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覚悟とは

霧が重く垂れこめる。水面に映る月の光は、揺れる波紋に飲まれ、わずかな光さえも分散していた。私の緑の髪は湿った霧に濡れ、白い肌は薄紫の光を帯びて浮かび上がる。紫の瞳は、闇の中で鋭く光り、視界を貫く。


「……行く」アレクの声が低く、鋭く響く。手に握った剣には覚悟が刻まれ、刃先には揺るぎない意志が宿る。私は微かに唇を緩め、霧と水の壁を操る。波が渦を巻き、霧が光を屈折させ、影の動きを封じる。しかし、それでも彼は一歩も退かない。


「……理解できなくても、俺は君のそばにいる」その声が、胸を突き刺す。言葉の軽やかさとは裏腹に、全てを覚悟した力強さがある。私の胸に、冷徹さと興味の間で微かな揺れが生まれる。


影が一斉に動き出す。灰色の肌、光のない瞳、ぎこちなく揺れる動き――ただの人間ではない存在。水面を蹴り、霧の中に身を潜め、私たちを囲む。アレクは剣を振り、影を切り裂く。だが、数が多く、全てを防ぐことはできない。


「アミット、離れろ!」声を張る。小さな身体が一瞬後ずさるが、その瞳には恐怖よりも意志が光っている。無邪気な笑顔の裏に、彼女なりの勇気が宿るのを感じる。


「……やはり、人間は一筋縄ではいかない」私は冷たく言うが、心の奥では、彼らの強さに微かに心が揺れる。理解できなくても、目の前の二人の意志が、私を揺さぶる。


影が一斉に攻め寄せる。水と霧が飛び、夜の沼地は一瞬で戦場に変わる。波紋が弾け、霧が舞い上がる。アレクは動揺せず、刃を交えながら影を斬る。その目は揺るがず、ただ私を見つめている。


「……私の魔力も、君の意志には届かないか」思わず呟く。力と覚悟の差を感じ、胸に熱が走る。霧と水の壁の中で、私は剣先と魔力を重ね、攻防のリズムを刻む。


影が後退する。だが完全に消えたわけではない。彼らは、まだ静かに、次の瞬間を待っている。


「……覚悟は、私が持つべきものよ」私は強く言い放つ。アレクは微かに頷き、剣先を固める。互いの意思が交錯し、夜の沼地は、ただ二人の覚悟で満たされる。


霧の奥、アミットの小さな影が揺れる。恐怖と勇気が混ざり合い、彼女の心もまた、この戦いに巻き込まれている。


――戦いの行方はまだ決まらない。だが確かなことは、今ここで交わされた視線と意志が、三者の運命を大きく動かすということだ。

次回もお楽しみに!

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