04 電源と電線「主人公レンジは気を練る思い」
さて、そこから約2キロメートルの電線を張るために、雷玉から細い尾を伸ばす様に意識を集中。複数本を用意。これは同じく宙に浮かせて一旦待機だ。
糸の様に細く軽いので宙に固定するのも容易い。電線の準備完了。
次に土壌の毒素を除去するための魔法具を2キロメートル四方に置く。
「今の俺の技量では2キロが限界だから、少しずつやろう」
これに電力を注入するのだ。伸ばして置いた電線の先をそこへ接続。
そうして毒素除去が終われば、次は潅水機となる魔道具を数個同様に設置する。そこにも通電させて機能させる。
それが枯れた大地に水をまき終える頃、雑草や花や木などの植物が大量発生し始める。
神界の特別な魔道具のため、さほどの時間を要することなく一瞬で緑化の一段階目は完遂させられた。
「ふう。ここまでは順調にできた……次は川の治療に取り掛かろ」
植物が再生されるが枯れ欠けだ。そこで次は水だ。
干上がっていた川床を水属性の魔道具を使い、河川の治療に当たる。川床の傍に送水用の魔道具を配置する。そちらへも電気の注入をして機能させる。
すると勢いよく川床に放水された水が隅々に行き届き、透明感のある清涼な川が蘇ってきた。
川べりにも草が青々と茂った。
「これでようやく岩場が作成できる。雷玉の維持は魔力消耗が大きい。あとは魔道具の出番だ。よろしく頼むよん」
地殻の内部で生成されたマグマにより高温の熱水液が作られる。
熱水液が地表近くまで移動すると温度と圧力が低下して熱水液に溶けていた鉱物成分が、結晶化して固体化し始める。
水がマグマや熱水液に含まれる鉱物成分の溶解と運搬を助ける。温度と圧力の変化によってその成分が水中で結晶化する、という工程を経て岩盤ができる。
「これに必要な魔道具を川の傍に置いて、っと。同じく装置に電気を流し、起動すればオッケーだ! 次からは岩場に風力発電の魔道具を立て、あとは風魔法でプロペラを回せばかなり楽ができる」
プロペラに魔法で風を送るのは電力をより多く生み出して蓄えたいから。
岩場がない状況ではこれを実現できない。
風力発電機を正しく設置するには地盤がしっかりしていて強固でなくては駄目だ。
作業開始時では地面の液状化も散見されたからだ。
ここまでの工程を1区画として、100区画ほど整備することとなる。
歩を進め、場所を決め、魔法具を収納から取り出す。
岩場造りまでの工程を先に済ませ、風力発電機を100区画分設置。