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06 Escape-From-Father[父からの逃亡]

《黒の女神》との遭遇から二日後――

リーベンハルト隊は帝国との軍事境界線付近まで哨戒任務に出ていた。

「哨戒任務なんてつまんねぇなぁ」

彼は気だるそうにそう言った。

「ケリィ、そんなこと言わないでください」

「へいへい」

セントマリーでの戦闘のあとブルーオーシャン基地では部隊の再編成が行なわれ、再び四機編成になった。

ケリィは再編成によって新たにリーベンハルト隊に編入された。

グリム達とは同期である

「隊長とグリムは大丈夫なのか?」

「あの二人は大丈夫ですよ」

グリム達は二人から三百キロ離れた空を飛んでいた。

『心配してる暇があったらしっかり見てろ』

リーベンハルトから通信だった。

『そっち何かあった?』

「何もなくてあくびが出そうだぞ」

「あ、ちょっと待ってください」

ミズキが何かに気付いてレーダーを見ると、一つの機影の後方からさらに二つ、後を追うようについてきている。

「敵か!?」

ケリィが飛び付いた。

「識別はヴァルキリーが一つ、残りはミネルバです。しかしヴァルキリーから救難信号が出ています」

「どうゆうことだ?」

ケリィが首をかしげる。『しばらく様子を見たほうがよくないか?』

『グリムの言う通りだ。二人はレーダーから目を離すな、おれ達もすぐにそっちに向かう』

通信を切るとグリム達はすぐにミズキたちの所に向かった。

           ミズキとケリィはゆっくり敵機に近づいていく。

「見えた」

肉眼で見える距離まで近づいた。

「あれは……」

よく見てみると先行するヴァルキリーは後方のミネルバから攻撃を受けている。

「どうする?」

「救難信号は本当みたいですね。とにかくミネルバは撃退しましょう」

「よっしゃ!」

ケリィは一気に加速し接近。

ヴァルキリーとミネルバの間に割り込むように機銃を撃つ。

そのまま前を横切り、ミネルバの後ろを狙う。

「逃がすか!墜ちろ!」

放たれたミサイルが恐怖とともに飛んでいく。

ミサイルは右翼に命中。バランスを崩し水面に激突、爆発した。

「よしっ!」

一機を撃墜し

「次だ!」

と残りの一機に目をやると、ケリィのすぐ横をミサイルが飛び抜けて行った。

そのミサイルは残りの一機を撃墜した。

「危ねぇな、おい!」

「はは、ごめんなさい」

「笑えねぇ!」

ミサイルはミズキが撃ったものだった。

ちょうどその頃、こちらに向かっていたグリム達が到着した。

「おい、大丈夫か?」

二人は素早く機体を横に付けた

「ヴァルキリーは?」

「上です」

そう言われて見上げると太陽と重なってヴァルキリーが飛んでいた。

「上空の機体、所属と名前を答えろ」

『私はカレン、帝国大総統シュナイダーの娘です』

リーベンハルトの問いにすぐに答えたヴァルキリーのパイロットは大総統の娘と名乗った。

『助けて頂いてありがとうございます』

「大総統の娘……?」

「嘘にしても大胆な奴だな」

「隊長、どうします?」

「……連れて行くぞ、何か情報を持っているかもしれん」

「了解」

ヴァルキリーを囲むように隊列を組み、基地へと戻って行った。

           カレンはクラックスの早速取り調べを受ける。

彼女の乗ってきたヴァルキリーは基地の格納庫に置かれている。

「ようするに父親のやり方に納得できず逃げてきたと」

「はい」

「乗ってきた機体はヴァルキリーだな?」

「はい、あれは私専用ですから起動するには私の声紋が必要です」

敵国の基地で敵兵に囲まれながらも、彼女は恐れる様子もなく、淡々と答えていく。

(確かにおれ達がいくらやっても起動しません)機体を調べようとした整備兵が耳打ちする。

それを聞いてさらに質問する。

「何故そのようなロックをかけている?」

「秘密が、あるんです」

「どんな?」

カレンは少し黙った後、ゆっくり口を開いた。

「帝国は連合が思っている以上に【遺産】について調査は進んでいます」

彼女はさらに話を続けていく

「調査を進めるうちに、戦争の勝敗を決めてしまうようなデータを発見しました」

「データ?」

「ビーム兵器のデータです。私のヴァルキリーにはそのデータを基に試作されたビーム兵器が装備されています」

この話を聞いてクラックス達は驚いた。

連合がビーム兵器の研究を始めたのは最近の話である

「じゃあ最後に」

クラックスはじっとカレンの目を見て言った。

「君がスパイである可能性は?」

カレンはゆっくり目を閉じる

「もっともな話ですね。ですから信じていただく為に私のヴァルキリーのデータを差し上げます」クラックス達は格納庫に移動し、本当に起動するか確かめることにした。

カレンがコクピットに乗り込み、起動させる。

『起動コードヲ入力シテ下サイ』

「システム起動開始」

『……声紋確認、システム起動シマス』

すると今までピクリともしなかった機体が突然動きだした

「う、動いた」

『全システム正常ニ起動シマシタ』

「これでいいですか?」

カレンはニコリと笑って言った

「まぁとりあえずは」

           しかし完全に信用されていないカレンはクラックスの監視下に置かれた。

その翌日、けたたましい警報音が響き渡る。


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