06 一発仮免「主人公レンジは浮かれる」
およそ200キロメートル四方の領土を緑化し終えた。
そして本日の仕事はここまでと、レンジは割り切る。
この領域なら半日も掛からない。
講習と予行演習で大体は経験済み。講習部屋の上層に実技部屋があった。
環境再生を成すための試験場だ。手順を踏み違え失敗を出す者も居た。
大爆発を引き起こしても、ビクともしない「結界」というものが張られていた。
自分が緑化を果たした領土を一瞬振り返り、これで自信を得たりと瞳に力を漲らせる。
「地上にはあの結界がない。だから受講し、テストをした。俺は一発仮免やで!」
「でも──」過去は大失敗をした。だから居残っている間もレッスンを欠かさなかった。一発仮免が逆に経験を浅くして、それが精神不安の原因だったりする場合もある。おごり高ぶらず慎重に事を進めた。
「さあ、賑わいでいる街を目指そう」
レンジは風魔法を既に注入した高級そうな絨毯を収納から取り出して広げる。
地面から僅かに浮遊しているそれにレンジが直立姿勢で乗った。
「ホバークラフトの様に足場は安定してる」程なく絨毯が前方へゆっくりと滑り出すと、ふわっと波に乗ったサーフボードのように浮上しながらクイクイと蛇行を見せた。レンジは絨毯の上でサーファーの様に体重移動でそれを操る様になる。
宙に浮き出したあとスピードが出だすと、バランスを取るのが容易くなった。
レンジはキラリ、と良い顔を見せた。
「おっと。落ち着いてきたぞ! こんなん、コツを掴めば楽勝やん!」
下部に高圧の空気を送り込んで水面や地面から浮かせる。低摩擦で高速移動に特化するのが魅力。水上、陸上、雪上でも利用でき、水陸両用で浅瀬や湿地帯などでも走行に困難を極めることはない。
「火でも水でも雷にすら余裕で耐久する、神殿に敷かれた特殊素材の絨毯を拝借。これも魔道具の素材で造られていると直感した。これなら風属性注入だけでホバーを再現できる。うん、これがホンマの魔法の絨毯やな」
ホバーには高圧の空気が必要で軟なものではすぐに寿命がくる。魔法力で乗り物化するには打って付けの素材だ。
「まさに異世界ならではやな!」
その魔法はレンジの意思に従い自在に操作できる。
多少意識を集中して魔力の制御を行う必要がある。彼の肉体から気が流れ出す様に細い糸の様なエネルギー体が絨毯へ電極を接続する様に流れ込んでいるのだ。




