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電子に生きる者  作者: 白空


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ただいま

 起きた瞬間に嫌な予感がした。―――いや、嫌な予感があったから起きた。心電図などを計る器具を全て隣に人につけさせてもらう。自分がいないことに気づかれないようにする工作だ。

 病院内は決して物音を立てないように動く。病院外に出れたら全速力で走る。出入り口には監視カメラがついていることが多い。気づかれたとしても追いつかれないスピードで走る。

 …暑さ的には六月から七月と言ったところか。ちょうどいい。寒すぎず暑すぎずの気温だ。ただ病院に寝たきりでいた弊害だろう。体が重く、意識が飛びそうだ。ここで倒れてしまっては笑えない。気力だけで走り続ける。走ると言えないスピードであったとしても動き続ける。ただがむしゃらに前だけを見て動く。家に近づけば近づくほど暗くなる。意識が薄れているのも重なって前がどんどん見えなくなる。足元が覚束なくなって転ける。それでも起き上がって進む。止められたら意味がない。この嘘みたいな現実(物語)を最後まで楽しんでやる。そのために全力で走る。辛いかと聞かれれば辛いと返すだろう。でも笑みがこぼれる。負けるはずがない。

 人影が見える。ここら辺はもうすでに私有地だ。とある作業をするためにここら辺一帯の土地を所有することになったのだ。ここら辺が私有地なのは近隣の住民は大体知っている。みゃあめちゃんが来る前の夏に子供と一緒に山を一緒に散策したりもした。ただ、通常時は立ち入り禁止ということを伝えているので近隣住民はよほどのことがない限り入ってこない。なので自分とみゃあめちゃん、静葉くん以外の人影が見えた時点で近隣住民ではない部外者だということがわかる。警察の可能性もあるがまぁ警察だったらその時はその時だ。判断能力が低下していたとでもいえばいい。

 何も声を出さずに横からぶつかる。たとえどれだけ非力であったとしても不意打ちというものの効果は絶大だ。身構えていないときに衝撃が来る。それだけで十分脅威となる。

「っ!?なんで生きてるの!?」

「さあね。奇跡なんじゃない?」

 相手の混乱を誘って思考をごちゃごちゃにかき混ぜる。そうすればみゃあめちゃんが助けてくれるはずだ。

「ほんとに馬鹿じゃん。ねぇ。」

 馬鹿じゃなきゃこんなことやってられないよ。みゃあめちゃんによって投げ飛ばされる女を見ながら思う。ただまだ安心はできない。だって男の方がいない。

「しぶといわね。じゃあ道連れにするしかないんじゃない?」

 まさか全て車で轢き殺すつもりなのだろうか。いつもならば簡単に避けれるだろうけれども今はもう満身創痍だ。避けられっこない。だんだん車のエンジン音が聞こえてくる。かなり速いスピードで近づいてきている。だが時々ブレーキを踏んでいるから妻を轢き殺すのをためらう気持ちは少しあるのだろう。本当の終わり()が近づいてくる。絶望的な状況だった。思い切り叫ぶ声が聞こえるまでは。たぶん静葉くんの声だろう。…声ではなく音だが。それは少しづつ頑張ればいいことか。なんだ。喋れるんじゃん。だんだん音が大きくなっていることから車に乗っていることが分かる。まぁクラクションのことを忘れるぐらいには慌ててるね。向こうが車を持っているという情報だけでここまでお見通しとは驚いた。方法は少々荒いが。静葉くんが運転したことがあるかどうかは分からない。ここまで来れている時点で少しのドライビングテクニックはあるみたいだが。

「みゃあめちゃん。スリーカウントの後左に全力で避けて。今って言った時ね。出来れば連れて行ってほしいな。」

「…分かった。」

 車を右に寄せて、左ウインカーを出している。多分これが正解だと思う。

「3…2…1……今!」

 急激な加速による加速度で吐きそうになる。と共に横を全速力で車が走る。そしてブレーキが踏まれてハンドルが左に切られる。いわゆるドリフトというやつだ。その勢いで向こう側からの車に側面から突っ込む。ぶつかられた側の車は完全に森に突っ込んで止まっている。その状況を見て唖然としている女をもう一度みゃあめちゃんが投げ飛ばす。いつの間にか静葉くんが隣にいた。

「みんな、ただいま!」

この連載の最終話となりました。ここまで読んでいただきありがとうございました!

この後の話は外伝として出すつもりですが、予定はまだありません。物語はずっと続くので。

本作はちょくちょく修正はしていきます。物語の流れが変わる改変はしませんけど。外伝に続く伏線が新たに張られるかもです。

前作よりもしっかりとしたのを書くぞ~って意気込んで書きましたね。実際のところはPV数は上回っているのですが一日当たりだと負けていたり、という現状です。まぁ完結効果って自分で呼んでるものがあるので結果的にどうなるかは知りませんが。


さて、今回も次作の話に移りましょうか。

設定は案の定できていません!というか作る気もありませんでした!

スケジュールとしてはいったん前作を改稿してから次に行こうかなと思ってます。スケジュールじゃないじゃんという言葉は受け付けません。ついでにそれまでに短編を出すかも?です。(確率10パーセント)

あと絶対にこれからの更新頻度が終わります。


完結が出来て嬉しいです。


最後にもう一度。

本当にありがとうございました!

では、またの機会にお会いしましょう!

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