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護られ勇者の異世界紀行〜聖弓の少女と代打、俺〜  作者: 高荻 泰晴
第2章 公国の都レイスウェイク
20/26

第20話 now roading


 誠二たちを乗せた馬車二台は、街道をひた走っている。

 森を抜けるまでの道は悪路だった。


「気持ち悪い」

「大丈夫ですか?」


 近くを森の木々に囲まれている中では、遠くも見ようがない。


 森を抜けて以降は、道がなだらかになった。

交通量の多さも影響していて、あるいは単に、農村にまでは舗装の手が回らないのかもしれない。


「セイジさん、大丈夫ですか?」

「なんとか」


 そういう誠二は言葉少なで、ソフィアへの態度も素っ気ない。


「もし良かったら……」

「ん?」

「膝の上で……休みますか?」

「‼︎」


 ソフィアは、全体的に軽装だ。髪は肩にかからない位に短く、飾った彫金の胸当てが右胸に輝いている。あとは肩当てくらいなもので、兜は外している。

 そして、履いているスパッツのようなもので、脚は太ももの上半分が覆われている。

 そして、それだけである。


 太陽に照らされて光ればいっそう、ソフィアの素肌は眩しかった。

 そこに寝る。つまりは。


「それは、膝枕、か?」

「はい」

「いいのか? いや俺はいいけど、ソフィアは」

「……はいっ」


 ソフィアはそう答える。顔を赤らめて、脚をすり合わせて。


「失礼します!」

「はっ、はい……」


 柔らかい。頭を載せた時に一瞬、強張ったのが分かる。張りのある素肌が目に入って、誠二の顔はますます熱くなるばかりだった。


「んっ……」


 ソフィアの微かな声が聞こえた。

 誠二が少し顔を上げると、ソフィアは恥じらいを含んだ笑顔を浮かべて、誠二の顔を見ている。


「あの、すみません。もし何かあったら、また声をかけます」

「あ、ああ。分かった」


 ソフィアの行動が功を奏して、誠二の酔いは吹っ飛んでいた。

 ただ、その後二人が共通する熱っぽさを感じたのはむべなるかな、である。


「……揺れるな」

「揺れますね……」


 ソフィアは揺れの緩衝として頑張っていた。臨戦体勢を整えたまま、平然と揺られているのだから、誠二はまたも頭が下がる思いがした。


 風景にはだだっ広い草地が広がり、たまに家屋の並びが見える。壁に囲まれた都市も、何度か見た、

 畑、畑の農村か、壁に囲まれた都市かという風景で、区切りがはっきりしている。そんな景色を誠二たちは眺め続けた。


 レイスウェイクまで、馬車で二日。まだまだ道は長かった。



★─★─☆─☆



 私の脚に頭を載せたセイジさんは、いつのまにか眠りに入っていました。

 さっきは身体が熱くなりかけましたが……どうにか治ったようです。


 私も、悪路をはじめて旅した時は、何度も止めて頂きましたっけ。外の空気を吸う時には、同行の方々が刀や剣を持ち出して守って下さいました。あの方々の行いは、今でも忘れていません。

 今度は、私の番。セイジさんを守るためにも、弓は手放せませんね。


 この時に備えて、私はきちっとした休息を取ってきました。都でセイジさんは色々なことに出会うでしょうから、今は英気を養っていただかないといけません。

 何もないのが一番ですが、いつでも応戦できるように。さあ、気を引き締めていきましょう。


 あと、膝枕には満足して頂けて何よりです。……何よりですが、やっぱり恥ずかしいですね、これっ。

 風を感じられますし、気兼ねなく走れるのはいいんですが。セイジさんに見られるのが嫌ってことじゃないんですが、身体が熱くなってくのを止められなくて。あの、ですね、その……


 結局、私はドキドキしっぱなしでした。少しばかり破廉恥な妄想に浸ったのは、セイジさんには内緒です。

 彼とはやや向きの違う酔いに蓋をしながら、旅は進んでいったのでした。

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