表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

試合

作者: 真知コマチ


「さあ~まもなくはじまるこのたたかいで、あらたな世界せかいチャンピオンが誕生たんじょうする」


たがいに、通算つうさん99しょうむかえたこの試合しあい


前人未到ぜんじんみとうの100勝目しょうめたっするのは、どちらかだけ」


今宵こよい伝説でんせつ目撃もくげきする。準備じゅんびはいいか?」


「い~ざ。決戦(け~せん)(とき~)!」


 「試合開始しあい時間じかんは、730ぷんです。皆様みなさま、もうしばらくおちください…」



控え室~1


 椅子いすすわ一点いってんつめるおとこ


やっと、ここまでれた…

世界せかいチャンピオンを夢見ゆめみて、いままで何百戦なんびゃくせんたたかってきた。

ここまでのたたかいは、どれも接戦せっせんだった。

ときには、ぼろぼろにけることもあった!


やっとのおもいでつかんだ、このチャンス。けるわけにはいかない。なのに…


「よりによって、対戦相手たいせんあいてがあいつとは、な・・・」


控え室~2


 「準備じゅんびはいいな?」


いやです…」


 「くぞ!」


無理むりですよ!」


 はしらきつくおとこと、それがそうとするトレーナー。


 「なに無理むりだ。ここにくるために、頑張がんばってきたんじゃないのか」


いやなものは、いやなんです」


 「いやなのは、相手あいて幼馴染おさななじみだからか」


「・・・」


控え室~1


まさか、あいつが決勝けっしょうまでがってるとはな~


「あいつは、虫一匹むしいっぴきころさないやさしいやつだった」


控え室~2


「あいつは、残忍ざんにんやつなんです。ぼくが、虫嫌むしぎらいなのをかっていながら、

 ぼくからだむしけて『げないように、見張みはっていろ』って。

 そのうえ、むしからだからんでいったら、

 『なんでつかまえなかった。おまえのせいだぞ』っておこるんですよ」


 「大丈夫だいじょうぶだ。試合しあいに、むしめない。

  もしも、むしかくっていたとしたら、審判しんぱん抗議こうぎすればけにできる!

  ・・・多分たぶん?」


「たぶん?」


控え室~1


すこしおなかいてきた。

むかしのあいつは、毎日まいにち、お菓子かしあたえてくれていたな~


「あいつは、ひときずつく姿すがたるのがきらいなやつだった」


控え室~2


「あいつは、暴力的ぼうりょくてきやつなんです。

 むかしは、ぼくもらったお菓子かしをあいつにあたえないと、かならなぐられていました。

 たちわるいことに、直接ちょくせつでは日常にちじょうなかなぐるんです。

 おにごっこのとき『タッチ』『ぐはっ』

 じゃんけんのとき最初さいしょは、グー』『ぐはっ』

 ているとき『ぐはっ。ぐはっ。ぐはっ。』

 ぼくは、あいつをると、からだふるえがはしるんです」

 

 「それは…災難さいなんだったな。だが、むかしはなしだろ?

  いまのおまえには、きたげたからだがある。おびえることはい」


「…ているときかんしては、旅行先りょこうさきであった最近さいきんはなしです」

 

 「そ、そうか。しかし、たれづよ成長せいちょうできたんじゃないか」


「どれだけたれづよくなっても、いたみはあるんですよ!」


控え室~1


「あいつは、だれにでもおもいやりがあるやつだ」


控え室~2


「あいつは、面倒めんどうなことをなんでもけてくるんです。

 掃除そうじ洗濯せんたく飲食店いんしょくてん支払しはらい・ファンへの対応たいおう

 全部(ぜ~んぶ)ぼくける。あいつにとって、ぼく雑用係ざつようがかりでしかないんですよ」


 「・・・なかいんだな、おまえたち


控え室~1


「あいつがなければ、いま自分じぶん存在そんざいしてない」


控え室~2


「あいつのせいで、いま、ここにるんです。ぼくは、暴力ぼうりょくきらいなんです。

 ぐにめるつもりだったのに…

 あいつの練習れんしゅうって、おなじメニューをこなしていたら、

 あれよあれよと、試合しあい勝利しょうりしてしまい…

 いつのにか、こんなところまでちゃったんですよ」

 

 「・・・かった。おまえが、この試合しあいるのであれば、

  この試合しあい引退いんたいしてもいい」


本当ほんとうですか…」


 「ああ。約束やくそくしよう」


控え室~1


 「時間じかんです」


あいつとの対戦成績たいせんせいせきは、2しょう2はい五分ごぶ

しかし、直近ちょっきん2試合しあいけている。

このたたかいに勝利しょうりしたほうが3しょう。つまり、しん勝者しょうしゃになる


 「よしっしゃあ!三度目さんどめ正直しょうじきだ」


控え室~2

  

  「時間じかんです」

 「時間じかんか…準備じゅんびはいいな」

 

 「安心あんしんしろ。おまえは、あいつから2しょうしているんだ」

「2はいもしていますよ?」


った試合しあいも、相手あいて調子ちょうしとしていただけで…」

 「ったという事実じじつ大事だいじなんだ。二度にどあることは三度さんどある」


 「ふー」

  ひとまず、試合しあいには、てくれそうだな。

 …上手うませられたのか? 

 これでったとしても、げでの引退いんたいは、相手あいてがさせないとおもうが…



「さあ、おたせしました。選手せんしゅ入場にゅうじょうだ!」

  ウォーーー


にら両者りょうしゃ勝者しょうり女神めがみにするのは、どちらだ?」


 「これが、最後さいごだな」

  「ああ、最後さいごだ」


試合開始しあいかいしだ~」

  カンッ

 


fin

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ