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09 Footsteps-Of-Conspiracy[陰謀の足音]

 首都直接攻撃から二日後、突然の攻撃に混乱していた首都も、徐々に落ち着きを取り戻していた 目撃者の話では、空が明るくなり光が降ってきたと言う

           

「第三者からの攻撃か?」

「あれほどのレーザー兵器を開発したとは聞いてないぞ」

「これは明らかに敵対行為だ!二国を亡きものにしようとしている者がいる!」

            国の議会は、攻撃が誰からなのか特定しようとやっきになっている

            そんな中最前線の彼らは――

           

「ふー」

「ちょっとケリィ、煙草くさい」

「なんだカレン、お前吸わないのか?」

「私はまだ未成年なんだから」

            そう言うカレンにケリィは

「すまん、すまん」

と言いながら、フーと煙を吹く

 カレンは煙そうに咳き込んでいる

           

「あの二人って、いつの間にあんな仲良くなったんだ?」

「この前帰って来てからですね。何かあったんでしょうか?」

            グリムとミズキは二人のやりとりを少し離れた所から見ていた

           

「おいグリム、隊長はどこ行ったんだ?」

            ふとケリィが振り向いた

           

「隊長?そういえばどこだろ、戦術室かな?」

            グリムの予想通り、リーベンハルトは戦術室に来ていた

 グリム達とは正反対にモニターを前に深刻な顔だった

           

「首都の被害はどうなんだ?」

「見てみろ」

            クラックスはモニターを操作して、首都攻撃から数時間後の首都の映像を出した

           

「結構やられてるな」

「第一射は海に外れ、第二射は修正して山岳部に、そして第三射で市街地に命中」

            命中した市街地には直径五十メートル程のクレーターのようになっていた

           

「やっぱミサイルじゃねぇな」

「となるとやはり……」「あぁ……」

                       次の日、連合軍上層部はかねてより計画していた、爆撃部隊『フクロウ』による、夜間爆撃作戦『Night-Owls(夜のフクロウ)』作戦の発動を決定した

 この作戦は極秘扱いとなり、参加部隊以外には一切知らせないという徹底ぶりだった

 作戦実行は四日後となっていた

                       帝国首都大総統府――「大総統、お呼びでしょうか」

            部屋に入ったシャロンは軽く頭を下げた

 シュナイダーはイスに座り背を向けている

           

「シャロン、女神を一人欠いたそうだな」

「申し訳ありません」

「いや、これは戦争だ。人間とは極限の状態に置かれると、突如力が出るものだ」

「……はっ」

            ここでシュナイダーはイスを回転させて、シャロンの方を向いた

           

「ところで、あの男からの連絡はあったか?」

「いえ、今の所は特に」

「そうか。では、引き続き頼むぞ」

「はっ」

            シャロンは一礼し部屋を後にした

 シャロンが部屋を出ると、シュナイダーは立ち上がり窓際に立ち、眼下に広がる町並みを見つめている

           

「ふふふ、順調だな」

                       じはらく任務のないグリム達は、その間もフライトシミュレーターで模擬戦闘を繰り返していた           

「だぁーー!また負けたぁ!」

            四つ並んだ端のシミュレーターに座っていたケリィが、スコープを外しながら悔しそうに叫ぶ

           

「グリムお前、隠れてやってたんだろ!?」

「本当すごいよ、全然当たんないもん」

            続いてカレンが驚きながらスコープを置いた

 これでグリム・ミズキ組の五連勝だ

           

「いやいやいや」

           シミュレーターを終えたグリムは謙遜しながらも口元は笑っている

           

「ちくしょう!笑ってやがる!」

           

「私なんかほとんど何もしませんでしたよ」

「そんなことないよ、何度も助けられた」

「グリム!今度はサシで勝負だ!」

「はいはい」

            ケリィはよほど悔しかったらしく、一対一での勝負を申し出た

 グリムは予想していたかのように返事をし、二人は席についた

           

「何か飲み物持ってくるね」

「あ、はい」

            カレンはそう言って部屋を出て、ロビーへ向かった

 ミズキはその場に残り二人の戦いを見ている

                      ガラン――

「よいしょ」

            カレンは両手一杯に飲み物を持ち、来た道を戻ろうとした

           

「ん?あれは……」

            ふとロビーにあるソファーを見ると、リーベンハルトが誰かと電話をしているようだった

           

「……わかった、おれから伝えておく。あぁそれじゃな」

            電話を切ったリーベンハルトは、視線に気付き振り向いた

           

「なんだ、嬢ちゃんか」

「隊長、誰かに電話ですか?っていうか『嬢ちゃん』はやめてください」

「はは、悪いな」

            リーベンハルトはポケットから煙草を取り出して火をつけた

           

「グリム達はどうしたんだ?」

「シミュレーターで勝負してますよ。隊長もどうですか?グリムがすごいんですよ」

            両膝に手を当てながら立ち上がり……

           

「悪いな、おれはもう寝るよ。お前等も早く寝ろよ」

            そう言いながら自分の部屋へ向かった


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