第六話
右方向に跳躍する。
いくら不死身であっても、意識が途切れ途切れではまともに渡り合えないし、自分がもたもたしている間に、彼女が死ぬようなことがあってはいけない。
「くそっ!」
左手で牽制しながらも、何とかカウンターに近づこうとする。
ジグザグに。
弾幕から逃げながらも近づくのは、とても難しい。
戦闘に対して素人の自分は、戦い方がよくわからない。
だから自分が正しいと思うような戦い方をしているのだし、プロである彼女からしてみれば、笑われるような戦い方をしているらしい。
でも実際に今までこれで戦績上げてきたのだから、間違いではあっても大間違いではないのだろう。
右方向へのダッシュから左方向へのダッシュに切り替え、ジグザグ。
すると、今度は後方からの銃撃。
しかも自分にではなく、敵に向かって。
援護射撃。
「すまない!」
後ろに向かって叫び、援護射撃で敵が怯んでいる隙に、ジグザグを止めて強行突破する。
ここで進まなければ、勝てない。
意識を前方だけに集中し、両脚のサイクルを出来るだけ速くするように、全身全霊で走り出す。
少なからずも銃弾が自分へと向かい、今度は右腕に二発命中する。
少しだけ血液が流れ、すぐに治癒。
そんなことは気にせず、思い切り走り、カウンターのデスクを思い切り飛び越える。
すると、驚いた顔でこちらに銃を向けようとしている三人のうちの一人に向けて、左手の銃を撃つ。
すると、その男はノックダウン(銃弾は右ほほに直撃)し、残りの二人は自分に銃口を向けて銃撃。
勿論、こんな近距離で銃撃されれば、直撃する。
全弾。
「うわああああああああ!」
何十もの痛みが襲ってくる。
コンマ秒という間に何十回もの死を繰り返し、その回数だけ生き返る。
不気味な不死身だ。
自分で思う。
銃撃が止まないなか、二人にうちの片割れが弾切れる。弾を補充しようとあわててこちらから視線を外したその一瞬。
右手に握られていた警防を思い切り振るいながら辺りの者を壊し、その男へと突っ込み、男が構えていたアサルトライフルに向けて右腕を伸ばし、警防での攻撃を試みる。
右方向へ水平に振るった警防はアサルトライフルを吹き飛ばし、右腕を右方向へ振るい切ってしまって後方へ伸びた右腕を今度は左方向へ切り返し、男の左肩に警防をぶつける。
恐らく左肩の骨は折れた。
その男に向かって左の手で銃撃し、三人のうちの二人はノックダウン。
さぁ、あと一人。