、個体名ディス」

「そうかディスとやら、お主はなぜ、人間族に手を貸しておるのだ」

「それが命令だから。あたしの役目だから」

 ディスという白い何かは魔王ちゃんに手を翳す

「それじゃぁ、また、会う日まで」

「魔王ちゃん!」

「お嬢様!!」

 魔王ちゃんに真っ白な光が浴びせられた時、拘束の解かれたハクが飛び込み、二人とも消えた

「そんな、魔王ちゃん、ハク…。一体どこへ」

「封印した。これでもう出てこれない」

「魔王ちゃん、が、封印され、た? よくも、許さない! 今すぐ封印を解けぇええええ!!」

 あちきは怒りに任せて白いモノに向かっていった

「あなたのことは何も言われていない。さようなら」

 あちきの爪が当たる瞬間、白いモノの体は掻き消えた

 

 その日、世界から魔王は消え、平和が訪れた

 数年後、様々な計略を図っていた人間族は、エルフを筆頭とした他種族によって蹂躙され、一気に勢力を失っておとなしくなった

 吾輩の心臓は何とか再生したがその力の大半を失ってしまった。しかしながら幸いにも吾輩の子供がその力を受け継いでくれた

 吾輩も潮時だろう

 子供に残りの全てを譲り、死のう

 師匠の消えた今吾輩の生きる意味などもうないからな


 拾った手記にはそう書かれていた

 数万年前の地層から見つかったこの手記はかつていたであろう竜の手記として私が大切に保管することとする

 エミリア、君はこれをどう思う?

 魔法があり、竜や魔物が当たり前のようにいたと書いているこの手記を

 しかも竜がこれを書いているのだという

 信憑性はないだろう

 何せその竜の化石とやらはどこからも出土していない

 大方手記風に誰かが書いた娯楽本なのだろう

 しかし私の興味は、そして考えは移らない

 何せこれが見つかった場所は…

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