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再会、そして、反逆

――僕、強くなったよ。

 あの僕が恋したレヴィは、あの日、家族を失ったあの日、消えてしまった。僕はレヴィに魅せられて他の人を好きになることは無理だし、今も逢えたらなと思う。

 そんなこんなで、今僕は、竜に対抗するためにできた、国家騎士をしている。あの日から、直ぐに、人間は力を伸ばし、竜に対抗できるほどの力を手に入れた。圧倒的竜の力が勝っていたが、今では、同格というくらいまで来た。

 そして、今日は竜の住む大陸、人間の住む大陸からも離れた、懲罰房のある大陸に向かう。そこの竜たちを倒すという任務が今日の仕事だ。

 大して大きくも小さくもない剣を腰に携え、僕と仲間は船に乗り、目的地である島に向かい、現在、島に降り立った。

 僕たちは、慎重に木々の間をすり抜けていく。そして、案外、早く懲罰房に辿り着くことができた。

 目の前にある大きな扉を怪力を持つ仲間が開ける。当然、見張りがいるわけで、あちらから攻撃をしてきた。しかし、僕たちは国家騎士。勿論、この程度の竜はあまり手こずらづに倒すことができる。この懲罰房は二階があるわけでなく、一階で、二段構造らしい。二段構造だからと言っても、竜が一匹はいる程度なので、当たり前だけれど、檻の大きさは、人間からしたら、かなり大きい。

 「あ、竜がいるね」

 と、僕が言う。

 「だろうな」

 と、怪力の仲間が言う。

 「それで、どれから行くの?」

 と、華奢な女性の仲間が言う。

 「じゃあ、僕たちは右回りで行こっ。あ、あとかなり強いだろうから、気を付けて」

 「うん、じゃあ、私達は、左から行くね」

 「分かった、俺らは、奥から行くわ」

 そして、僕たち三人の国家騎士と数十人の兵士が動き出す。恐らくまだ見張りはいるだろうから、三つの部隊に分けて、闘うことにした。

 そして、闘いが始まった。


――うるさい。

 恐らく人間がこの懲罰房の弱った竜を倒しに来たのだろう。

 僕の身体はボロボロだった竜の姿で犯されては、人間姿でも犯される。僕にはただそれだけだった。けれど、それが辛かったし、苦しかった。

 それも、今日で解放されるのかもしれない。

 ああ、相手が人間だということで、アベルがいるのではないかと期待してしまう。も、もしいるのであれば、殺されてしまうかもしれない。ここには、強者もいる。

 しかし――いないのだろうと確信してしまう。

 目の前には、華奢な女騎士と兵士が立っていた。

 僕は、殺される。身動きも取れずに。僕は抵抗をしようと、竜力を収縮させ、放つ。檻と兵士は弾け飛ぶ。が、その女は無傷だった。

 すると、その女の後ろから、小さな男と大きな男、数十人の兵士が現れた。

 僕は最後の抵抗だと思い、人間の姿になる。いや、僕に勝てる人間なんていない。ここで死ぬわけにはいかない。彼と――アベルと逢うために。

 僕は一瞬にして拘束を解き、彼女らの前に降り立つ。

 「いやはや、ここまで強い、人間がいるとは。あ、あと、もうそろそろ竜たちが来ちゃうよ」

 「はっ、それまでに貴方を殺せばいいのよ」

 「………」


 僕は敵の胸元に赤い宝石を見た。


 僕はアベルに似た男の子を見た。


 「「僕は」」


 華奢な女騎士が、ガタイのいい男が、最大火力で僕を殺そうとした刹那、その後ろにいた小さな男が、彼らの前に立ち塞がった。


 「何のつもりだッ!!」

 野太い声が聞こえた。

 「裏切るのなら、貴方も――アベルも殺す」

 女性の荒げる声が聞こえた。

 

――自分や大切な人を守れるくらい、強くなれよ。

 僕は強くなったんだ。レヴィを、大切な人を守るんだ。

 

 彼らの放った魔力をアベルは切り裂いて、一陣の風を起こし、彼らを吹き飛ばして、大打撃を与え、彼らは動かなくなった。

 「アベル……なんだ、ね」

 僕はアベルにあの時のように少し照れたように笑みを浮かべた。

 「レヴィ、こんなところにいたんだ」

 アベルは僕に近づき、何年かぶりの、熱いキスを交わした。

 「レヴィも、僕を守って、反逆者になっちゃったんだよね。僕も、レヴィを守って、反逆者になっちゃったよ……」

 「うん、これからはさ、二人で生きよう……アベル」

 「そうだね、僕はレヴィじゃないとダメ見たい。じゃあ、逃げよ」

 僕とアベルは直ぐに懲罰房を抜け出し、レヴィに乗り、国家騎竜の追手から大海原を逃げていった。


 これからどうすればいいのか、分からない。

 でも、僕はアベルが居ればいい。

 こうして僕たちの逃走劇が始まる。

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