もう、我慢の限界です〜〜あなたが思う聖女らしさを押し付けないで!
ぼそぼそした黒パン一つと、ワインが一杯。
それがいつものわたしの一日分のご飯だった。
昔、お付きの聖騎士様にもう少し量を増やして欲しいとお願いしたら、「聖女たるもの清貧でなくてどうするんだ!」と怒鳴られた。
そこから話が広がり、教皇様からも叱責され、その日ご飯は貰えなかった。
わたしは聖女だから。どんなにご飯が少なくても大丈夫。みすぼらしい格好でも大丈夫。自由がなくても大丈夫。私は聖女だから。
鶏が鳴くより早く起き、皆が寝静まるまで神に祈る。それは当たり前のことなんだ。
わたしという存在が小さくて窮屈な箱の中に押し込まれ、大事なものがこそげ落ちていくような感覚。
こんな毎日を死ぬまで続けていくのかしら。
終わりは呆気なかった。
革命が起こり、旧時代の権力者が全員処刑されたのだ。
革命を起こした御方は
「みじめに命乞いをするものもいれば、激怒し「身の程を弁えろ下郎!」と怒鳴ったものもいたんだ」
と楽しそうに言ってケラケラ笑っていた。
「祈りの有り難さを忘れ、あぐらをかいた。そして祈りが絶えたとき、大の大人が何もできぬ赤子のように騒ぐことしか出来なかった。本当に、聖女って言葉はか弱い女性を人と思えなくする恐ろしい言葉なんだね」
「あぁ本当に、私が目をかけた者を粗末に扱うとは」